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J2 6時間前

「今年で33歳になりましたけど」北海道コンサドーレ札幌の荒野拓馬に漂う充実感。「監督を男にしたい」の言葉に込める思い【コラム】

シリーズ:コラム text by 黒川広人 photo by Getty Images
北海道コンサドーレ札幌 荒野拓馬

北海道コンサドーレ札幌の荒野拓馬【写真:Getty Images】



 北海道コンサドーレ札幌の荒野拓馬に充実感が漂っている。昨季は出場機会に恵まれず、もどかしい時間も過ごした。それでも川井健太監督の下で新たなスタートを切った2026シーズン、33歳となった赤黒のワンクラブマンは今、ピッチ上で躍動している。「川井監督を男にしたい」。その言葉に込めた想いとは。(取材・文:黒川広人)[1/2ページ]

明治安田J2・J3百年構想リーグ・プレーオフラウンド第1戦 5-8位決定戦
ブラウブリッツ秋田 1-1(PK5-4) 北海道コンサドーレ札幌
ソユースタジアム

荒野拓馬に漂う充実感「試合に出ないと楽しさはないので」

北海道コンサドーレ札幌 荒野拓馬

ブラウブリッツ秋田戦でPKを決める荒野拓馬【写真:Getty Images】


 明治安田J2・J3百年構想リーグEASTの地域ラウンドを2位で終えた北海道コンサドーレ札幌は、プレーオフラウンドでブラウブリッツ秋田と対戦した。

 この日の札幌は、秋田の強度の高いプレスを回避する狙いからシステムを変更。3-6-1を採用し、荒野拓馬は守備時にはボランチの一角、攻撃時には一列前へポジションを移し、プレス回避のキーマンとして機能していた。

「自分たちが主導権を握る時間が多かった中、仕留め切れなかったですね。失点した時間帯は少しゲームが間延びしてしまっていた。そういったメリハリを修正しきれなかったと思います。ただ、(青木)亮太が近くにいてくれたので、2人で剥がしていくという部分ではチャンスメイクできたと思います」

 PK戦の末に敗れはしたものの、前半のビルドアップは今季随一とも言える出来だった。

 相手2トップのプレスに対し、3バックの数的優位と中盤の巧みな立ち位置を活かしながら、札幌は幾度となく前進に成功。荒野も相手システムとの噛み合わせで生まれるスペースを巧みに使いながら、ビルドアップの中継点として攻撃のリズムを生み出していた。

 今季初のフルタイム出場となった前節・ジュビロ磐田戦に続き、この試合でも120分間の激闘を戦い抜き、PKもきっちり成功させた。疲労はあるはずだが、その表情には確かな充実感が漂っていた。

「タフでしたね(笑)。足をつる選手も何人か出ていた中で自分もきつい部分もありましたけど、しっかりカバーしながら戦おうと思っていました。今年で33歳になりましたけど、まだまだ成長できていると思います。

 ここから先の10年も、もっと成長できるように。そういう意味でも今年はすごく楽しい時間になっています。やっぱり試合に出ないと楽しさはないので」

 昨シーズン、荒野は出場機会を大きく減らした。自身の状態に手応えを感じていた一方で、歯車が噛み合わないチーム状況も重なり、もどかしさや葛藤もあったはずだ。

 だが、その2025年があったからこそ、今は誰よりもピッチ上でのプレーを楽しんでいるようにも映る。

 この半年間に特別な想いを懸けているのか――。そう問うと、荒野は首を横へ振った。

今季から指揮官に就任した川井健太監督に寄せる信頼

北海道コンサドーレ札幌の川井健太監督

北海道コンサドーレ札幌の川井健太監督【写真:Getty Images】


「それは正直ないですね。結果も大事だと思いますけど、自分としてはこの半年間は監督のやりたいサッカーをいかに体現できるか、自分の成長とチームの成長のためにできることを精一杯やるだけだと思ってやってきました。

 結果的に7連勝しましたけど、たとえこの半年で最下位だったとしても、本番の新シーズンでしっかり連勝して上位に食い込むことが大事だと思っています。負けるのはめちゃめちゃ悔しいですけどね。ただ、ここで優勝したからといって、夏から全てがうまくいくわけでもない。だからこそ、今の手応えと課題の両方を見つめながら戦うだけです」

 今季から共に戦う指揮官へ寄せる信頼も厚い。

「ミシャ(ミハイロ・ペトロヴィッチ)さん、(岩政)大樹さん、柴田(慎吾)さんと受け継がれてきて、今は(川井)健太さんが先頭に立って引っ張ってくれています。このチームをJ1に上げようと奮闘する監督のもと、本当に戦場に向かう強い気持ちでやらないといけないと思います」とこれまで札幌で指揮を執ってきた監督に敬意を表したうえで、こう続けた。

「監督を信じて、僕らが結果を出さないといけない。監督を勝たせたいですし、自分自身もより成長した姿を見せたい。とはいえ、昨年も出場機会は少なかったですけど、岩政監督のためにプレーしようと思っていました。

 その中でなかなかチャンスが回ってこない経験もしました。その上で今年はこうして使ってくれて、自分を成長させてくれる監督のために必死に戦いたい。監督を男にしたいですし、自分自身も成長した姿を見せたい思いは強いです」

 荒野が感じる川井監督の凄さとは何か。

「チームで積み重ねている戦い方を落とし込む力ですね。日々の練習で大事なことを細かく伝えてくれます。キャンプから段階を踏み、着実に健太さんのサッカーをみんなが体現しようとしていて、チームのベースは確実に上がってきています」

 川井監督も以前、荒野への信頼をこう口にしていた。

「何より出場停止がまだない(笑)」

北海道コンサドーレ札幌 荒野拓馬

12歳から北海道コンサドーレ札幌一筋の荒野拓馬【写真:Getty Images】


「良いプレーをしてくれていますよね。守備もスイッチを入れてくれますし、何より出場停止がまだない(笑)。そこは本当に成長している部分かなと思います。それに加えて、ダイナミックな得点も決めてくれる。チームにとって本当に良いリーダーになってきていると感じます」

 チームメートに話を聞いても、荒野に影で支えられているという声は後を絶たない。この日、初めてJリーグのメンバー入りを経験した札幌U-18の渋谷優里もその一人だった。

「試合には本当に出たかったですけど、充実した時間でした。拓馬くんがこの帯同期間、ずっとお世話をしてくれたんです。面倒見が本当によくて、サッカーについていろいろな話をしてくれましたし、脳トレなんかも教えてくれて。

 先輩なんですけど、1日中サッカーのことを考えていて、サッカー小僧だなって思いました(笑)。めちゃくちゃ刺激になりましたし、自分もこの舞台で絶対に出場したいと改めて思いました。拓馬くんがいてくれて本当にありがたかったです」

 当時のクラブ最年少となる高校2年生でリーグ戦デビューを飾ったアカデミー育ちの期待の星も、デビューから16年目を迎えた。

 移籍が当たり前になった現代のJリーグにおいて、ワンクラブマンの存在は年々希少になっている。酸いも甘いもこのクラブで重ねてきたからこそ、荒野自身が札幌で描く未来に強い思いがある。

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