フットボールチャンネル

J1 4日前

樋口雄太のあと1歩が鹿島アントラーズを理想に近づける。「雄太なら出せる」鬼木達監督の辛口評価と期待「どんどんやってほしい」【コラム】

シリーズ:コラム text by 加藤健一 photo by Getty Images, Editors
鹿島アントラーズMF樋口雄太
鹿島アントラーズMF樋口雄太【写真:Getty Images】



 明治安田J1百年構想リーグ地域リーグラウンド第2節、鹿島アントラーズ対横浜F・マリノスが14日にメルカリスタジアムで行われた。0-0で迎えた76分にレオ・セアラのゴールが生まれ、鹿島は1-0で勝利。第1節で退場処分を受けた三竿健斗に代わり、昨年9月以来に先発した樋口雄太が存在感を示していた。(取材・文:加藤健一)[1/2ページ]
——————————

柴崎岳と鈴木優磨の阿吽の呼吸

鹿島アントラーズFWレオ・セアラ
決勝ゴールを決めたレオ・セアラ【写真:Getty Images】

 スコアレスの時間が長く続いた。

 横浜F・マリノスのタイトな守備はなかなか崩れない。鹿島のボランチやサイドハーフはマンマーク気味で対応され、相手のサイドバックをつり出したと思っても、角田涼太朗やジェイソン・キニョーネスは抜け目なくカバーリングに走っていた。

 鹿島はボールを保持しながらも、決定的なシーンをなかなか作り出せなかった。

 それでも終盤、レオ・セアラの一撃が生まれる。流れを変えたのは、主将・柴崎岳の投入だった。

「前半はなかなかスペースに入り込む選手と、パスを出すタイミングが合わない部分があった。もう少しそういうボールがあってもいいんじゃないかとみんなで話していたところで、(鈴木)優磨があのシーンではうまく抜け出してくれた」

 柴崎がそう振り返るシーンが生まれたのは76分。裏に抜け出す鈴木に、柴崎がパスを通す。鈴木は一旦キープしてから上がってきた小川諒也につなぐ。小川の左足から放たれたボールは、レオ・セアラの頭に届いた。


 苦しみながらも勝ち切る。それは昨季に何度も見てきた鹿島らしい勝ち方でもあった。

「誰一人満足していないと思うんで、勝ちながら成長していく。この姿勢は今シーズンも続けていきたい」

 そう話す鬼木達監督が掲げる理想は明確だ。

 ボールを握り、相手を押し込み、ハーフコートで圧倒する。

 鹿島の理想は高い。そして、“どう崩すか”という課題は、依然として横たわっている。

 その意味で、ボランチで先発した樋口雄太は、その解決策となり得る存在であることをピッチ上で示した。

「もっとできた」鬼木達監督の厳しい評価の理由

鹿島アントラーズ、鬼木達監督
鹿島アントラーズ、鬼木達監督【写真:Getty Images】

 昨年9月以来の先発。樋口は必死だった。

「本当に久々に回ってきたチャンス。自分の良さを出すこともそうだし、チームとしても開幕戦で負けてしまったので、嫌な流れをホームで払拭したかった」

 ピッチを縦横無尽に走り、積極的にFWにパスを刺す。体を張ってボールを奪い、ゴールを目指して走った。

「前に、前に」という意識を体現するような入りは印象的だった。しかし、鬼木監督はそれ以上に、厳しい評価を樋口に下した。

「どちらかといったらもっとできたかな。前に出せるシーンはまだまだあって、雄太なら出せると思いました」

 辛口な評価の裏には、大きな期待が見え隠れする。


「90分しっかり走れたり、ボールに絡み続けようとする姿勢が彼のいいところ。中盤のエリアをかき回すことができるので、それをどんどんやってほしい」

 昨季は前半戦に舩橋佑が台頭し、怪我で出遅れた三竿健斗も徐々に存在感を発揮していった。後半戦は知念慶の成長が目覚ましく、最終的に知念と三竿がボランチに定着した。

 この日、いぶし銀のプレーで勝利を手繰り寄せた柴崎も含め、鹿島のボランチはそれぞれ異なる個性を持っている。

 樋口の特長は、止まらずにプレーに関わり続けられること。その運動量は鹿島のテンポを生み出す原動力になる。

「キックの精度もあるので、ゴール前に絡んでいけばシュートチャンスも増える。運動量をまだまだ生かせると思うので、期待はやっぱり大きいです」

 良さは出していた。だが、まだ足りない。それが鬼木監督の本音だった。

技術的な質と判断。「研ぎ澄ませていきたい」

鹿島アントラーズFW鈴木優磨
鹿島アントラーズFW鈴木優磨【写真:Getty Images】

「キニョーネスの背後は絶対にいける」

 鈴木はプレーしながら確信を持っていた。何度も動き出したが、「見てくれる人があんまりいなかった」と言う。

 刺すチャンスはあった。後半開始前には樋口と荒木、早川を呼び、鬼木監督が指示を送っていたが、なかなか効果的な崩しは表現できなかった。

「狙いはそんなに悪くないかなと思うんですけど、そこに絡む人数とか、立ち位置もそうです。ボールを大事にする部分と、前進する部分のジャッジのところは、もっと合わせなきゃいけないと思います」


 鬼木監督は「技術的な質であり、判断の部分。そこはもう1回、研ぎ澄ませていきたいと思います」と述べている。

 樋口自身も課題を感じている。

「後ろのスペースが空くっていうところで、何本かゴール前まで行くシーンはありましたけど、まだまだ連係のところでやれることはいっぱいある」

 樋口の“あと一歩”こそが、鹿島が理想へと近づくための鍵になるのではないだろうか。

1 2

KANZENからのお知らせ

scroll top
error: Content is protected !!