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マンCファンに「分裂」の懸念。財務規則違反認定で問われるクラブ愛と経営陣への忠誠

text by 編集部 photo by Getty Images
マンチェスター・シティ サポーター
マンチェスター・シティのサポーターが掲げるコレオ【写真:Getty Images】



 財務規則違反が認定されたマンチェスター・シティ。判定後初のホームゲームとなったUEFAチャンピオンズリーグ(CL)では、サポーターがクラブへの忠誠を示した。しかし、経営陣への評価をめぐるファンの意見は一枚岩ではない。クラブを愛することは、果たして渦中のオーナーを擁護することなのか。

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「死ぬまでシティ」は何を守る?

 エティハド・スタジアムの観客席に、巨大な「CTID」の文字が浮かび上がった。「City ‘Til I Die」。死ぬまでマンチェスター・シティを愛するという宣言だ。

 現地時間10月14日のUEFAチャンピオンズリーグ(CL)パリ・サンジェルマン戦。財務規則違反の認定後、初のホームゲームで、サポーターはクラブへの忠誠を示した。さらに「ハルドゥーンを信じる。我々はすべてを勝ち取った」と、ハルドゥーン・アル・ムバラク会長を支持する横断幕も登場した。

 9月29日、プレミアリーグの独立委員会はシティに重大な財務規則違反があったと認定した。クラブは異議を申し立てており、制裁内容も確定していない。11日のリバプール戦では敵地で不正を非難されたが、ホームで示されたのは経営陣への信頼も含む反抗だった。

 ただ、クラブを愛することは、クラブを経営するオーナーを擁護することでもあるのか。

 英紙『ガーディアン』のウィル・アンウィン記者は、10月1日付の論評で、シティのファンが怒るのは当然だが、その矛先はオーナーに向けられるべきだと主張した。クラブは地域社会を映す存在であり、経営者の所有物と同一視するべきではないという立場だ。

 同紙が8日に掲載したサポーターへのインタビューからも、複雑な心境が伝わってくる。

 40年以上応援するニコラ・スコフィールドさんは、経営陣への怒りを示しつつ、ファン同士の分裂を懸念した。1990年代の降格時には、サポーターが苦しみを共有し、3部リーグに転落してもクラブを支え続けたという。

 しかし、今回は事情が異なる。オーナーの退陣を望む人と、最後まで支持する人との間に亀裂が生じる可能性がある。スコフィールドさんは、そうした分断が生まれれば、修復は難しいかもしれないと危惧している。

 実際、経営陣への評価は分かれているようだ。



クラブへの忠誠が生む「分断」の懸念

 長年のファンであるジェームズ・ブレイキーさんは、同紙のインタビューにおいて1999年の劇的な昇格と2012年のプレミアリーグ優勝を重ね合わせる。どちらもクラブへの誇りを感じた瞬間だが、一連の成功と財務規則違反の認定をどう受け止めるべきか、戸惑いを隠していない。

 一方、別のシーズンチケット保有者は、クラブの説明を全面的に信じていたため衝撃を受けたとしながらも、財務規則自体の公平性に疑問を呈した。過去15年間の成功の記憶は誰にも奪えないと強調している。

 13日付の『ガーディアン』に掲載された投書でも、アンドリュー・バートン氏は、シティのファンが必ずしもオーナーの政治的立場まで支持しているわけではないと指摘。その上で、巨額の投資がクラブにもたらした成功を評価し、財務規則が既存の強豪に有利に働いているのではないかと疑問を投げかけた。

 こうした状況で、経営陣に批判的な声を上げることは容易ではない。アンウィン記者は、SNS上でオーナーを擁護するファンが、異論を唱える同じシティのサポーターを非難する現象も問題視している。

 クラブを守ろうとする思いが、同じクラブを愛する者同士の対立につながりかねない。

 ただし、支持か批判かの二択では割り切れない部分もある。ニューヨークのサポーターグループ代表、クリス・ストーカーさんは、8日付の記事の中で経営陣による地域への投資を評価する一方、長年寄せてきた信頼が揺らいでいると語った。そして、オーナーが替わってもシティはシティであり続けると訴えている。

 論点は選手にも及ぶ。現在の選手が過去の財務処理を決めたわけではない。それでも勝ち点剥奪や降格などの処分が下れば、影響は避けられない。他方、規則を守って戦ったライバルクラブの選手やファンが、公平な競争を奪われたと感じるのも無理はない。

 経営陣の責任を問うことと、選手の努力やサポーターの記憶を否定することは別の問題だ。そして、クラブを応援し続けることと、経営陣に説明責任を求めることも両立できるはずだ。

『BBC』の取材に対し、1994年からシティの試合を見続けてきたスティーブン・マキナニーさんは「私が望むのは、ただクラブがこの危機を乗り越えることだけだ」と語った(出典:『BBC Sport』10月9日付)。

 その願いは、多くのサポーターに共通するものだろう。しかし、クラブを守るために、経営陣を支持し続けるべきなのか。それとも、その責任を追及するべきなのか。

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