
マンチェスター・シティWFCの長谷川唯【写真:Getty Images】
イングランド女子1部リーグ(WSL)のマンチェスター・シティWFCに移籍してから、今季で4シーズン目を迎えた長谷川唯。リーグ戦20試合に出場し、中盤の軸として攻守のバランスを整え、10シーズンぶりの優勝に貢献した。リーグ優勝後初のインタビューで、海外に来てから初タイトルとなった今季について心境を明かしてくれた。(取材・文:竹中愛美)[2/2ページ]
【単独インタビュー/取材日:5月20日】
「自分は『嫌だ』って言ったんですけど(笑)」

長谷川唯は最終節のウェストハム・ユナイテッドFCウィメン戦で、試合途中からキャプテンマークを巻いた【写真:Getty Images】
「チームのやり方が変わったのはすごくあるんですけど、プレッシャーや守備の部分でボールを取る回数が減った。マンツーマンみたいに自然とマークがついていると、ボールが来ないので(ボールを)取るシーンが減るなというのが1つある」と前置きをしたうえで、自身のプレーについて話し始めた。
「チームがそういうやり方をする中でもどう自分がボールを取りやすい状況を作るかとか、周りの選手への伝え方とかも含めて、もうちょっとできたら、去年までの守備のスタッツとかは戻せるんじゃないかなとは個人的に思っていて。攻撃の部分でも前にも行けるようなポジションになった中でチャンスメイクはまだ少ない。
ずっとアンカーのポジションをやっていた分、若干のブランクは感じていて。1番得意だったポジションというか、インサイドハーフみたいなところで受けたときの自分の1つ、相手をかわして数的優位を作るとか、1つチームを優位にするプレーが本当に今年は少なかったなとは感じているので、そこは次に向けての課題になるのかなと思います」
最終節のウェストハム・ユナイテッドFCウィメン戦では、試合途中からキャプテンマークを巻いた。
長谷川の自己評価は冷静なものだったが、ゲーム途中からとはいえ、優勝チームでキャプテンを任されるということは、チームからの信頼の証とも言える。
これには「自分も予想してなかったというか。キャプテンが後半も出る予定だったんですけど、交代することになった」とイレギュラーだったことを明かし、言葉を続ける。
「キャプテンが渡してくれて、自分は『嫌だ』って言ったんですけど(笑)、『巻いて欲しい』と言われたので、受け入れた感じ。すごく光栄なことだと思いますし、優勝したチームでそういうのをできるのは良いことだと思います。
けど、自分自身そこまでやりたいという気持ちでは今のところないので、こういう機会があったことには感謝ですけど、これからもまあ、あんまりないのかなとは思います」
歯に衣着せぬ長谷川の言葉はなんだか気持ちが良かった。今シーズン話題になったウォーミングアップ中に走りながら、リフティングを行うルーティン、“長谷川唯チャレンジ”について訊いたときも正直すぎる回答に思わず笑ってしまった。
「悔しい負け方を決勝でもしているので」長谷川唯が初タイトル後に見据えるもの

マンチェスター・シティWFCの10シーズンぶりの優勝に貢献した長谷川唯【写真:Getty Images】
「いや~、ちょっと前からやっていたことなので、『あっ、今、こんな感じになってんだ』っていう感じなんですけど。たまたまアウェイでやったやつの動画を撮ってくれていたアカウントの人が1番と言っていいぐらい、たぶんペースが速いやつをたまたま撮ってくれていた感じなので。
でも、なんでバズったのかわからないというか。ある程度ちょっとやればできるようになると思う。自分の中ではそんなに難しくはないものなので、できる選手はたくさんいるかなって」
長谷川の中では至極、自然なことなのだろう。ボールと戯れる姿からは本当にサッカーが好きなのだなと感じさせてくれる。
見る者を魅了する長谷川の今季も5月31日に行われるFA女子カップ決勝、ブライトンとの一戦を残すのみになった。
「FAカップも自分は獲ったことがない。去年FAカップではないですけど、サブウェイ(女子カップ)の方で悔しい負け方を決勝でもしているので、せっかくここまで残ったからには2冠を獲りたいなと思います。
来シーズンに向けても良い終わり方ができたらいいなと思うので、今シーズンはもう本当にラスト1試合、とにかく良い準備をして頑張りたいなと思います」
来季は昨季以来のUEFA女子チャンピオンズリーグの舞台も待ち受けている。
「来季、チャンピオンズリーグがあるのはもう決まっているので、そこに向けて自分たちだけではなくて、クラブとしてもたくさん準備してもらいたいなと思います。
本当にチャンピオンズリーグで結果を残せるだけのポテンシャルはこのチームにあると思うので、またバルサとか、ビッグクラブと言われているチームに勝つという目標を持って、来シーズンは頑張りたいなと思います」
初タイトルを獲得しても、長谷川のサッカーに対する情熱が尽きることはない。価値あるシーズンを経て、得られた気づきは大きな意味を持つだろう。29歳が見据える今後の歩みにも注目していきたい。
(取材・文:竹中愛美)
【著者プロフィール:竹中愛美】
1990年、北海道生まれ。Jリーグ開幕で世の中がサッカーブームに沸いていた幼少期、「入会したらヴェルディ川崎のボールペンがもらえる」の一言に釣られて地元のクラブでサッカーを始める。以降、サッカーの魅力に憑りつかれた日々を送ることに。ローカルテレビ局時代に選抜甲子園や平昌冬季五輪、北海道コンサドーレ札幌などを取材し、2025年よりカンゼンに所属。FWだったからか、この限られた文字数でも爪痕を残したいと目論むも狭いスペースの前に平伏す。ライターとして日々邁進中。
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