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J2 7時間前

「新しいサッカーをやっているなと」北海道コンサドーレ札幌が“面白い予感”。川井新体制の狙いが見えてきた【コラム】

シリーズ:コラム text by 黒川広人 photo by Getty Images,Editor,hiroto kurokawa
サガン鳥栖時代の川井健太監督

2026シーズンより就任した北海道コンサドーレ札幌の川井健太監督【写真:Getty Images】



 川井健太監督を迎え、J1復帰を狙う北海道コンサドーレ札幌。開幕1週間前に行われた大分トリニータとのプレシーズンマッチでは、退場者を出す数的不利の状況で結果として0-1で敗れたが、主導権を握る時間帯も多く作った。試合後、指揮官も選手も口を揃えて「収穫が多かった」と語る。決して強がりではない。川井新体制が目指すフットボールの輪郭が確かに浮かび上がった一戦だった。(取材・文:黒川広人)[1/2ページ]

川井健太新監督が北海道コンサドーレ札幌に求めるもの

北海道コンサドーレ札幌 堀米悠斗

10年ぶりに北海道コンサドーレ札幌に復帰した堀米悠斗【写真:黒川広人】

「非常に我々らしいフットボールを展開できていたと思います」

 試合を振り返った指揮官の言葉通り、大分トリニータとのプレシーズンマッチで川井コンサドーレの狙いが随所に見て取れた。

 前半、北海道コンサドーレ札幌は4-2-3-1を基本システムとしてスタート。しかし、現代サッカーにおいてシステムは“形があって、形がない”ものだ。特に目を引いたのが、両サイドバックの立ち位置だった。

 高尾瑠と堀米悠斗は何度もインナーラップを繰り返し、中盤、時にはFWのような高い位置を取ることで、大分の守備陣に明確な混乱をもたらしていた。指揮官は、その狙いをこう語る。



「僕は彼らを“リンクマン”と呼んでいます。後ろと前をつなぐ存在でありながら、最終的にはペナルティエリアの中でフィニッシャーになってほしい。リンクマンになること、その先でゴールに関与すること。そこを求めています」

 実際に高尾が前線を駆け上がり、ペナルティエリアへ侵入する場面も幾度となく見られた。まさに狙い通りの光景だったのだろう。指揮官は不敵な笑みを浮かべながら続ける。

「ただ内に入るのではありません。明確な意味を持たせています。あそこで相手はどうマークするのか困惑すると思います。どういう風に守るのか、こちらとしても興味深いですね」

 リンクマンを担った堀米も手応えを口にする。

退場者が出て数的不利になって、指揮官がすぐに指示を出さなかった理由

北海道コンサドーレ札幌の木戸柊摩 西野奨太

今季、さらなる飛躍が期待される北海道コンサドーレ札幌の木戸柊摩(左)と西野奨太(左から4番目)【写真:編集部】

「序盤から、やりたいことはある程度形になっていました。あとは最後をどう攻略するか。立ち位置の調整や、どのタイミングでアクションを起こすかの微修正ですね。土台はできてきていると思います。そういった意味でも(青木)亮太とお互いをどう活かすかトライしている最中だったので、もう少し11人でプレーしたかったです」

 テンポの良いショートパスと横幅を活かした攻撃を軸に、幾度か好機を創出していた札幌。しかし、29分、家泉怜依の退場によって状況は一変する。数的不利に陥った札幌は次第に守勢を強いられ、ビルドアップのミスから失点を喫した。

 それでも、指揮官は10人になってからの選手たちの振る舞いを冷静に見ていたという。

「意図的に、あまり指示は出しませんでした。選手がどうリアクションするのかを見ていました。その中で、失点があり、昨年から続いている課題も感じたので、後半に向けては、こちらで介入し、整理しました」

 後半、札幌は3-5-1へとシステムを変更。戦い方は明確に整理され、流れが大きく変わった。だが、指揮官が何より重視していたのは、メンタル面だった。ロッカールームでは、熱い言葉が投げかけられたという。



 堀米が振り返る。

「自分たちの戦う形を確認して、『ネジを外せ。ただ、何もなく殴られ続けるのではなく、トライしてトライして、やれることを全部やって胸を張って帰ろう』と監督から指示を受けました。

 実際に後半を戦っていて、どちらが10人なのかとやっている側も見ている側も思っていたと思うので。特に(田川)知樹が一番ネジを外していましたね(笑)あれだけGKが背後をケアしてくれると、前にアタックしやすいので。すごく良い手応えを得ました」

 キャプテンマークを巻いた西野奨太も、同じ感覚を口にする。

「そこは昨年との大きな違い」選手たちが感じ取っている確かな変化とは

北海道コンサドーレ札幌

昨季は、1年でのJ1復帰を目標に掲げた北海道コンサドーレ札幌だったが、12位に終わった【写真:Getty Images】

「これまでの自分たちなら、ズルズルと失点していたと思います。でも、後半は自分たちからアグレッシブにいけました。イレギュラーな状況の中で、自分たちの変化を実感できた。開幕前にすごく意味のあるゲームだったと思います」

 キャンプを通じ、選手たちは確かな変化を感じ取っている。

「今年は練習から“一歩”にこだわることを強く求められています。できていないと、その選手が浮いてしまう空気がある。そこは昨年との大きな違いだと思います」

 西野自身、強い覚悟を持っている。



「今日もゲームキャプテンを任されましたし、プレーで戦う姿勢を示したいと思っています。昨年、試合に出ていた身として、今年はチームを引っ張る自覚を持ってキャンプに臨んでいるので。昨年とは違う感覚でキャプテンマークを巻けていると思います」

 一方で、自身の成長の余白も感じたようだ。

「今日はピッチ上の円陣で、ゴメス(堀米悠斗)さんが熱く語っていたのをキャプテンながら見てしまいまして…。もう俺が言うことないなって(笑)みんなにいじられましたが、良いお手本がたくさんいるので、吸収しながらここから成長できればと思います」

 西野と同様に、中盤の要として飛躍が期待され、この日も存在感を示した木戸柊摩も充実感をにじませる。

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