41歳となった今も、ポルトガル代表の中心に立ち続けるクリスティアーノ・ロナウド。一方で、近年は「不要論」も絶えない。2022年W杯、2024年EUROでは期待された結果を残せなかったが、ロベルト・マルティネス監督は今なお絶対的エースとして信頼を寄せる。なぜロナウドは必要とされるのか。最後のW杯へ挑むレジェンドの現在地に迫る。(文:安洋一郎)[1/2ページ]
クリスティアーノ・ロナウドが最後の大会へ
世界中から熱い視線が注がれるFIFAワールドカップ(W杯)は、新たなスターが誕生する一方で、レジェンドにとって最後の晴れ舞台となることもある。
2006年ドイツW杯で“ラストダンス”を演じたジネディーヌ・ジダンの姿は、今なお語り草だ。
あれから20年。当時若手のホープとしてドイツ大会に出場していた選手もベテランとなり、北中米W杯を最後の舞台と位置づける名選手も少なくない。
アルゼンチン代表FWリオネル・メッシ、クロアチア代表MFルカ・モドリッチ、メキシコ代表GKギジェルモ・オチョア――。
そして、本稿の主役であるポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウドだ。
2003年の代表デビュー以降、エースとしてチームを牽引してきたロナウドは、226試合143得点という代表歴代最多記録を保持している。
通算5度のバロンドールを受賞した世界的スターは、2025年にサウジアラビアで開催された『TOURISEサミット』で、北中米W杯が自身にとって最後の大会になるかという質問に「間違いなくそうだ。その時は41歳になっているし、大きな大会に出場する最後の機会になると思う」と語り、今大会が、自身最後のW杯になる可能性を示唆した。
一方で、近年はポルトガル代表における「不要論」が取り沙汰されることも増えている。
クリスティアーノ・ロナウドは必要なのか?
2022年カタールW杯では5試合1ゴール、2024年のEUROでも5試合無得点。直近2大会ではエースとして期待されたほどの結果を残せていない。
実際に前線からの守備強度や攻撃の流動性を重視する現代サッカーにおいて、ロナウドの存在が“チームを止める”という指摘もある。
41歳となった今でも、ロナウドはポルトガル代表に必要な存在なのだろうか。
結論から言えば、ロナウドを外すという選択肢は現実的ではない。
所属するアル・ナスルでは過去2シーズン連続でリーグ得点王に輝き、ポルトガル代表でも直近30試合で25ゴールを記録するなど、高い得点力を維持している。
何より、現状のポルトガル代表には、ロナウドからエースの座を奪い切れるストライカーが存在しない。
ゴンサロ・ラモスは有力候補だが、所属クラブでは控えに回る試合も少なくない。
ロナウドとラモスに続くストライカーも定まっておらず、3月に6年ぶりの代表復帰を果たしたトルーカ所属のパウリーニョが、現時点では最有力候補だろう。
若手では、2025年のU-17欧州選手権とU-17W杯でエースとして優勝に貢献した18歳のアニシオ・カブラルといった有望株もいるが、センターフォワード不足は現在のポルトガル代表の課題の一つだ。
クリスティアーノ・ロナウドはスタメンで起用すべき?
ロナウドが41歳となった今でも第一線で戦えているのは、年齢に合わせてプレースタイルを進化させてきたからだ。
若い頃のロナウドは、自慢のドリブルを武器にボールを持てば脅威だった。だが今、最も危険なのは“ボールを持っていない時”かもしれない。
スピードの衰えは明らかで、運動量や走行距離でも、現代のトップレベルのストライカーに見劣りする部分がある。実際に全盛期のようにピッチを支配することはなくなった。
それでも、ゴール前だけは時間を止められる。相手DFの死角へ入り込み、ワンタッチで仕留める技術は世界屈指だ。
また、彼の価値は得点だけではない。
ロナウドは今も、相手DFを引きつける存在だ。ボックス内で絶えず動き続けることで守備ラインを押し込み、その結果として周囲にシュートスペースが生まれる。
現在のポルトガル代表にはミドルシュートを武器とする選手が多く、ロナウドの動きが攻撃全体を活性化させる場面も少なくない。
さらに、常にボックス内でアクションを起こしているため、こぼれ球への反応も抜群だ。2025年3月のデンマーク戦で見せたゴールは、「いつ」「どこへ」走り込むべきかを熟知しているからこそ生まれたゴールだった。
一方、ラモスは前線からの守備強度に優れるタイプであり、戦術面では異なる特徴を持つ。
ただ、守備負担の大きいロナウドを先発で起用したとしても、今のポルトガル代表にはそれを補えるだけの戦力が揃っている。
