Jリーグの「オリジナル10」を構成する名門・名古屋グランパス。「リーグのお荷物」と呼ばれてきた過去を乗り越え、数々のタイトルを獲得してきた。その長いクラブの歴史の中で最も強かったシーズンはどの年だろうか。今回は、名古屋の歴史の中で特に輝かしい結果を残したシーズンをピックアップして紹介する。[1/5ページ]
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1995シーズン
監督:アーセン・ベンゲル
主な獲得タイトル:天皇杯優勝
のちにアーセナル(イングランド)で世界的名将へと上り詰めた男は、名古屋グランパスの歴史にも大きなインパクトを残している。
Jリーグ黎明期の名古屋は「リーグのお荷物」と揶揄されるほど低迷していた。
1994シーズンはゴードン・ミルン監督の下で年間11位。ゲーリー・リネカーは負傷で出場機会が限られ、新加入のドラガン・ストイコビッチも期待に応えられなかった。同シーズン限りでリネカーとジョルジーニョはスパイクを脱いでいる。
この苦境を一変させたのが、1995年に新指揮官として就任したアーセン・ベンゲル監督である。
フランス人指揮官はチームに勝者のメンタリティを植え付け、ストイコビッチを軸に選手の主体性を重視した攻撃サッカーを構築した。
1stステージ序盤は試行錯誤で最下位に沈んだものの、中断期間を経てチームは劇的に変貌する。
第17節のベルマーレ平塚(現・湘南ベルマーレ)戦に勝利すると、そこからリーグ戦7連勝を達成。ラスト3試合も全勝で終え、最終順位は序盤の不調が嘘のような4位でフィニッシュした。
2ndステージでは開幕4連勝と勢いに乗り、優勝争いに加わったが、最後は一歩及ばず2位で終了。年間順位は3位となった。ストイコビッチはMVP、ベンゲルは最優秀監督賞をそれぞれ受賞している。
リーグタイトルこそ逃したものの、天皇杯ではクラブ史上初の決勝進出を果たし、サンフレッチェ広島を3-0で下して悲願の初タイトルを獲得。ベンゲルは就任1年目からその辣腕を発揮した。
世界的な選手や監督が来日した例はあるものの、Jリーグから直接海外のビッグクラブへ渡り、トップリーグで長期政権を築いた指揮官は、今なおベンゲルただ一人だ。
「リーグのお荷物」と揶揄され続けたクラブの歴史を塗り替えたその偉業は、決して色あせることはない。
▽GK
伊藤裕二
▽DF
小川誠一
大岩剛
アレクシャンドレ・トーレス
飯島寿久
▽MF
平野孝
浅野哲也
フランク・デュリックス
岡山哲也
▽FW
ドラガン・ストイコビッチ
小倉隆史
