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コラム 18時間前

『教訓』と『謎』。サッカー日本代表のチャレンジは混乱を招いた。「Jリーグっぽい」堂安律が訴えた問題の根底【連載:北中米W杯への道1】

サッカー日本代表MF堂安律(2023年3月28日コロンビア戦)
サッカー日本代表MF堂安律【写真:Getty Images】



FIFAワールドカップカタール2022(カタールW杯)で初のベスト8進出を逃したサッカー日本代表は、再び森保一監督体制で次のW杯に向かうこととなった。この連載では、日本代表を現地で取材し続けるスポーツライターのミムラユウスケが、カタールW杯後からFIFAワールドカップ26(北中米W杯)までの日本代表の挑戦と苦悩を描き出す。(取材・文:ミムラユウスケ)[1/2ページ]
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生まれた『教訓』と残った謎『謎』

サッカー日本代表・名波浩コーチ(2023年3月28日コロンビア戦)
サッカー日本代表・名波浩コーチ【写真:Getty Images】

 森保一監督体制の2期目の初陣では、1つの『教訓』が生まれ、1つの『謎』が残った。

 『教訓』は、サイドバックのボランチ化の奥にあった。

 2023年3月、カタールW杯以来となる代表活動が行なわれた。この期間の親善試合ではウルグアイと1-1で引き分けた後、コロンビアには1-2で敗れた。


 この2試合を通して希望を見出せたのは、コロンビア戦の序盤ぐらいだろうか。開始3分に三笘薫が先制ゴールを決めた。しかも、森保一監督体制では初めて、鎌田大地がスタメンに名を連ね、守田英正とダブルボランチでコンビを組んだ。ボールを保持して、相手を圧倒する。そんな夢を抱きたくなるような展開が開始早々にはあったが、そうはならなかった。

 理由ははっきりしている。攻撃が機能しなかったからだ。

 目立ったのは、選手たちの戸惑う姿だった。特にこの2試合で先発したサイドバックの選手たち――菅原由勢や伊藤洋輝、バングナーガンデ佳史扶。ただ、彼らに原因があったわけではない。チーム全体の構造に問題があった。

 2022年のカタールW杯後に一部のコーチ陣の退任し、名波浩コーチと前田遼一コーチが加わった。そのなかで名波コーチは選手の前に立った最初のミーティングでこう話している。

「横さんがやっていた、攻撃的なコンセプトとか、トレーニングの構築とかを主に担当する。(カタールW杯までの自分は)外から(日本代表を)見ている人間だったんだけど、それを踏まえて、どういう風に感じたかというのをちょっと(映像を)見ながら。それプラス、3年、3、4ヵ月後にどうつなげていくかというのをみてほしい」

 その過程で提示されたのがサイドバックの選手がボール保持時にボランチのように中に入って攻撃をしかけるという形だった。

失敗に終わったサイドバックのボランチ化

サッカー日本代表DFバングーナガンデ佳史扶(2023年3月28日コロンビア戦)
サッカー日本代表DFバングーナガンデ佳史扶【写真:Shinya Tanaka】

 ただ、このトライ自体は失敗に終わった。

 まず、この形を徹底するのに十分な時間がとれなかったし、指導する側にもそのノウハウが十分にあったとは言い難かった。


 ここまで読むと、名波コーチに問題があると受け取られがちだが、それはあまりに早計だ。

 問題の根底はもっと深いところにあった。

 相手の守備を崩すための『手段』であるはずのサイドバックのボランチ化が、攻撃をする際の『目的』になってしまったことが問題だったのだ。

 そもそも、この『手段』に取り組んだ理由については、森保監督が後に明かしている。

「コスタリカ戦やクロアチア戦では、保持率をあげられた中で、効果的にアタッキングサードに侵入していくと言うことをやっていくとい部分で、ワールドカップでの振り返りから、『何を積み上げていかないといけないのか』というテーマとしてのチャレンジポイント」

 しかし、『手段』が目的となり、成果を上げるどころか、混乱を招いた。実際、2試合を終えた時点で選手たちからは戸惑いの声があがった。なかでも秀逸だったのは堂安律の指摘だろう。

「Jリーグを批判しているわけじゃないですけど、Jリーグっぽいサッカーをしている感じが僕にはあります。もっと欧州の縦に速く、もっとゴールに向かっていくサッカーで、歓声が常に響いて、素早く攻守が入れ替わり、シンプルにゴールに向かうのが大事かなと思います」

 堂安が訴えたかったのは、ただ一つ。攻撃のテンポの遅さだ。得点のにおいがするような攻撃ができなかったのもそこに原因があった。

堂安律が訴えたかった問題点と選手たちの戸惑い

サッカー日本代表MF堂安律(2023年3月28日コロンビア戦)
サッカー日本代表MF堂安律【写真:Getty Images】

 得点の可能性をあげるためには、どうすべきか。セットプレーをのぞけば、カウンターからの展開が最も効果的だ。ボールを奪ってからすぐに相手ゴールに向かうことで、得点確率はあがる。実際、ペップ・グアルディオラが「カウンターのリーグ」と評したブンデスリーガは5大リーグのなかでもっともゴールが生まれるリーグである。それがボールを奪ってから時間をかけずに仕掛ける攻撃が得点につながる可能性が高いと言われる所以である。


 つまり、攻撃がゆっくりしていたという指摘は、「攻撃に迫力を欠いた」ということを意味する。

 では、どうして、停滞したのか。何故、選手たちは戸惑ったのか。

 選手たちからのフィードバックを受け、コーチ陣とのミーティングを経た森保監督は、後にこう振り返っている。

「攻撃の優先順位の(素早く)前に行くと言うのを持った上で、課題に取り組むと言うところだったですけど、メンバーが変わった中であったので、チャレンジするポイント、テーマとして挙げた部分に(意識が)行ってしまって。その前の部分が抜けてしまった」

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