フットボールチャンネル

J2 13時間前

劇的勝利の立役者・長谷川竜也が示したベテランの必要性。北海道コンサドーレ札幌が勝つためにとった行動とは「俺たちがもう一回…」【コラム】

シリーズ:コラム text by 黒川広人 photo by Getty Images
北海道コンサドーレ札幌 長谷川竜也

北海道コンサドーレ札幌の長谷川竜也【写真:Getty Images】



 まさに仕事人と言える働きだった。北海道コンサドーレ札幌が首位のいわきFCをホームに迎えた第12節。0-1のビハインドからアディショナルタイムに2発を叩きこみ、大逆転勝利を飾った。その立役者の一人が2ゴールを演出した長谷川竜也だ。確かな技術と戦術眼を武器に数々のタイトルを経験してきたドリブラーもプロ11年目の32歳を迎えた。この一戦は改めて、その存在の大きさを示すものとなった。(取材・文:黒川広人)[1/2ページ]

明治安田J2・J3百年構想リーグ・地域ラウンド第12節
北海道コンサドーレ札幌 2-1 いわきFC
大和ハウス プレミストドーム

長谷川竜也に与えられたチャンスは20分強「怜依にもずっと言っていた」

 0-1のビハインドで迎えた後半の68分。当初の2枚替えの予定から、3枚替えへと変更された。追加で呼ばれたのが長谷川竜也だった。

「最初はトイレに行っていたんです(笑)。でも、直前に失点してしまって、急きょ3枚替えになって。点を取りに行くというところを期待されて投入されました」

 残された時間は20分強。それでも、長谷川なら何かを起こしてくれる、そんな予感があった。

 その予感は90+2分に現実となる。アマドゥ・バカヨコのパスを左サイドで受けた長谷川は鮮やかなボールコントロールから切り返し、右足でクロス。十八番とも言えるカットインからのクロスに走り込んだ家泉怜依が頭で合わせた。

「竜也くんのボールが素晴らしかった」

 家泉がそう賛辞を送る完璧なクロス。長谷川自身もイメージ通りだった。



「あの瞬間、怜依を見ていたので、あとは狙った場所に丁寧に蹴るだけでした。怜依にもずっと言っていたんです。ゴールにアタックしてくれって。自分が出たら準備しておくと怜依もずっと言っていたので。良い形で決めてくれて良かったです」

 ドラマはこれで終わらない。

 続く90+4分、再び、左サイドでボールを受けた長谷川はドリブルで縦に仕掛け、相手DFのファールを誘発。

 獲得したフリーキック(FK)を自ら蹴り込むと、またもやボールは家泉の頭へピンポイントで届いた。そのヘディングシュートは相手GKに弾かれたものの、最後は大森真吾が押し込み、劇的な逆転勝利となった。

 7連勝で首位を走っていたいわきFCを撃破する最高のフィナーレを演出したのは、間違いなく長谷川だった。だが、当の本人は冷静に振り返る。

「やってきて良かったな」長谷川竜也が積み重ねてきたもの

北海道コンサドーレ札幌 家泉怜依

長谷川竜也のクロスから同点ゴールを決めた北海道コンサドーレ札幌の家泉怜依【写真:Getty Images】

「FKの前に相手がカットインを警戒しているのはわかっていたので。縦に仕掛ければ、いけると思っていました。結果的にファウルになりましたけど。FKも怜依しか見ていなかったので、そこに合わせるだけでした。キーパーが出てきそうだったので、ファーには蹴らないようにして、真ん中に狙いました」

 与えられた状況で確実に仕事をこなす“仕事人”。今季、ここまで出場は3試合にとどまっていたが、やるべきことを積み重ねてきた自負がある。

「日頃から自分なりにこだわってやってきました。クロスもそうですし。やっぱり練習の成果というか、積み重ねがあってこそ、ああいうプレーが出たと思います。結果が出て嬉しい気持ちもありますけど、『やってきて良かったな』という気持ちが一番です。

 自分自身、チャンスをもらったからには結果が常に欲しいと思っていたし、結果的にそれが得点に結びついて本当に良かったなと」

 今シーズンは苦しい時間が続いた。



「今シーズンは調子が上がってきたときに怪我で離脱したり、先週も離脱したりと本当に悔しい思いをしてきました」

 開幕から出場機会がない中で迎えた、2月の日本大学との練習試合。長谷川は闘志を剥き出しにして、何がなんでも次の出番を掴むという気迫を滲ませながらプレーしていた。

 だが、その中で左ハムストリングの肉離れを発症。ピッチを後にする際には、足を引きずりながら、目元に光るものがあるほど、悔しさを隠しきれなかった。

「その前日と前々日に大学院の卒業発表があって。練習を休んでいたので。次の試合に向けて相当気合が入っていました。練習試合も無理をしない選択もできたんですけど、やりたい気持ちが強くて。でも、やるときはそういうときだなという…」

 チームが開幕から1勝4敗と低迷する中、ジュビロ磐田戦の2日前に長谷川が動いた。30歳以上の経験豊富な選手たちを中心に声をかけ、青空ミーティングを開催したのだ。

「俺たちがもう一回、ガツガツとプレーして、基準を示していきましょう」

北海道コンサドーレ札幌 長谷川竜也

北海道コンサドーレ札幌加入3年目の長谷川竜也【写真:Getty Images】

「僕らベテランにとって、このリーグ戦はすごく難しい側面もあると。チャンスがなかなか来にくい側面も少なからずあります。ただ、ベテランの振る舞いや行動。言動がチームの基準になってくるとも思っていたので。そこで俺たちがもう一回、ガツガツとプレーして、基準を示していきましょうという話をしました」

 それが試合結果の直接の要因とはしないが、確かな変化はあった。

「実際に俺はこう思っている、といった話す機会は作らないと生まれないので。そういった部分で、経験のある選手がそれぞれ思っている生の声を聞けた。それは人間関係を築く上で非常に大事なことだと思います。



 それが良かったなと。それをやったからチームの結果が良くなったとか、そういう単純なものではないのはわかっていますが、みんなの思いを聞けた意味ですごく良いきっかけだったと思います」

 これまで以上に若手選手とのコミュニケーションが増えた側面もあるという。

1 2

KANZENからのお知らせ

scroll top
error: Content is protected !!