
UEFAネーションズリーグ2026/27で2勝1分1敗、リーグA・グループ1の2位につけたイタリア代表【写真:Getty Images】
ベルギー戦の完敗で幕を開けたマンチーニ新体制。それでもイタリア代表は、トルコ戦での快勝やフランス戦での粘り強い戦いを経て、短期間で立て直しを見せた。若手の台頭と多様なルーツを持つ選手たちの存在から、再出発したアッズーリの現在地と新たな姿を追う。(文:佐藤徳和)[1/2ページ]
初戦は最悪のスタート

失点につながるミスを犯し、苦い代表デビューとなったMFアレッサンドロ・ロマーノ【写真:Getty Images】
イタリア代表は捲土重来を果たした。
9月24日に開幕したUEFAネーションズリーグ2026/27。アッズーリは最悪のスタートを切った。しかし、その後、見事に立て直し、2勝1分1敗の成績でリーグA・グループ1の2位につけ、9月下旬から10月上旬にかけて行われた4試合を終えた。
3大会連続でのワールドカップ欧州予選敗退からの再出発となったイタリア代表。紆余曲折を経て、ロベルト・マンチーニが新監督に任命された。
新体制での初戦となった9月25日のローマ・オリンピコ・スタジアムでのベルギー代表戦は、強い不安を抱かせる結果に終わった。0-2のスコアではあるが、点差以上の実力差を感じさせ、とりわけ前半は防戦一方の展開で、選手から覇気が感じられなかった。ジャンルイージ・ドンナルンマがセーブをしていなければ、点差はさらに開いていたことだろう。
マンチーニは、試合後、イタリア公共放送『Rai』のインタビューでこのように答えた(以下、コメントはすべて『Rai』)。
「前半はベルギーのほうが我々より良いプレーをして、我々は少し苦しい状況だった。しかし、後半は我々が主導権を握り、今度はベルギーが苦しい状況になった。それゆえ、我々にあったチャンスを生かせば同点に追いつくこともできたが、我々のミスからカウンターを受けて、0-2となるゴールを決められてしまった」
この試合のサプライズとなったのが、今季のセリエA序盤戦で彗星のように現れたカリアリ・カルチョのアレッサンドロ・ロマーノの先発起用だ。「イタリアのロドリ」と最大級の賛辞が寄せられ、早くもユヴェントス、インテルといったビッグクラブから熱視線が向けられている。
4-3-3の心臓となるセントラルMFで起用されたものの、この代表デビュー戦では、才能の片鱗を見せることができなかった。
最初の失点は、20歳MFの不用意な横パスを奪われたことからつながったものだった。明らかに地に足がついていないように思えた。もしかすると、マンチーニは当初、負傷離脱したブライアン・クリスタンテを先発起用する構想だったのかもしれない。その代役としての抜擢だったように思えるが、もう少し負担のかからない起用もできたのではないか。
試合は0-2で敗戦。ベルギーには過去27戦して17勝と大きく勝ち越していたが、2015年11月13日のアウェイでのテストマッチ以来の黒星となった。公式戦では、1972年5月13日の欧州選手権準々決勝以来の敗戦である。試合後、アッズーリに向けられた観客のブーイングは、ロマーノにも重くのしかかったはずだ。
「イタリアの国民に対して借りがある」

イタリア代表の新体制初ゴールを決めたDFアレッサンドロ・バストーニ【写真:Getty Images】
第2節は、9月28日に行われた。ヴィンチェンツォ・モンテッラ率いるトルコ代表との対戦だ。インテルのハカン・チャルハノールとユヴェントスのケナン・ユルディズという攻撃の要となる2人を欠くものの、6大会ぶりにワールドカップ出場を果たしている。
ブルサスポルの本拠地である、ワニの形状をしたスタジアムでの一戦は、まるでワニが潜む池での戦いに挑むような危険をはらんでいると思われた。
地響きのような応援と激しい雨が降り注ぐ中での一戦は、厳しい試合展開が予想されたが、ふたを開けてみれば、イタリアの一方的なペースとなった。
開始9分、アッズーリが先制に成功。CKから放たれたグラウンダーのボールを、アレッサンドロ・バストーニが相手DFを抑え込みながらシュートに持ち込み、ゴールに突き刺す。
新体制イタリアの最初のゴールは、2026年3月31日に行われたFIFAワールドカップ欧州予選プレーオフ決勝のボスニア・ヘルツェゴビナ代表戦で、一発退場の判定を受け、戦犯扱いされたバストーニによるゴールだった。咆哮するバストーニを中心に歓喜の輪が広がる。イタリアの再出発にふさわしい男による一撃だった。
「私はイタリアの国民に対して借りがあると感じている。これから4年間はその思いを抱え続けることになる。その後は……、借りを返せればと思っている。困難な状況から、前を向いて抜け出すことには慣れているよ。自分にどれだけの価値があるかを分かっているからだ。我々は3月にどん底まで落ちたが、リベンジし、再出発したいという思いがある。忍耐とバランスを持って取り組めば、それを実現できるだろう」
『Rai』によるバストーニのコメントだ。やはり、彼自身の中で、あのボスニア戦の蹉跌が今も負担となっていた。
試合は、ぬかるんだピッチを苦にせずプレーしたイタリアが4-1で勝利。ベルギー戦が嘘だったかのような見事なパフォーマンスでの勝利だった。それはまるで、優勝した2021年のユーロで見せたイタリアの戦いを想起させる、圧巻の内容だった。
フランス相手に蘇った「古き良きアッズーリ」

バストーニのゴールで追いつき、フランス代表と1-1で引き分けたイタリア代表【写真:Getty Images】
こうして、「我々がどのレベルにあるのか知ることのできる試金石」と試合前にマンチーニ監督が語っていた、ワールドカップ4位のフランス代表との対戦を10月2日に迎える。
そのフランスの指揮官には、イタリアとの戦いに因縁を持つジネディーヌ・ジダンがワールドカップ後に就任。英雄の帰還に7万7000人の大観衆が詰めかけたスタッド・ド・フランスは大いに盛り上がり、イタリアを迎えた。
2000年以降、2勝2分け6敗と負け越しているフランスとの対戦は、やはりレベルの差を感じさせるものだった。守備一辺倒の展開となったが、ベルギー戦との違いは、最後の最後で体を張った守りを見せ、イタリアにも序盤から大きなチャンスがあったことだ。
後半10分、マイケル・オリーセの見事なFKが突き刺さり、先制点を許してしまう。しかし、その13分後、またしてもこの男がイタリアに希望をもたらす。バストーニだ。敵陣中央深くで相手のパスを読み切ったセンターバックがインターセプト。そのままゴール隅にシュートを流し込み、1-1の同点とした。
「このスタジアムは、大きなお祭りのような雰囲気が感じられた。彼らのお祭りを台無しにすることができた」
激戦後にバストーニはこのように語った。アッズーリはドンナルンマを中心に守備陣が奮闘。守護神がセーブを見せるたびに、『Rai』の解説者ダニエーレ・アダーニと実況のアルベルト・リメーディオは、あまりにも凄まじいセーブの連発に思わず失笑するほどであった。最少失点でしのぎ、難しい敵地での対戦を引き分けで乗り切った。
トルコ戦とは一転して主導権を握られる厳しい戦いとなったが、自分たちよりも強い相手に抗える、古き良きアッズーリの姿が垣間見えた一戦であった。