
柏レイソルDF馬場晴也【写真:Getty Images】
柏レイソルで、馬場晴也の存在感が急速に高まっている。9月中旬から右センターバックで先発出場を重ねる中、守備の安定感に加え、攻撃では中盤や大外、時には前線まで進出。相手の守備基準を揺さぶる独特の立ち位置で、柏の右サイドに変化を生み出している。移籍2年目、自身の武器をどう整理し、プレーに落とし込んでいるのか。本人の言葉と直近のプレーから、その進化を追う。(取材・文:高橋大地)[1/2ページ]
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【2026/27 Jリーグ ヤマザキビスケット ルヴァンカップ】
2026年10月3日 柏レイソル 5-4 ガンバ大阪
(三協フロンテア柏スタジアム)
柏の右CBに求められる「攻撃参加」。馬場晴也がつかんだ役割

FC町田ゼルビア戦での馬場晴也【写真:Getty Images】
馬場晴也のプレーに明らかな変化を感じたのは、9月20日のFC町田ゼルビア戦だった。
右センターバックに入りながら、ボールを持てば積極的に前へ出る。右ウイングバックの久保藤次郎との距離感もよく、中にも外にもポジションを変えながら、柏の攻撃を前進させていた。
馬場の現在地を考えるうえで、2025年の柏で右CBを担った原田亘の存在は外せない。
原田は昨季J1リーグ32試合に出場し、2得点を記録。最終ラインの選手でありながら攻撃局面にも積極的に関与し、Jリーグ優秀選手賞にも選ばれた。
CBにも攻撃参加を求めるリカルド・ロドリゲス監督のサッカーにおいて、右CBの立ち位置から神出鬼没に前線へ現れ、“原田ロール”と呼びたくなるほどの新たな基準をつくっていた。
そこへ2025年6月、北海道コンサドーレ札幌から加入したのが馬場だった。
加入初年度のリーグ戦出場は10試合。2026/27シーズンも原田が主に右CBを務めていたが、9月11日の京都サンガF.C.戦で前半のみで交代。その後、馬場は16日のACLE・全北現代モータース戦から町田、天皇杯のFC今治戦、G大阪戦と公式戦4試合連続で先発している。
右CBなのに“フリーマン”。相手を「ぐちゃぐちゃにする」

チームの攻撃のタクトを振るうMF小泉佳穂も馬場のプレーぶりを称賛している【写真:Getty Images】
町田戦では、久保の内側へ入る、中盤まで持ち上がる、あるいは外へ開くなど、右CBの位置にとどまらない動きが目についた。
右シャドーでプレーした小泉佳穂も試合後、「右サイドに関して言うと、馬場ちゃんがすごいよかったですね。馬場ちゃんと藤次郎の2人で右サイドが成り立っていた。そこは本当に頼もしい」と話している。
3日後の今治戦でも、中盤のような位置でボールを受け、時には久保を追い越した。44分の久保のゴールも、馬場のシュートがポストに当たった流れから生まれている。
G大阪戦でも、中へ入る。外へ開く。前へ出る。相手と味方の位置を見ながら立ち位置を次々と変え、右CBでありながら、まるで“フリーマン”のように動き回った。
「最初、39番の角(昂志郎)選手が、自分には相手が迷っているように見えたから、いろんなところにポジションを取って、さらにぐちゃぐちゃにしようかなという感じはありました。途中から入れ替わりましたけど、相変わらず迷ってる感じはあったし、カオスを作るじゃないけど、そこは意識してました」
馬場は、そう試合後に話したが、このコメントこそ馬場らしさが表れているのだ。では、馬場自身は自分の強みをどう捉えているのか。
「自分の良さは、いろんなところにポジションを取れることだと思っています。中だったり外だったり、前のペナ内でのアイデアだったり。自分がボールを触らなくても、立ち位置一つで相手を越えられたり、自分のところを経由して越えられたり」
その先にあるのが、よりゴールに近いエリアへの進入だ。
「自分たちはペナの横を『レッドゾーン』と呼んでいます。例えば、自分が藤次郎くんに出した後に抜け出す。あそこをうまく取れるといいかなと思います。(百年構想リーグの川崎)フロンターレ戦で、自分が真大(細谷)にアシストした形だったり。そういうところは増やしていけたら、いいんじゃないかな」
そして、馬場が中に入ることで、右サイドの関係性も変わる。
「そこで後手になって、自分に食いついてきたら、藤次郎くんがより空くし、そこは結構、ここ最近は嫌がっている相手が多いと思うので。それが読まれてきたら、逆に自分が開いていく」
馬場が言う「カオス」とは、無秩序に動くことではない。相手の反応を見ながら立ち位置を変え、相手の守備基準を意図的に曖昧にすることだ。
馬場は今治戦後、リカルド・ロドリゲス監督のサッカーについて、「もともと理解してやっているつもりでしたけど」と話している。
「この1年やってきて、自分の課題だったりというのをうまく整理してやれているのかなとは思います。味方、相手含めて、よく観れているんじゃないかな」
柏加入から1年以上が経ち、リカルド監督が求めるサッカーへの理解を土台に、自分の武器をどこで、どのタイミングで使えばいいのかが、より整理されてきた。だからこそ、馬場の自由な動きは味方のバランスを壊すのではなく、相手のバランスを壊す方向へ作用している。