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コラム 8時間前

長谷川唯が「正直、この4年で1番悪かった」と話した理由。マンチェスター・シティで優勝も、世間の評価とは対照的な本音【単独インタビュー前編】

シリーズ:コラム text by 竹中愛美 photo by Getty Images
マンチェスター・シティWFC 長谷川唯

マンチェスター・シティWFCの長谷川唯【写真:Getty Images】



 イングランド女子1部リーグ(WSL)のマンチェスター・シティWFCに移籍してから、今季で4シーズン目を迎えた長谷川唯。リーグ戦20試合に出場し、中盤の軸として攻守のバランスを整え、10シーズンぶりの優勝に貢献した。リーグ優勝後初のインタビューで、海外に来てから初タイトルとなった今季について心境を明かしてくれた。(取材・文:竹中愛美)[1/2ページ]

【単独インタビュー/取材日:5月20日】 

「今までの3年間も無駄ではなかった」

最終節後、WSL優勝トロフィーとともに写真撮影に応じるマンチェスター・シティWFCの長谷川唯

最終節後、トロフィーとともに写真撮影に応じるマンチェスター・シティWFCの長谷川唯【写真:Getty Images】


「今年は監督が代わって、いろいろ新しくなった中、今までの土台があったからこそ、このタイミングで優勝できたのかなというのが正直なところです。自分が入ってから4年目でやっと優勝できましたけど、今までの3年間も無駄ではなかったなとすごく感じます」

 現地時間5月6日に行われたイングランド・ウィメンズ・スーパーリーグ(WSL)第16節。

 消化試合数の少なかった3位、アーセナル・ウィメンがブライトン・アンド・ホーヴ・アルビオンWFCに引き分けたことで、最終節を待たずにマンチェスター・シティWFCのリーグ優勝が決まった。

 シティは今季、開幕戦で6連覇中の王者・チェルシーFCウィメンに敗れるも、第2節から怒涛の13連勝で首位を独走した。

 冒頭の長谷川唯の言葉にもあるように、前任のガレス・テイラー監督が積み上げてきた、ボールを保持して主導権を握るスタイルに、今季から指揮を執るアンドリエ・ジェグラーツ監督が強度と縦への推進力を加えたこともシティの躍進に繋がったのだろう。

 長谷川は両監督に対する印象を「本当に対照的な監督だなって。もちろん、サッカーのモデルとして繋ぐか蹴るかというところだと、繋ぐのは一緒の部分ではあります」と述べ、こう続けた。

「より個人が自由に動いて、自分の特徴を存分に発揮するのが今年のチームの特徴で、自分が今までやってきた3年間はポジションを大事にしながら、チームとしてどうやってボールを動かしていくのかという中で、規律のあるサッカーだったなと思う。

 どちらが良い悪いというのもなくて、自分は組み合わせたら1番ベストかなと思っている。去年までやってきた基礎が今年、自由も加わって、どちらもあるサッカーができたので、良い結果になったのかなとは思います」

 さらに、長谷川は「ゴールに向かう姿勢が去年と1番変わったところ」だと言い、優勝できた要因についてこのように振り返る。

「ここ数年はなかなか…」海外移籍後初タイトルに思うこと

優勝セレモニーでチームメイトともにインタビューを受けるマンチェスター・シティWFC 長谷川唯

優勝セレモニーでチームメイトともにインタビューを受ける長谷川唯(下段一番左)【写真:Getty Images】


「今まですごく綺麗なサッカーというか、表現の仕方はいろいろあると思うんですけど、ビルドアップからゴールまで綺麗にというか、崩して、確率が高いボールの回し方があった。特に一昨年とかの優勝を逃したときは最後の勢いが足りなかったのをすごく感じた。

 去年は本当に怪我の影響もあって、怪我人がいなかったらどうなってたかなというのは正直ありますけど、今年は最後のゴール前のところでのみんなの仕掛けだったり、思い切りの良さが総得点の多さにも繋がっていますし、優勝できた要因の1つかなとは思います」

 シティは、21ゴールで得点女王に輝いたカディジャ・ショーの活躍もあり、リーグ断トツの62ゴールを挙げた。守備もリーグ2番目に少ない19失点と安定した戦いができた。

 2021年1月、日テレ・東京ヴェルディベレーザからイタリアのACミラン・ウィメンに移籍してから実に5年。長谷川にとって、海外移籍後初めて手にしたタイトルだけに、喜びもひとしおだ。

「日本でやっているときはタイトルを獲らなければいけないチームにいたのもありますし、本当に多くのタイトルを獲得させてもらっていた。ここ数年はなかなかタイトルが獲れなくて、結構ギリギリのところまで行ったりもしていたので、悔しい思いをしていた。

 もちろん、カップ戦なども大事ですけど、やっぱり1年間の積み重ねが結果につながるリーグ優勝ができたのは、すごく自分にとっても価値があります」

 長谷川個人に焦点を当てると、今季は20試合出場で2ゴール2アシストをマーク。

 数字としては一見、少し物足りなさを感じるが、数字には表れないボールを持ったときの落ち着きや絶妙なタイミングでのランニングなど、献身的なプレーでの貢献度は計り知れないものがある。

 自身のプレーについてはどう感じているのだろうか。

長谷川唯の自己評価「正直、今シーズンのプレーは…」

マンチェスター・シティWFC 長谷川唯

マンチェスター・シティWFC加入4年目の長谷川唯【写真:Getty Images】


「去年までと本当に役割が大きく変わったので、去年は本当に得点が取れるチャンスはほとんどなかった。今年はなかなか点は取れていないですけど、前に行くシーンもあって、もう少しゴール前に入っていけていたらという部分があった。本当に数字としては自分自身も物足りないところがあります。

 その中でも本当にいろんな人に評価してもらって、数字だけではなくて、守備の部分での貢献度もそうです。ゴールまでのビルドアップでの自分の役割をすごく理解してくれる人たちが周りにいるおかげで成り立っているのかなとすごく感じる。だけど、自分自身はそういう中でももう1つゴールやアシストを増やしたかったなというのは正直なところです」

 リーグ優勝を果たした価値あるシーズンは、長谷川の中ではどちらかというと、手応えよりも、課題のほうが多く言葉をついて出た。

 それは、現地時間5月18日に発表されたWSLの年間ベストイレブンに選出されたという話題を出したときもそうだった。

「もちろん、評価されることは光栄ですけど、自分の中ではリーグやジャーナリスト、コーチなどからの投票よりもやっぱり対戦している選手たちが(票を)入れるベストイレブンに入れたらいいなというのがある。今年は(PFAの方は)まだわからないんですけど、正直、他の賞はあんまり気にしてない」と率直な思いを明かし、自身に矢印を向けた。

「正直、今シーズンのプレーはこの4年の中で、自分の中では1番悪かったなと思っています。自分が1番納得できるのが1番良いプレーかなとは感じているので、今年優勝できましたけど、来シーズンはもうちょっとプレーのところで自分が納得できるプレーができたらいいかなと思います」

 対外的な評価とは裏腹に、長谷川の評価は辛口だった。気になって、彼女が目指す納得できるプレーとは何なのか、聞いてみた。

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