若くして才能を評価された選手でも、長くキャリアを続けられるとは限らない。ケガやプレッシャーなど、様々な理由でプロとしてのキャリアを早期に終えた選手もいる。今回は、かつて天才と称されながら、期待通りのキャリアを送れなかった日本人選手たちをピックアップして紹介する。成績は『transfermarkt』を参照。[1/5ページ]
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MF:木下桃香(きのした・ももか)
生年月日:2003年3月2日
主な在籍クラブ:日テレ・東京ベレーザ、FCオリンピア(アメリカ)
木下桃香は、日テレ・東京ヴェルディベレーザの下部組織メニーナ出身で、早くから将来を嘱望された存在だった。
中学3年の2017年には飛び級でU-16日本女子代表に選出され、トップチーム昇格前からリーグカップにも出場していた。
東京オリンピック(五輪)2020では、18歳でなでしこジャパン入り。澤穂希に次ぐ史上2番目の若さでの五輪デビューを果たした。
2021年にトップチームへ正式昇格すると、すぐに主力に定着。高い技術とポジショニングセンスを兼ね備え、攻撃の起点としてチームを支えた。
2023年には伝統の背番号「10」を引き継ぎ、2年連続でWEリーグのベストイレブンと優秀選手賞を受賞するなど、リーグを代表するアタッカーへと成長した。
しかし2025年1月、22歳で突然現役引退を発表する。
「これまでサッカーのことを常に考えて生きてきましたが、自分の人生を考えたとき、プロサッカー選手としてプレーすることが必ずしも一番ではない自分に気がつきました」とコメントした。
さらに「次の道を完全に決めたわけではないが、自分と向き合う時間をつくりたい」とも記した。
そして5月、アメリカのアマチュア女子サッカーリーグWリーグのFCオリンピアに加入したことがクラブのSNSで発表された。
約5カ月の“自分と向き合う時間”を経て、木下は再びピッチに立つ道を選び、静かな再出発を遂げた。
