フットボールチャンネル

J1 7時間前

「自分を信じて楽しんで来い」大けが乗り越え、木村卓斗は支えてくれた人の言葉に奮起した。横浜F・マリノスで「何者かを示したい一心」【コラム】

シリーズ:コラム text by 竹中愛美 photo by Getty Images,Editor
横浜F・マリノス 木村卓斗

横浜F・マリノスの木村卓斗【写真:Getty Images】



 横浜F・マリノスは3月14日、明治安田J1百年構想リーグ地域リーグラウンド第6節でジェフユナイテッド千葉と対戦し、2-0で勝利した。大怪我を乗り越えて、今月初めに練習試合で実戦復帰を果たし、前節のFC東京戦で途中出場ながら持ち味を出していた木村卓斗。トップカテゴリーで初先発となった25歳がピッチで示したかったものとは。(取材・文:竹中愛美)[1/2ページ]

木村卓斗が今季初先発に込めた思い

横浜F・マリノス 木村卓斗

宮崎キャンプでトレーニングに励む横浜F・マリノスの木村卓斗【写真:編集部】

「まずはここのピッチに立つまでに本当にいろんな人の支えがあって、経験が乏しい中で大島(秀夫)監督が怪我明けの僕を信じて起用してくれてきょうがある。

 そういった人に感謝の気持ちを持ってやれば小さなミスとか、そういうネガティブな気持ちは出てこなかったので、とりあえず自分の特徴を出して、楽しむのを意識した」

 ボランチとして、今季初のクリーンシートに貢献した木村卓斗はこの試合への思いをこう振り返った。さらに、もうひとつ意識したことがあるという。

「(横浜F・)マリノスに関わる人は練習で見ているので、僕がどういう選手かわかっていると思いますけど、観客やサポーターの方は自分がどういう選手なのかを何もまだわかっていないのがずっともどかしかったので、僕はこういう選手だと表現することを一番意識しました」

 小学生から横浜F・マリノスの下部組織でプレーしてきた木村は明治大学を経て、2023年にトリコロールのユニフォームに袖を通し、プロデビューを果たした。



 だが、この年のリーグ戦の出場機会はなく、J3の愛媛FCに期限付き移籍。クラブのJ2昇格に貢献すると、2024シーズンからはJ2のヴァンフォーレ甲府に期限付き移籍した。AFCチャンピオンズリーグにも出場するなど、経験を積み、2025年にマリノスへ復帰した。

 満を持して臨んだ昨季だったが、J1デビュー戦となったガンバ大阪戦で右膝を負傷。後半アディショナルタイムに投入された直後の出来事だった。出場時間はわずか1分。右膝前十字靭帯損傷、全治8か月の大怪我だった。

 その後はリハビリを続け、今年のチーム始動日には全体練習に加わり、宮崎キャンプでも慎重に調整を続けていた。

 3月1日に行われたアスルクラロ沼津との練習試合でおよそ11か月ぶりに実戦復帰を果たすと、前節のFC東京戦で45分間ピッチに立った。

 そうした中で迎えた今節。支えになっていたものはあったのだろうか。

「自分を信じて楽しんで来い」。木村卓斗はピッチで自身の存在価値を示した

横浜F・マリノス 木村卓斗

攻守で躍動した横浜F・マリノスの木村卓斗【写真:Getty Images】

「僕はどちらかというと、サッカーでずっと生きてきたので、サッカーがうまくいかなかったり、思うようなプレーができなかったらすごく悩んだり、敏感なんです。本当にチームも個人も苦しいけど、トレーナーの方や家族、身近な人が『必ず良いことが待っているから』とずっと言ってくれた。

 きょうも試合に出る前に『自分を信じて楽しんで来い』というふうに言われて、周りの人に支えられて、恵まれているなと感じたので、自信を持ってやっただけです」

 残留争いで苦しんでいたチームをピッチで救うことができないもどかしさ、歯がゆさもあっただろう。

 その言葉通り、木村はピッチで自身の存在価値を示すように躍動した。

 木村の持ち味であるボール奪取で幾度もセカンドボールを回収。インテンシティの高さと球際への寄せの速さ、次のプレーを意識した予測、ボールを失った後のアラート、ポジショニングの良さなど、この1試合で評価するのは早いかもしれないが、期待を抱かずにはいられなかった。



「僕の特徴はボールを奪うことと、前に飛び出していってポケットを取ったり、(味方を)使うよりは剥がしたりするプレーも自分の特徴でもあるので、そういったところは日頃練習でやっている通りに出せました。

 試合で特別意識したというより、自分の1つの特徴だと思うので、そこは出せて良かったし、(山根)陸とも試合前からどちらかが行ったら必ずどちらかが残ることを意識してやっていたので、そこで良いプレーも出たので良かったと思います」

 攻撃でも44分、3列目から飛び出してポケットに進入し、ユーリ・アラウージョのシュートチャンスを演出した。マリノスが今季、掲げている“縦へ速く”というテーマを体現するかのように、前へ、ゴールへ向かう姿勢が感じられた。

 だが、木村の視線はすでに次を見据えているようだ。

木村卓斗が口にした課題とは?「過信せずにやりたい」

横浜F・マリノス 木村卓斗

宮崎キャンプで復帰を目指して調整を続けていた横浜F・マリノスの木村卓斗【写真:編集部】

「もっと前半から(ポケットを)取りに行きたかったんですけど、そこはまだまだ連係とか(の課題もあるし)、僕が主導になって動かすとか、周りとコミュニケーションを取って、もっともっとその回数を増やして、あとはそこの質をどれだけ上げられるかが大事だと思うので、過信せずにやりたいです」

 木村を先発で起用した大島秀夫監督は試合後、このように評価している。

「長い怪我から復帰して乗り越えて、前節も半分出て、パフォーマンスも良かったですし、彼の特徴である中盤での強度、局面を自分の方に持っていける力があるところでは、きょうはかなり持ち味を出してくれたかなと思います」

 持ち味は十分に発揮したが、怪我明けということもあって、後半開始早々に木村は足をつってしまう。



「もちろん、90分出たかったですけど、僕は90分出られるように調整してやるのがあんまり好きじゃなくて。自分の特徴である強度の高いプレーを出して、その時間を延ばしていくことを意識していた。

 後半最初のプレーでつりかけていたので『情けねぇな』と思ったんですけど、勝って反省できるのは本当に幸せですし、次はもっと長くいけるようにフィジカルコーチとかと話してトレーニングしたいなと思います」

 復帰してから練習試合も含めて3試合目だが、そこに対して甘んじるつもりはない。

1 2

KANZENからのお知らせ

scroll top
error: Content is protected !!