サッカーにおける監督業というのは非常に過酷な仕事だ。チームが勝利すれば選手たちにスポットライトが当たるが、敗れれば監督が責任を厳しく追求され、シーズン途中で任を解かれることも珍しくない。また、確かな手腕がある指揮官が、退任後のキャリアに空白を作るケースも珍しくない。今回は、現在どのクラブや代表チームも指揮していない日本人監督を5人紹介する。※データは『Transfermarkt』を参照。[1/5ページ]
川井健太(かわい・けんた)
【写真:Getty Images】
生年月日:1981年6月7日
最後の指揮:サガン鳥栖
退任:2024年8月8日
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サガン鳥栖時代にモダンなプレーモデルを導入して脚光を浴びたのが川井健太である。
不祥事を起こした前任者の後を継ぐ形で40歳にしてJ1クラブを率いることになった若手指揮官は、“可変3-4-2-1”と称された独特のスタイルをチームに浸透させ、鳥栖に新たなアイデンティティを植え付けた。
川井の2022シーズン監督就任が発表されたのは、2021年12月24日のことだった。
愛媛FCの監督やモンテディオ山形のコーチを務めた経験はあったものの、J1クラブの指揮は初。
しかも、前指揮官だった金明輝が選手らへのパワーハラスメント問題で去った後のチームを任されるという、非常に難易度の高いミッションだった。
就任1年目のJ1リーグは11位。翌2023シーズンは14位と、“川井サガン”は決して秀逸な成績を収めたわけではない。
それでも川井が注目を集めたのは、先に述べた革新的なシステムにより主導権を握り続けるアグレッシブな戦い方を確立したからだ。
格上との試合であってもあらゆる局面で数的有利な状況を生み出し、魅力的な攻撃サッカーを披露し続けた功績は大きい。
資金力がそれほどなく、戦力に限りがある鳥栖に「試合を支配して勝つ」という意識を根付かせた川井だったが、2024年8月8日には下位低迷の責任を取って退任。以降はトップチームを指揮していない。
ただ、不振を極めている横浜F・マリノスへの監督就任の噂があったり、U-15 Jリーグ選抜を率いたりと、“再就職”の気配が漂っているのも確か。
今後の動向に注目が集まっている。