これまで多くの外国人監督がJリーグクラブを率いてきた。チームを成功へと導いた名将もいれば、その一方でクラブを混乱や崩壊の危機に直面させた指揮官もいる。今回は、Jリーグで指揮を執りながらも、期待に応えられず残念な結末を迎えた外国人監督を紹介する。[1/5ページ]
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スティーブ・ホランド(横浜F・マリノス/イングランド)
【写真:Getty Images】
生年月日:1970年4月30日
在籍期間:2025年2月~同4月
欧州でも指折りの実績を持つスティーブ・ホランドは、大きな期待を背負って横浜F・マリノスの監督に就任した。
チェルシーではジョゼ・モウリーニョ、アントニオ・コンテのもとでUEFAチャンピオンズリーグ(CL)やプレミアリーグのタイトル獲得に貢献し、イングランド代表でもガレス・サウスゲート監督の右腕として近年の躍進を支えてきた。
マリノスでは前年度リーグワースト4位となる62失点を喫した守備陣の立て直しを託されると、初陣となったAFCチャンピオンズリーグ・エリート(ACLE)の上海申花戦で1-0の完封勝利を収め、上々のスタートを切った。
しかし、Jリーグ開幕節のアルビレックス新潟戦ではシュート数わずか6本、PKによる1得点のみに終わり、攻撃面での迫力不足が露呈。その後の2試合でも無得点が続き、チームは早くも攻守の噛み合わせに苦しむこととなる。
開幕から5試合目のガンバ大阪戦でようやくリーグ戦初勝利を挙げたものの、その勢いは続かず、結局11試合で1勝5分け5敗という成績にとどまり、4月18日に退任が決定した。
アタッキング・フットボールをコンセプトに掲げるマリノスとの戦術的な相性の悪さに加え、偏った選手起用でチームとしての一体感を築けなかった点も大きな誤算だったと言える。
解任翌日には中山昭宏社長と西野努スポーティングダイレクターが緊急会見を開き、フロントの人事判断にも批判の声が集中した。
前年のハリー・キューウェル監督に続く短期政権となったことで、クラブのマネジメント体制に対してもサポーターの不信が募る結果となってしまった。