フットボールチャンネル

J2 24時間前

ベガルタ仙台の未来が見える。「そんなに何回も(チャンスは)ねえぞ」森山佳郎監督のアプローチが結果と育成を両立する【コラム】

シリーズ:コラム text by 小林健志 photo by Getty Images,takeshi kobayashi
ベガルタ仙台

明治安田J2・J3百年構想リーグEAST-Aにて首位を走るベガルタ仙台【写真:Getty Images】



 ベガルタ仙台は、明治安田J2・J3百年構想リーグ第7節を終えて、2つのPK勝ちを含む7連勝で首位をキープしている。森山佳郎監督は試合の結果を求めつつも、今後を見据えて若手選手にプレータイムを与え続けている。仙台の未来をどう築き上げようとしているのだろうか。(取材・文:小林健志)[1/2ページ]

まさに有言実行?森山佳郎監督は明治安田J2・J3百年構想リーグを有効活用している

ベガルタ仙台 新加入選手記者会見

「2026 ベガルタ仙台 新加入選手記者会見」でフォトセッションに臨む森山佳郎監督たち【写真:小林健志】

 1月の新加入選手記者会見の席上、森山佳郎監督はこんなことを語っていた。

「旬でしょう、ピチピチしてるでしょうという選手は容易に試合に出しやすい時期でもあるので、この期間をしっかり利用して、チームの総合力を上げていきたいなと思っています。

 昨年の新卒もかなり試合に出せそうな感じに成長してきてくれているので、そういう選手を使えると思いますし、ここにいる新卒の選手たちもそうです」

 こう指揮官が明かすように、明治安田J2・J3百年構想リーグでは、高卒・大卒1~3年目の選手たちを積極的に起用していくというプランを明かしていた。

 2月に百年構想リーグが開幕してから、地域リーグラウンド7試合を消化。もうすぐ折り返しを迎えようとしているが、この7試合を見る限り、そのプラン通りに、若手選手にプレータイムが与えられる状況が続いている。

 開幕から3試合連続で先発出場し、ユースから昇格したばかりのFW古屋歩夢は、2月7日の開幕戦・栃木シティ戦でロングフィードを足下でおさめ、ループシュートを決めて、勝利に貢献した。



 このゴールは2月度の明治安田Jリーグ百年構想リーグ月間ベストゴールに選出され、2月は全ての試合に出場したことから、2月度の月間ヤングプレーヤー賞とのダブル受賞となった。

 古屋の他にも、大卒ルーキーMF杉山耀建もWBやシャドー(インサイドハーフ)でドリブルを活かして活躍し、6試合に出場した。

 高卒2年目のMF南創太も開幕から右WBで出場機会を得て、2月28日の第4節・ヴァンラーレ八戸戦では先発出場を果たし、6試合に出場している。

 大卒2年目のMF湯谷杏吏も4試合に出場。阪南大学で活躍し、1年前倒しのプロ契約を結んだFW中田有祐は2試合に出場した。

 こうして若手選手を積極起用しながら、2試合のPK勝ちを含む開幕7連勝と確実に勝点を積み重ねられていることを考えると、順調かつ有効にこの百年構想リーグの期間を活用できていると言えそうだ。

「そんなに何回も(チャンスは)ねえぞ」森山佳郎監督が若手に要求すること

ベガルタ仙台 南創太

ベガルタ仙台加入2年目、19歳の南創太【写真:Getty Images】

 当然のことながら若手選手は経験不足であるが故に、ミスも起こりうるし、起用にはリスクがある。

 実際、ここ数試合は前半でアグレッシブな戦いを見せて、得点も奪えていたが、後半に入り、途中出場の若手選手が増えてくる時間帯で失点を喫してしまうことが続いていた。特に、試合終盤の戦い方が課題となっていた。

 森山監督は第7節・モンテディオ山形戦前の練習で、プレータイムを与えている若手選手に対して、もっと印象に残るプレーを見せてほしい、試合に出てその舞台で結果を残すことに貪欲になってほしいという考えを述べている。

「交代の選手がもうちょっと頑張らないといけない、頑張ってもらわないと困る部分もあるので、それはやってほしいですけどね。

 ケガ人も多いので、その分チャンスをもらえる選手が何度か試合に出ていますが、まだ痕跡を残せていない選手は『そんなに何回も(チャンスは)ねえぞ』というところで、死にもの狂いでチャンスをつかんでほしいなとは思います」

