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「後遺症が出たりした」宮市亮の完全復活が近づく。リハビリを支えた心の拠り所「強い横浜F・マリノスを見せるため」【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤井雅彦 photo by Getty Images
横浜F・マリノス 宮市亮
横浜F・マリノスの宮市亮【写真:編集部】



 宮市亮はこれまでも、前十字靭帯断裂など、大きな怪我に何度も悩まされてきたが、そのたびに復活を果たし、ピッチに戻ってきた。しかし、昨秋までに何度も受傷した脳震とうは、これまで宮市が乗り越えてきた怪我とは違った苦しさがあった。近づく完全復活を前に、そこまでの道のりと心境を綴る。(取材・文:藤井雅彦)[1/2ページ]
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脳振とうからの復活を目指す宮市亮

宮市亮
横浜F・マリノスの宮市亮【写真:編集部】

 昨秋まで複数回にわたって脳振とう症状に見舞われた宮市亮の完全復活が目前に迫っている。

 今季の始動日から部分合流を果たし、対人練習を除くメニューで体を慣らしていく。

 キャンプに入ってからは徐々にボディコンタクトを増やし、ヘディングでのシュート練習やクリア練習で症状の有無をチェック。強度を上げ過ぎないように参加するメニューの本数を制限するなど、患部以外へのケアも怠らない。


 慎重に慎重を重ねてからゲーム形式に混ざるようになり、最終日に行ったJ1クラブとの練習試合でついに実戦復帰を果たした。

「最後の30分くらいに出場した。試合を通して怖さもなくて、ピッチに立ててよかった。自分が思っていた以上にゲーム体力は落ちていなかったし、いい形でキャンプを終えられた。ゲームはやっぱり楽しい。試合に出場してナンボだなと思えたし、これからマリノスのためにもっと頑張っていきたい」

 爽やかな笑顔は、離脱前とまったく変わっていない。

今までに経験したことのない苦しさと難しさ


サッカー日本代表で前十字靭帯を断裂した宮市亮【写真:田中伸弥】

 先が見えない時間は、これまでの経験にはない苦しさと難しさがあった。前十字靱帯断裂や重度の肉離れも辛いが、ある意味で日にち薬と言えるかもしれない。一進一退を繰り返すことがあったとしても、経験則が拠り所になる。

 痛みがある日や思うように動けない場合も、完治に向けた意味のある一歩だと自らに言い聞かせていた。過去に数多くの負傷やアクシデントを経験したから、少しのことでは動じない強靭なメンタルを手に入れているつもりだった。

 しかし脳振とうは種類が違う。目に見えない脳は、膝や筋肉よりもデリケートだ。


「検査でもわからないのがこの症状の難しいところ。靱帯や筋肉の負傷は、何週間か経てばこれくらい戻るという症例があるのでイメージも湧く。でも頭の中の脳はCT検査でもMRI検査でも原因や理由がわからない。脳は痛みを感じない。でも確実にダメージを受けている。自分では大丈夫だと思って外で走ってみると後遺症が出たりした」

 とにかく無理は禁物で、はやる気持ちをグッとこらえながら安静にして毎日を過ごすしかない。グラウンドでウォーキングをするだけでも段階を踏む必要があり、ランニングを再開するには最後の受傷から1ヵ月以上とさらに多くの時間が必要だった。

孤独を感じずにはいられない状況。それを支えたのは…

横浜F・マリノス 宮市亮
横浜F・マリノスの宮市亮【写真:Getty Images】

 簡単なボールトレーニングなどができるようになって復帰の道筋が見えてきてからも、さまざまなテストを行って回復を確かめてからグラウンドに帰ってきた。ダブルチェックやトリプルチェックは当たり前。気が遠くなるような日々はオフ期間中も続いた。

 チームメイトはオフを満喫しているため、クラブハウスには自分のほかに数名のリハビリ選手しかいない。孤独を感じずにはいられない状況だったが、二人三脚でサポートしてくれるメディカルスタッフが心の拠り所になった。


「今回に関してはこれまで感じたことのない離脱だったけれど、その中でもメディカルスタッフに助けられた。オフの日でも検査に付き合ってくれたり、リハビリに付き合ってくれたり、たくさん支えてもらった。どれだけ感謝しても足りないし、復帰に向けて全面的にサポートしてくれたクラブにも感謝している。これからはピッチで恩返しできるようにやっていきたいし、自分はチームのために貢献することだけを考えたい」

 練習から装着しているマウスピースは「お守りのようなもの」。衝撃を軽減してくれるのはもちろんだが、それ以上に精神面に好影響を与えるという。

 プレー面でも工夫を重ねて、「大迫選手(勇也/神戸)のように相手に先に体を当てるようなプレーをできたら」と見据える。勇気あるプレーは持ち味のひとつではあるものの、リスクを回避するために視野を広げたプレーを心掛けていく。

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