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コラム 5時間前

イタリアのサッカー人気はこのまま落ちていく一方か。国民の関心は今やテニス。子供の興味がカルチョに向かないのも無理はない【コラム】

イタリア代表
3大会連続でW杯出場を逃しているイタリア代表【写真:Getty Images】



 イタリアに異変が起きている。かつて同国の人気スポーツと言えばサッカーが圧倒的だったが、代表チームが3大会連続でFIFAワールドカップ(W杯)出場を逃すなど、弱体化している影響もあり、その人気に陰りが見え始めている。そんな中、いま国民の関心は、テニス一色だ。カルチョは、このまま忘れ去られてしまうのだろうか。(文:佐藤徳和)[1/2ページ]

サッカーよりも話題になったのは…

 イタリア・スポーツ界に“異変”が生じている。

 25/26シーズンのセリエAは、インテルの21度目の優勝で決着した。しかし、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)出場権争いは最後まで熾烈を極め、最終的にインテル、SSCナポリの2クラブに加え、ASローマ、そして大逆転でコモ1907の4チームが獲得した。

 ところが、CL権争い真っただ中だった第37節の翌日、イタリアのスポーツ紙『ラ・ガッゼッタ・デッロ・スポルト』(以下、『ガッゼッタ』)の一面を堂々と飾ったのは、イタリア・テニス界のエース、ヤニク・シンネル(英語読みではシナー)だった。

 17日、ローマは、カルチョとテニスで二分された。

 まずは12時にスタディオ・オリンピコでASローマとSSラツィオのローマ・ダービーがキックオフ。そして、5時間後の17時には、スタディオ・オリンピコを含むフォーロ・イタリコ(スポーツ・コンプレックス施設)に併設されているローマ中央テニス競技場で、テニスのイタリアBNL国際トーナメント決勝が開催された。

 世界ランキング1位のシンネルが23位のカスパー・ルード(ノルウェー)を6―4、6―4で下し、今季ツアー5勝目、通算29勝目を挙げた。

 イタリアBNL国際トーナメントをイタリア人プレーヤーが制するのは、元世界4位でローマ出身のアドリアーノ・パナッタ以来、実に50年ぶりの快挙であるとともに、四大大会に次いで格が高く年間9大会あるマスターズで、ノバク・ジョコヴィッチ以来2人目となる、9大会全制覇を果たす偉業でもあったのだ。

『ガッゼッタ』は、「IL GIGANTE(巨人)」「ローマの王」の見出しとともに、実に1面から15面までをシンネルの記事で組んだ。16日の一面も、その前日に7位ダニール・メドベージェフ(ロシア)に勝利し、決勝に駒を進めたシンネルであった。


極めてまれな現象

 カルチョのイタリア代表はノルウェー代表に叩きのめされたが、シンネルは、そのノルウェーのルードから“リベンジを果たした”。ルードも準優勝インタビューでカルチョのイタリア代表に触れ、スタンドから大きな笑いを誘った。

「まず何よりも、ローマで初めてタイトルを獲得したヤニクを祝福したい。君がやっていることを言葉で表現するのは難しい。君と同じコートを共有できることは私にとって名誉だ。君が自分自身のため、君の祖国のため、そしてテニス界のためにやっていることは、本当に並外れている。一方、サッカーでは、物語は少し違ったものだった……」

 欧州で最も古い歴史を持つスポーツ紙『ガッゼッタ』の一面は軒並み、カルチョが取り上げられる。佳境を迎えたシーズン終盤であれば、なおさらのことだ。

 例えば、イタリアの人気スポーツ、バレーボールの男子代表が、世界選手権で2連覇を達成しても、『ガッゼッタ』の一面トップはミランが飾り、バレーボールは二番手の扱いだった。

 言わば、それだけテニスに関して人々の関心が高まっていることを意味する。近年は、シンネルの活躍により、テニスが一面を飾ることがあったが、セリエAがこれだけ重要な局面を迎えた中での一面は極めて稀な現象と言っていいだろう。

 カルチョのイタリア代表が、FIFAワールドカップ2026(北中米W杯)欧州予選の最終戦、ノルウェー代表戦で1-4と惨敗を喫したこともあり、翌日の一面トップは、トリノで行われたATPファイナルズの決勝で2位カルロス・アルカラス(スペイン)を破り、頂点に立ったシンネルであった。カルチョのイタリア代表は、ノルウェーに敗れただけでなく、テニスにも“屈した”。

 イタリア国際トーナメント決勝への関心は数字の上でも如実に表れている。


コッパ・イタリア決勝の視聴率は過去17年で最低

 イタリア紙『コッリエーレ・デッラ・セーラ』によると、イタリアBNL国際決勝は、『SKY ITALIA』が運営する民間放送の『TV8』で放送され、313万人が視聴し、視聴占拠率(日本とは異なり、世帯全体ではない)は25.2%だった。

 また、有料放送の『Sky Sport Uno』と『Sky Sport Tennis』でも中継され、総合視聴者数は平均143万8000人、視聴占拠率11.6%で、Skyにおけるテニス中継として史上6番目の高視聴率を記録している。総合すると、この決勝戦は460万人の視聴者を集め、視聴占拠率は36.7%を記録している。

 一方、カルチョはどうだろうか。

 5月13日にローマのスタディオ・オリンピコで行われたコッパ・イタリアのファイナル、SSラツィオ対インテルは、6万8729人が入場し、コッパ・イタリア史上最高のチケット収入を記録した決勝となった、とイタリア・メディア『カルチョ・エ・フィナンツァ』が伝えている。

 観客動員では成功した一方、述べ556万人が視聴し、視聴占拠率では27.8%を記録したものの、これは平均視聴者数の面で、過去17年間のコッパ・イタリア決勝として最悪の数字となってしまった。

 30%を下回り、2010年以来最低の視聴占拠率を記録。2012年のユヴェントス対SSCナポリの決勝は、1158万6000人が視聴、視聴占拠率は42.5%、2010年のASローマ対インテルは1169万5000人の視聴、視聴占拠率は39.9%の高い数字を叩き出していた。

 それが今年の決勝は、視聴者数が約半減してしまっている。昨年のミラン対ボローニャ戦も653万人の視聴、30.9%の視聴占拠率とこの17年で2番目に低い視聴者数となっている。

 スタジアムに足を運ぶコアなファンは一定の数字を確保しているが、テレビで視聴をするようなライト層は如実に減少していることが分かる。これは、イタリア・サッカーの凋落と無関係ではないだろう。

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