
U-22サッカー日本代表の大関友翔【写真:Getty Images】
現在、水戸市で行われている「IBARAKI Next Generation Cup2025」に出場するU-22サッカー日本代表。最年長としてチームを牽引する大関友翔は今季、目まぐるしい1年を過ごした。クラブと代表を行き来する濃密な日々の中で、結果への渇望と責任感を胸に、若き司令塔は次なる壁に挑もうとしている。(取材・文:元川悦子)[1/2ページ]
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チーム最年長としてキャプテンマークを巻いた大関友翔
U-22サッカー日本代表でキャプテンマークを巻く大関友翔【写真:Getty Images】
2028年ロサンゼルス五輪(ロサンゼルスオリンピック)を目指し、本格的な強化が始まった大岩剛監督率いる日本代表。彼らは年明けの1月7日からサウジアラビアで開幕するAFC U-23アジアカップに参戦する。
シリア、UAE、カタールという中東と同組で、厳しい戦いが予想されるだけに、ここでチーム状態を引き上げる必要があるのだ。
その絶好の機会となったのが、今月24、27日の両日に水戸市で行われる「IBARAKI Next Generation Cup2025」。大岩ジャパンはU-22日本代表として参戦。24日にはU-21関東大学選抜と対戦した。
タフな2025シーズンを戦い抜き、オフを経てこの活動に入ってきた佐藤龍之介、齋藤俊輔、森壮一朗らとともにスタメンでピッチに立ったのが、大関友翔だ。
2005年2月の早生まれでチーム最年長に当たる彼は指揮官からキャプテンマークを託され、4−3−3のインサイドハーフでプレー。全体を統率すべく士気を高めていった。
実力的に相手を上回るU-22日本代表の入りは悪くなかった。
齋藤と佐藤が左サイドでポジションを入れ替えながらゴールに迫り、右FWに入った早稲田大学の久米遥太、1トップの海外組・道脇豊も得点チャンスを迎えるなど、早い段階でゴールが生まれそうな予感も漂った。
だが、序盤のチャンスを生かせずにいると、逆に相手に一瞬のスキを突かれ、クロスから先制点を献上してしまう。
「実はこのオフは…」
AFCチャンピオンズリーグ・エリートでプレーする大関友翔【写真:Getty Images】
このタイミングで佐藤や齋藤が下がり、川合徳孟や横山夢樹が出てくると、少し攻撃のギアが上がり始め、前半のうちに川合の直接FK弾で1-1に。大関ら大半のメンバーはここで下がり、後半はベンチで見守ることになった。
その後半は徐々に地力の差が出て、東京国際大学の古谷柊介が2得点をゲット。桐蔭横浜大学のンワディケ・ウチェ・ブライアン世雄もゴールし、終わってみれば5-1の圧勝。27日の決勝戦に順当に駒を進めた。
「前半は少し難しい試合になりました。入りのところはよかったですけど、徐々にコンディションを含めて大学生の圧を感じる場面が増えた。先制点も取られてしまいましたけど、それでもセットプレーからうまく点を取れて、最終的に勝てた。
こういう試合はセットプレーだったり、自分たちの形じゃないところから点を取れるようになると大きいかなと思います」
大関は安堵感を吐露。自分自身の現状を確認できたことが一番の収穫だったようだ。
「実はこのオフは三浦(颯太)選手と佐々木(旭)選手とイングランド旅行に行く予定だったんですけど、代表に選んでいただいたので、幸せなキャンセルになりました(笑)。
コンディションはまだ100%とは言い難い。このキャンプでしっかりとアジアカップに向けて作っていけるように意識しています。現時点ではまだ100%ではないので、ここで引き上げたいですね」
本人はここから急ピッチで本番仕様の状態に仕上げていく構えだ。
その大関だが、ご存じの通り、2025年は目まぐるしい1年を過ごした。
怒涛の一年で感じた「こだわる必要がある」こと
サッカー日本代表として東アジアE-1サッカー選手権2025決勝大会 韓国に出場した大関友翔【写真:田中伸弥】
レンタル移籍していた福島ユナイテッドFCから復帰したタイミングで指揮官が鬼木達監督から長谷部茂利監督に交代。まずは新たな戦術を叩き込む必要に迫られた。
その直後の2月にはU-20アジアカップ(中国)に挑み、世界への切符を獲得。チームに戻ると、休む間もなくJ1とAFCチャンピオンズリーグ・エリート(ACLE)の掛け持ちを強いられたのだ。
こうした中、ACLEでは先発した4月30日の準決勝・アル・ナスル戦で非常にいいアクセントになり、2点目をゲット。チームのファイナル進出の原動力となり、大きな自信を手にした。
アジアでの目覚ましい働きを日本代表の森保一監督に評価され、7月には東アジアE-1サッカー選手権2025決勝大会 韓国に参戦。ホンコン・チャイナ代表、中国代表戦の2試合に出場し、A代表としての一歩も踏み出すことになった。
その後、9〜10月にはU-20ワールドカップ(W杯=チリ)にも参戦。日本は惜しくもラウンド16でフランス代表に敗れ、上位躍進は果たせなかったが、大関自身は大きな学びを得たという。
「フランス戦では決定力不足という課題を突きつけられた。その課題は試合の中でしっかりとフィードバックしないと難しいですね。あの緊張感は練習ではなかなかないので。
ただ、シュートに向かう意識とかその過程はもっとこだわる必要があると感じた。そこは大会の後、チームに戻ってすごく意識が変わっているところです」
大関はこう強調したが、確かに得点力というのは今後、より高い領域に飛躍するために必要不可欠な部分だ。
今の大岩ジャパンでは主にインサイドハーフで使われているし、川崎フロンターレでもトップ下が主戦場。前線寄りのMFである以上、より数字にこだわらなければならないのは確かだ。
特に川崎では脇坂泰斗が同ポジションに君臨している。偉大な先輩を越えようと思うなら、目に見える結果を残していくしかない。