スタメン出場を果たした谷村海那【写真:田中伸弥】
28日に行われたベネズエラ戦で念願の代表デビューを飾った谷村は、自身が所属する横浜F・マリノスのホーム、横浜国際総合競技場で初の代表スタメン出場を果たした。
スタメン出場も前半で交代となった谷村海那
日本代表のスタメンは、谷村以外が全員、FIFAワールドカップ(W杯)2026北中米大会に出場した、いわゆる主力組。すでにチームとしてのベースが積み上がっている中に入り、いきなり1トップを務めるのは、決して簡単な仕事ではなかったはずだ。
しかも、相手は南米の強豪エクアドル。プレミアリーグでプレーするピエロ・インカピエやモイセス・カイセドこそ不在だったが、それでもW杯に出場した選手たちがずらりとスタメンに名を連ねた。
なかでも、ウィリアン・パチョを背負ってプレーしなければならなかったのは、谷村にとってかなりハードルが高かった。2シーズン連続でUEFAチャンピオンズリーグ(CL)を制覇したパリ・サンジェルマンの主力センターバックを相手に、1トップとしてのタスクを遂行するのは、世界トップクラスのFWでも決して容易ではない。
さらに、前半はボックス内での強さを特徴とする谷村にとって、自身の持ち味を発揮しやすい展開ではなかった。
久保建英や鈴木唯人、中村敬斗らは、アイデア豊富な仕掛けから局面を打開できる選手たちだ。そうした2列目の選手が違いを生み出す一方で、谷村には自らがゴール前で勝負するだけでなく、前線で相手を引きつけ、周囲の選手を活かす役割も求められた。
谷村にクロスボールが供給されたのも、堂安律が久保建英とのワンツーで右サイドを突破したシーンくらいだった。
では、なぜ谷村がこのタイミングで先発起用されたのか。
森保一監督は試合後、「(上田)綺世は今のところ3試合全部、後半から出ています」と説明。そのうえで、経験の浅い選手たちに「最初から強度の高い中で何ができるか」と、谷村を含めたFW陣に求めているものを明かした。
つまり、今回の起用は、単純に上田の代役を探すという意味だけではない。強度の高い国際試合の立ち上がりからプレーさせ、その中でどこまで自分の特徴を出せるのか。さらに、W杯を経験した主力組とプレーすることで、世界基準の強度にどこまで対応できるのか。それを確かめる意味合いがあった。
谷村にとってエクアドル戦は、その「W杯基準」を肌で感じるための貴重な機会となった。
もちろん、大きなインパクトを残せたわけではないが、置かれていた環境を考えれば、前半の出来だけで谷村の代表での可能性を判断する必要はない。
来年1月にはアジアカップが控えている。現時点で上田がFWの軸であることは間違いないが、異なる特徴を持つ選手を含め、選択肢を増やしておくことも重要になる。
28歳での代表初招集は、やや遅咲きと言えるかもしれない。それでも、Jリーグで結果を残してきたという明確な実績があり、それが代表招集につながった。まずは目の前にあるアジア杯を勝ち取るという目標を達成するためにも、もう少し長い時間を与え、その特徴を見てみたい選手だ。
南米の強豪との厳しい一戦を経験したこと自体が、今後の代表活動につながる可能性は十分にあるだろう。
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