サッカー日本代表は14日、ガーナ代表との国際親善試合に臨む。ワールドカップ(W杯)本番まで7か月に迫り、年内最後の重要な代表活動となる。今回、代表初招集の北野颯太は、激戦区のシャドウでポジション争いに名乗りを挙げる。苦労を重ね、今季飛躍を遂げた21歳は、どのようなパフォーマンスを見せるのだろうか。(取材・文:元川悦子)[1/2ページ]
——————————
代表初招集に意気込む北野颯太

【写真:加藤健一】
2026年北中米ワールドカップ(W杯)まで7か月。5月に予定されるメンバー発表前の代表戦は11月のガーナ代表戦・ボリビア代表戦と3月に行われる2連戦の合計4試合しかない。
日本代表の森保一監督も「本大会メンバーは7~8割は決まっている」と語っていた通り、遠藤航、南野拓実らコアグループは固まっていると言っていい。
流動的なのは、多くて7~8人程度。長期離脱中の冨安健洋、町田浩樹、守田英正らの動向もあるが、新顔が食い込めるとしたらほんのわずかな可能性しかないだろう。
そこに名乗りを上げるべく、闘志をむき出しにしているのが、今回初招集された21歳の北野颯太だ。
中学時代からセレッソ大阪のアカデミーに在籍した彼は2022年にトップ昇格。その後3年間はケガなどもあり、コンスタントに出番を得られず苦しんだ。
飛躍への転機となったのは、2024年7月のオランダ1部(現2部)のアルメレ・シティへの留学だ。
「言っちゃえば下手くそなんですけど…」
期間は2週間程度と短かったが、「言っちゃえば下手くそなんですけど、FWだったら前を向いて仕掛けていくし、ボランチも前につけていく。そういうところが日本人と外国人の差なのかなと。消極的な選手なんかいなかった」と本人も新たな気付きを得たのだ。
そこから成長曲線がグッと上がり、迎えた今季。キャンプの時からキレキレで、大先輩・香川真司を唸らせるほどだった。今季J1開幕戦の大阪ダービーでは2ゴールを挙げ、圧巻のパフォーマンスを披露した。
「颯太のことはダービーのプレーとかも見ていた。僕を超えていく選手なんだろうなと期待しています」と南野もフランスから熱視線を送っていたという。
その4か月後、北野は“南野ルート”を歩み始める。南野が5年間過ごしたザルツブルクへ移籍し、6月のクラブW杯にいきなり帯同。出番を与えられたのはアル・ヒラル戦だけだったが、世界の大舞台をいきなり経験する形となったのだ。
今季序盤はケガもあってベンチスタートが多かったが、10月26日のFKアウストリア・ウィーン戦で1ゴール1アシストの大活躍。そこから序列が一気にアップし、今回の代表招集を勝ち取った。
「自分に足りへんのはそこなんやと…」
「最初、出ていた時期があったけど、1回外されて、それから出れん時期が続いた。自分自身、チームの戦術と噛み合わなかったですね。守備強度のところで、球際に激しく行く選手が使われだしたんで、『自分に足りへんのはそこなんや』と気づいた。
それは監督からもずっと言われていて、課題と向き合っていました。その後、やっとウィーン戦でチャンスをつかんで、プレーの幅も広がった。いろいろ乗り越えてここに来たって感じです」と本人は濃密な半年間を述懐する。
ただ、北野自身は欧州移籍のタイミングが遅かったと感じているようだ。セレッソでの足踏みが長かった分、想定以上の時間がかかってしまったのだろう。その分、一気にここから巻き返して、来年の代表メンバーに食い込んでいくしかない。
「日本におったら味わえない経験は沢山させてもらっていますし、刺激的な日々を送れています。欧州で結果を出すと代表も近づくんやなって改めて感じました。そのうえで、自分は代表ではシャドウで勝負したい。自分にしか出せないものを出していけたらいい。
狭いスペースでボールを受けたり、ゴール前に入っていく最後のクオリティだったり、そういうものを求めてやっていきたいと思ってます」と本人は具体的に代表でのプレーイメージを思い描いている様子だ。
自分のストロングを発揮して、チームの得点に関与する働きを見せなければ、大激戦のシャドウでは生き残っていけない。