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「そこは個人のプロフェッショナリズム」。FC町田ゼルビアが強いチームになるため中山雄太は言う「意識が変われば…」【コラム】

シリーズ:コラム text by 大島和人 photo by Getty Images
FC町田ゼルビア 中山雄太
FC町田ゼルビアDF中山雄太【写真:Getty Images】



 FC町田ゼルビアはJ1昇格2年目の2025シーズンを6位という順位で終えた。クラブ初の天皇杯制覇も果たしたが、来季以降、さらに高い目標に到達するためにはまだまだ改善の余地があることを知らしめられた。今季、複数のポジションで高いクオリティを見せた中山雄太は、「プロフェッショナリズム」の必要性を説く。(取材・文:大島和人)[1/2ページ]
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不完全燃焼感の残るシーズン「身体作りをもっと…」

中山雄太 FC町田ゼルビア
FC町田ゼルビアDF中山雄太【写真:Nagano Noriko】

 FC町田ゼルビアは12月6日の柏レイソル戦で2025年のJ1リーグ戦を終えた。優勝の懸かっていた柏に0-1で敗れ、38試合の合計勝ち点は60。最終順位は6位だった。

 今季の町田は天皇杯制覇に成功し、クラブ史上初のAFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)にも参戦している。昨季は初昇格で3位に入った実績があるとは言え、過密日程のタフなシーズンになることは誰もが理解していた。クラブとして掲げたリーグ戦の目標も5位以内で、6位という結果がそこまで悪かったわけではない。

 一方で「もったいなかった」「もっとやれた」という不完全燃焼感の残るシーズンだったことも間違いない。

 黒田剛監督は柏戦後の記者会見で、こう述べていた。



「多くのケガによる離脱がありながら、本意ではないポジションかもしれないですけどそこも埋めながら、選手たちはよく奮闘してくれました。強いて言えば、来季はケガのしない身体作りをもっとやっていかなければいけません」

「ケガによる離脱」は、今季の町田を苦しめた最大の要因だ。特に痛かったのはセンターバック(CB)2名の離脱だった。

菊池流帆と岡村大八の不在がチームに与えた影響

 今季の町田は[3-4-2-1]の布陣を採用し、レギュラークラスの純センターバック(CB)を4名確保していた。2025年の出場時間順に並べると昌子源(3420分)、岡村大八(2693分)、ドレシェヴィッチ(2381分)、菊池流帆(708分)となる。

 菊池が先発した9試合の戦績は6勝2分け1敗だ。ただ「1敗」のサンフレッチェ広島戦(2月16日/1●2)は彼が負傷交代後に2失点を喫した末の逆転負けで、菊池は3バックの中央でファーストチョイスとなるべきパフォーマンスを見せていた。しかし彼は右膝の状態が悪く、8月下旬の横浜F・マリノス戦後に手術を実施している。



 岡村は9月23日の京都サンガ戦(1△1)で負傷し、5試合を欠場した。菊池の負傷と重なり、ACLEも始まったタイミングで、これもチームにとって痛かった。出場停止の川崎フロンターレ戦(8月31日/3●5)も含めると、岡村不在時の町田は1勝2分け3敗と負け越している。

 そう考えるとベテラン昌子源の全試合フル出場はチームをぎりぎりで救った。中山雄太もボランチがベストだったものの左CB、左ウイングバックとして穴を埋めた。また望月ヘンリー海輝は中村帆高の復帰に伴って、終盤戦に右ウイングバックから右CBに移った。望月がCBで好プレーを見せたことは、日本代表入りにもつながる収穫だ。

 とはいえ試合が立て込んだ中で、最終ラインの選手層が逼迫(ひっぱく)したところは大きな問題だった。

「そこはもう個人のプロフェッショナリズムだと思います」

サッカー日本代表の中山雄太
サッカー日本代表時代の中山雄太【写真:Getty Images】

 中山は「誰かが出ても遜色なくプレーできるかが大事だなと思わされるシーズンでした」と指摘する。

 振り返ると2024年の町田は「メンバーが入れ替わりすぎた」ところが反省点だった。昨季の途中に加わった中山、相馬勇紀はコンディションを戻し、完全にチームの軸となっている。新加入の岡村、前寛之、西村拓真も含めて、コアメンバーが固まったことは2025年の収穫だ。

 しかしコアメンバーが逆に固まりすぎて、ベンチ入りも含めた「20名」はほぼ入れ替わらなかった。結果として不調時に「人の入れ替え」で問題を解決できなかった。相次ぐ負傷も選手起用の選択肢を奪い、チーム内の競争も阻害した一因だ。

 中山は2022年のワールドカップ・カタール大会出場を直前の負傷で逃した。ヨーロッパでの6シーズンを過ごし、2024年夏に帰国したが、町田加入直後も9月に右膝を負傷している。だからこそ今季の開幕前には「ケガなく出続けること」をテーマに掲げていた。38試合中32試合に出場していて、そこは彼の言葉を借りれば「まずまず」の成果だろう。



 彼にケガの防止について振ると、このような答えが返ってきた。

「意識は当然ながらまだ上げないといけません。意識が変われば行動が変わります。それでもケガは絶対あるので、『ケガする確率を減らしていく』ことが大事ですが、まずはその意識だと思います」

 もちろん日常生活、栄養管理、ケアと休養は大切だ。中山はアメリカンフットボールのレジェンド・河口正史氏が主催する「クアトロコアメソッド」の施設に通い、身体の姿勢や操作の改善にも取り組んでいる。ただ、彼はこう強調する。

「トレーニングも、したいかどうかの意識次第です。それが受動的になるのか、能動的でやれるのかーー。そこはもう個人のプロフェッショナリズムだと思います」

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