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コラム 14時間前

森保一監督は語気を強めた「まだ、あの質問のことを引きずっているんですか!?」。サッカー日本代表のプロセスを問う【現地取材コラム】

シリーズ:サッカー日本代表・北中米W杯への道 text by ミムラユウスケ photo by Getty Images, Shinya Tanaka
イングランド代表戦前日会見に臨むサッカー日本代表の森保一監督
イングランド代表戦前日会見に臨むサッカー日本代表の森保一監督【写真:Getty Images】



3月の英国遠征でスコットランド代表、イングランド代表を撃破したサッカー日本代表。歴史的快挙となった一方で、チームが目指すFIFAワールドカップ26優勝という目標を鑑みたとき、この2試合のプロセスの検証は必須となる。日本代表を現場で取材し続けるスポーツライターのミムラユウスケが、森保一監督とのやり取りから問題の本質を探る。(取材・文:ミムラユウスケ)[1/2ページ]
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スコットランド戦で見えた課題の核心

スコットランド代表戦のサッカー日本代表
スコットランド代表戦のサッカー日本代表【写真:Getty Images】

 3月30日のイングランド戦前日会見、そして4月7日の帰国直後の空港での囲み取材。2度にわたるやり取りの中に、森保一監督の戦術観と、日本代表が抱える課題の核心が浮かび上がった。

 まず整理しておくべき背景がある。

 3月28日のスコットランド戦、森保監督は3-1-4-2という攻撃的フォーメーションを採用した。攻撃の厚みをもたらすという点では機能した一方で、守備面では選手間にズレが生じ、一部の選手から戸惑いの声が聞かれた。

 もちろん、そうした声は、監督を責めたいと考えて発せられたものではない。むしろ、W杯優勝という目標に向け、時間がないなかで、チームの完成度を上げることを本気で取り組んでいるからこそ生まれるものである。ヨーロッパのサッカー界ではごくありふれた光景だ。


 3月30日のイングランド戦前日公式記者会見で、スコットランド戦における3-1-4-2の守備面での課題について筆者が森保監督に問うと、以下のやり取りとなった。

 ――メキシコ戦やスコットランド戦で3-1-4-2にした時は不安の声が出ていたが、戦術の作りこみをしていないから仕方がないと考えているのか、本大会に向けてそういう風にならないように考えますか?

 「(沈黙のあと)選手たちから何も言われてないので、お答えのしようはないです。以上です」

 ――メキシコ戦の時に守備の修正をしたのか、前の人数を増やしたというズレがあったと。スコットランド戦では守備が上手くはまらなかったですし、フォーメーション変更自体も伝わっていないところがありましたが?

 「そうですね。それは私のミスかなと思います。以上です」

 以下のURLから、このときの記者会見でのやり取りの完全版は確認することができる。

語気を強めた森保一監督「まだ、あの質問のことを引きずっているんですか!?」

イングランド代表戦後のサッカー日本代表
イングランド代表戦のサッカー日本代表【写真:田中伸弥】

 4月7日、欧州視察から森保監督が帰国した。空港でのやり取りは、会見場とは異なる空気をはらんでいた。帰国直後という疲労がある場面とはいえ、記者会見という公式の場でもない空港で飛び出したのは、より素の反応に近い。語気を強めるシーンもあった。

 ――イングランド戦の勝利に向けたプロセスについてうかがいたいのですが。イングランド戦の前日すごく良い練習ができたと。『試合中にフォーメーションを変えたときに、守備がはまらないような時があったときに、どうしたらいいのか』をみんながすごくすり合わせができた感じだったそうですけど、監督はそれを見てどういうふうに感じていたのですか? また、その前日練習の前、会見の時にその時はまだ把握していないとおっしゃっていましたが、その状況でそれを把握して、次の試合の采配には具体的にどうやって役立てた感じですか?

 「まだ、あの質問のことを引きずっているんですか!? スコットランド戦の後半、はまらなかったところはもちろんあると思います。でも、結果はどうなりましたか?」


 ――選手を取材していて、同じ目線で考えたときに……スコットランドに勝ったことがゴールではなくてW杯優勝という目標があって、(あの試合でも)改善点はあるよねという視点で選手はやっているのに、取材する側が『結果が出ました、よかった、よかった』と言っていたら、それは失礼じゃないですか、取材する立場として。なので、僕はスコットランド戦で『結果が出たことは素晴らしい』と、それは言い続けている。ただ、そこからW杯優勝に向けてのプロセスでおかしい、足りないところがあるから、同じ目線に立って取材しているのに。監督は『いつもプロセスが大事だ』と言うのに、なんでそこで『結果が……』と言う話をするんですか?

 「自分(*筆者自身のこと)じゃないですか?」

「僕はプロセスの話を聞いていますよ」

スコットランド代表戦のサッカー日本代表
スコットランド代表戦のサッカー日本代表【写真:Getty Images】

 ――僕はプロセスの話を聞いていますよ。

 「いやいや、プロセスは……。あの試合に関しても、私のミスを、結局はついてきている……」

 ――いやいや。

 「……という受け止め方」

 ――あ、監督の受け止め方が?

 「そういう受け止め方しかできない(ような筆者の)普段からの質問なので。そういう感じで受け止めています。ただ、勝っても、負けても、成果と課題があるとずっと言って来ていますので」


 ――そうですね。

 「そこに関しては、勝ったからということで、先ほども言いましたけど、慢心もない。フレンドリーマッチなので、公式戦の方が厳しい戦いだということは、常に考えています。こういう話は長くなってしまうので……(中略)。
 『相手がこうしたらこうする、相手がこうなったらこうする』。それは、本当にできますか?! サッカーを知っている方なら……。チームでの準備を最大限しますけど、そうではない時に、スクランブルで点を取る(ための采配をすることがある)。そして、しっかり点を取った。攻撃も守備もバランスが良いに越したことは無いですけど、何かリスクを犯して点を取らないといけないと言うことも想定してやっていると言うことなので。点は取ったけど、守備の答えがないということではないです!」

 このあと、「それで最初の質問の答えは……」と質問を投げかけ始めたところで、別の記者が、このテーマについて違う観点から質問したので、やり取りはここで途切れた。

 このやり取りを通してうかがえるのは、2つの異なる解釈だ。その両方が存在することが健全だし、森保監督の魅力だろう。

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