ラ・リーガ第2節レアル・ソシエダ対エスパニョールの一戦が現地時間24日に行われ、2-2の引き分けに終わった。ソシエダに所属する日本代表MF久保建英は、この日生まれた2得点の両方に絡み、“ソシエダの王”の名にふさわしい活躍を見せた。ゴールやアシストに留まらず、攻撃局面そのものをオーガナイズする背番号14の働きについて、東京大学運動会ア式蹴球部の現役分析官が解説する。(文:阪田天祐)
攻め手はありながらも、リードを許した前半のレアル・ソシエダ

【写真:Getty Images】
攻守の要であったMFマルティン・スビメンディが退団し、セルヒオ・フランシスコ新監督の下、新たなチーム作りに取り組むレアル・ソシエダ。
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この日、スビメンディの代役には23歳のMFベニャト・トゥリエンテスが起用され、両脇にMFパブロ・マリンとMFルカ・スチッチ、前線はFWアンデル・バレネチェア、FWミケル・オヤルサバル、そして久保建英の3トップを形成した。
昨季との違いは、ビルドアップの局面によく表れる。スビメンディがセンターバック(CB)の間に落ち、後ろ3枚でボールを繋いでいた昨季に対し、この日はCB4枚で回しながら前進の方法を探る形が見られた。
さらに前線のポジショニングも、昨季のような「インサイドハーフ(IH)=内・サイドハーフ(SH)=外」という分担に囚われない、より流動的なものへと変化した。
特に左SH(バレネチェア)と左IH(マリン)の関係性が素晴らしく、内/外、手前/奥の両方に選択肢を作り出すことで、前進を容易にしていた。
こうして新生ソシエダは、左サイドから前進し、相手を押し込むことに成功していた。
しかし、10分にカウンターを食らってあっけなく先制を許すと、45+1分にはPKを献上し2失点目。試合の主導権はアウェイチームが握り、0-2で前半を折り返すことになる。有効な前進方法を持っていたにもかかわらず、ソシエダは苦しみながら前半を終えた。
そんな前半、“ソシエダの王”は沈黙を強いられていた。今季、攻撃のタクトを振るうはずの背番号14は、どのような役割を担い、なぜ輝けなかったのだろうか?