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コラム 4時間前

まさに「保育園」。レアル・マドリードの崩壊はなぜ起きたのか。弱体化を招いたものは明確。現実から目を背けるな【コラム】

レアル・マドリード

バルセロナに敗戦を喫したレアル・マドリード【写真:Getty Images】



 レアル・マドリードはなぜここまで崩れたのか。期待に満ちたプロジェクトはなぜ頓挫し、チームとしての機能を失ったのか。エル・クラシコで突きつけられた現実を起点に、その内側で起きていた崩壊の連鎖と、復権に向けて避けては通れない課題を紐解く。(文:佐藤彰太)[1/2ページ]

必然の結果だったラ・リーガの優勝争い

バルセロナ

ラ・リーガ通算29度目の優勝を果たしたバルセロナ【写真:Getty Images】

 何とも皮肉な光景だった。

 これほどまでに熱量を感じさせない、淡々とした展開のエル・クラシコは極めて異例と言える。

 あえてこの一戦を観ないという選択をしたマドリディスタも、世界中に少なからず存在しただろう。

 それほどまでに、現在のレアル・マドリードはネガティブな話題が尽きない。

 現地時間10日に行われたエル・クラシコで、バルセロナが2-0で勝利し、ラ・リーガ通算29度目の優勝を成し遂げた。



 今季を象徴するかのようなマドリーの低調なパフォーマンスもあり、あっけなく決着がついたラ・リーガの優勝争いは、もはや必然の結果だった。

 前半開始早々、マーカス・ラッシュフォードの直接フリーキックで先制したバルサは、18分にフェラン・トーレスが追加点を奪い、リードを2点に広げた。

 引き分け以上で優勝が決まる一戦で、バルサは序盤から畳み掛けるように攻撃を仕掛ける。

 スタジアムでは、パスが小気味よく回るたびに「Ole!」の大合唱がこだまし、早くも優勝を確信したクレ(バルセロナのサポーターの愛称)たちの熱気に包まれていた。

 改修工事に目処がつき、昨年11月から使用が再開されたバルサの本拠地カンプ・ノウで、宿敵の歓喜を見届けることになったレアル・マドリード。今シーズンは、まさにジェットコースターのように浮き沈みの激しい一年だった。

期待から崩壊へ、白い巨人の迷走

レアル・マドリード、ヴィニシウス

バルセロナの選手たちと言い争うヴィニシウス・ジュニオール【写真:Getty Images】

 2025年5月、クラブOBであり、長年監督候補として名前が挙がり続けてきたシャビ・アロンソの招へいに成功。キリアン・エンバペ、ヴィニシウス・ジュニオールの2大エースを軸に、新戦力のトレント・アレクサンダー=アーノルドやフランコ・マスタントゥオーノら新戦力も加わり、最強チーム完成への期待は大きく膨らんでいた。

 しかし、結果は期待を大きく裏切るものだった。

 シャビ・アロンソはシーズン途中で解任され、今季もヴィニシウスの振る舞いはピッチ内外で議論の的に。新戦力も軒並み本来の力を発揮できず、チームは混迷を極めた。

 一度歯車が狂えば、簡単には元に戻らない。

 それは個性と主張が激しくぶつかり合う、白い巨人が長年抱える構造的欠陥だ。


 さらに今回の試合直前には、フェデリコ・バルベルデとオーレリアン・チュアメニがトレーニング中に衝突する事態が発生した。

 口論の内容が現地紙に報じられたことを受け、バルベルデはチュアメニによるメディアへのリークを疑ったが、チュアメニはこれを否定。しかし、報道を巡る不信感から両者の関係は急速に悪化した。

 最終的には衝突がエスカレートし、チュアメニがバルベルデに手を上げる事態に発展。バルベルデは頭部を強打して負傷し、数日間の安静を余儀なくされたことで、エル・クラシコの欠場を強いられる結果となった。

 チームを取り巻く環境は、まさに悪化の一途を辿っている。

物議を醸すエースの振る舞い

FWキリアン・エムバペ

クラシコを欠場したキリアン・エンバペ【写真:Getty Images】

 さらに今回のエル・クラシコでは、ラ・リーガ得点ランキング首位を走るエンバペが前日練習で負傷してメンバー外に。

 同選手は直近、負傷離脱中に恋人とイタリアでバカンスを過ごしていたことが報じられるなど、プロフェッショナルの欠如を指摘する声が相次いでいた。

 そして今日の試合中には、自身のインスタグラムでチームが2点のビハインドを背負っている状況の中継画面を、「Hala Madrid」(スペイン語で頑張れマドリーの意味)の文言とともに投稿。エンバペの意図は定かではないものの、クラブの顔とも言えるエースの振る舞いとしては、極めて印象の悪いものとなった。

 世界屈指のタレントが集うクラブは、もはや“集合体”としての機能を完全に失ってしまった。



 フロレンティーノ・ペレス会長の強い権限のもと、意思決定はトップダウンで進み、ピッチ上には統率者が不在。個の力で試合を動かすことはできても、困難な局面でチームを束ねる存在が見当たらない。

 シャビ・アロンソが指揮を執っていた際、練習中に自身の指示に耳を傾けない選手たちに対して「保育園で監督をするとは思わなかった」と嘆いたと報じられたことも、今となっては十分に頷ける話だ。

 結果として、チームは2シーズン連続の無冠が確定。大きな期待を集めてスタートしたプロジェクトは、まさかの弱体化という結末を迎えることとなった。

 そして、崩壊したチームに最後に待ち受けていたのは、カンプ・ノウで宿敵の優勝を見届けるという、あまりにも耐え難い屈辱だった。

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