 さらに、後半から入る選手に対して、森山監督はもっと自分の良さやパワーを見せて活躍してほしいと要求する。



「チームの勝利に貢献するにはどうすべきかというところをしっかりと理解した中で、適切なプレーを選択するのと同時に、自分の良さをもっと出さないといけません。後半から出て、守備で追いかけ回すのは大変な部分がありますけど、後半に入ってきた選手のパワーというところで違いを見せていく必要があります。

 今後勝ち切っていこうと思ったら、長い時間0-0あるいは0-1で推移して、最後後半に出てきた選手が巻き返したみたいな、そういうゲームもしていかないと上位争いはできないと思うので、そこはまだまだ足りないところだと思います」

 若手選手にもさらなるアピールを求めるのは、夏からのJ2リーグのために選手層を底上げしたいからに他ならない。

「レギュラークラスを15、6人にしないと厳しいかなというところでは、もうちょっと(レギュラーを脅かす選手の人数が)広がっていかないと。南とか安野(匠)とか、もうちょっと来いよという感じで、頑張って戦力になってもらわないと困るんですけどね」

 高卒2年目の南やFW安野匠といった個人名を出すなど、さらなる奮起とその裏になる大きな期待を垣間見せた。

 こうして迎えたみちのくダービー、第7節・モンテディオ山形戦が3月22日、NDソフトスタジアム山形にて行われた。

指揮官が“もっとやってほしい”と名前を挙げた若手2人の存在

ベガルタ仙台 安野匠

ベガルタ仙台加入2年目の19歳、安野匠【写真:Getty Images】

 ところが、開始早々に思わぬアクシデントが起きる。山形のDFライン背後へのパスにFW小林心が反応し、自慢のスピードを武器にゴールに迫る。ペナルティエリアに入ろうかというところで、山形DF城和隼颯が小林を倒す。

 これがDOGSO(決定的な得点機会の阻止)の判定となり、城和は一発退場となってしまう。開始わずか2分で数的有利となった仙台は、その後、山形陣内に押し込み、決定機をつくり出していく。

 そして、9分。DF石井隼太がロングスローを入れる。はね返されるが、こぼれ球を拾った石井は相手陣内深くまで切り込んでクロスを入れる。これを大外から飛び込んで来たDF井上詩音がヘディングでゴールに押し込み、先制に成功した。

 しかし、その後、自陣で守備ブロックをつくり、カウンター攻撃に徹した山形に対し、仙台の攻撃陣はシュートチャンスもつくったのだが、山形GK渋谷飛翔のファインセーブもあって、ゴールを奪うことができず。逆にカウンター攻撃で何度かピンチを招くなど、仙台にとっては重苦しい雰囲気で試合が進んでいった。

 試合も終盤に差し掛かる76分、森山監督は先日の練習でもっとやってほしいと名前を挙げた南を右WBに、安野をFWにそれぞれ投入した。安野はこの試合が百年構想リーグ初出場だった。

 2人は何とか点を取ろうとがむしゃらに前へ向かう姿勢を見せた。最大のチャンスは86分、南が縦突破からカットインして、クロスを入れ、安野が低い姿勢でヘディングシュートを放った場面だったが、シュートは惜しくも渋谷に弾かれてしまう。



「南のクロスで安野が決めてくれれば、19歳コンビの見事な試合を決めるゴールだったんですけど」と森山監督もこのシーンを悔やんだ。

 その後も南は右サイドをドリブルで駆け上がり、安野は貪欲にシュートを狙ったが、ゴールは奪えず、スコアは1-0のまま仙台が山形に勝利した。

 森山監督は試合後、南と安野についてこのように評価している。

「南はスペースがあって、目の前の相手と仕掛けるような場面になるとかなりやるので、その良さは存分に発揮してくれたんじゃないかなと思います。

 安野もまだまだできることが多くはないですけど、ああやってギラギラとゴール前で得点に絡むような動きとか、足を振るところはやってくれるので、この2人については痕跡じゃないけど、良さを残すことができたんじゃないかなと思います」

 14分+アディショナルタイム、合計20分強の出場時間の中で、ゴールに向かう姿勢を見せ続けたことを評価していた。

1 2

KANZENからのお知らせ

scroll top
error: Content is protected !!