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J2 22時間前

「良い結果で終われましたが」ベガルタ仙台が百年構想リーグで得たものとは。「何歳になっても成長できるのは…」【コラム】

シリーズ:コラム text by 郷内和軌 photo by Getty Images
プレーオフラウンド第2戦、カターレ富山を下し、明治安田J2・J3百年構想リーグ優勝となったベガルタ仙台

明治安田J2・J3百年構想リーグ優勝を果たしたベガルタ仙台【写真:Getty Images】



 6月6日、明治安田J2・J3百年構想リーグプレーオフラウンド第2戦。ベガルタ仙台はカターレ富山とのPK戦を制し、2009年のJ2優勝以来、17年ぶりのタイトルを獲得した。若手の活躍が注目を集めた今大会だが、成長したのは彼らだけではない。中堅からベテランまで、誰一人として進化を止めないあくなき向上心がチームをより強固な集団へと仕立て上げた。(取材・文:郷内和軌)[1/2ページ]

明治安田J2・J3百年構想リーグ・プレーオフラウンド第2戦 1-2位決定戦
ベガルタ仙台 1-1(PK4-2) カターレ富山
ユアテックスタジアム仙台

選手の成長とチームの進化が融合した百年構想リーグ

ベガルタ仙台 新加入選手記者会見

2026年1月、新加入選手記者会見に臨んだ森山佳郎監督(下段中央)や岩渕弘人(下段左から2番目)、中田有祐(上段右手)ら【写真:小林健志】


 おそらく一生に一度きりであろう、百年構想リーグ。昇降格のない特異なハーフシーズンを前にした1月8日の結団式、ベガルタ仙台の森山佳郎監督はこんな決意を口にしていた。

「僕たちにとっては、ある意味、新しいことにチャレンジする、選手の成長に特化する、チームの進化に特化する期間をいただきました。(百年構想リーグは)大きなチェンジをする、そんな機会にしたいと思っています」

 終わってみれば、仙台の百年構想リーグは、その森山監督のもくろみ通り、選手の成長とチームの進化が融合した、100点満点とも言える大会となった。

 中でも顕著だったのが、クラブの将来を担う若手選手の成長だろう。

 2月7日の第1節・栃木シティ戦では、ユース出身の高卒ルーキー、古屋歩夢がいきなりプロ初ゴール。

 2月22日の第3節・栃木SC戦では、中央大学から加入した杉山耀建が華麗なドリブルから決勝点をマークすれば、4月25日の第12節・モンテディオ山形戦では、高卒2年目のアタッカー、南創太が値千金のゴールを挙げ、みちのくダービーのシーズンダブルに貢献した。

 試合ごとにニューヒーローが誕生し、クラブの未来を明るく照らした4カ月間。しかし、成長した姿を見せたのは、若手選手だけではない。中堅からベテランまで、多くの黄金戦士たちが、百年構想リーグの中で大きな飛躍を遂げた。

 森山監督が言う「チャレンジ」の中で、一番の変化といえるのが、新システムの採用だ。得点力不足に泣かされた昨季を省みて、従来の4バックから3バックに布陣を変更。中盤を1アンカー、2シャドーの逆三角形を配置する攻撃的なフォーメーションで、新たなシーズンに挑んだ。

 もちろん、キャンプでは試行錯誤が続いたが、徐々に選手たちが戦術理解を深めていくと、地域リーグラウンドではEAST-Aの10チーム中、攻撃は上から2番目に多い32得点、守備は下から2番目に少ない15失点。開幕から13戦、無敗街道を突き進んだことが裏付けるように、攻守において格段とパワーアップを果たした。

 その手応えを何よりも感じているのが、チーム最年長の守護神、林彰洋だ。

「最初はうまみも分からなかった」39歳の守護神も感じた新システムの手応え

ベガルタ仙台 林彰洋

ベガルタ仙台の守護神、林彰洋【写真:Getty Images】


 森山監督が「大明神」と崇めるほど、百年構想リーグのPK戦では神がかり的なストップを連発。誰よりも経験豊富な39歳も、意外なことに3バックへの挑戦は、長いプロキャリアの中でもほぼ初めてだったという。

「5バックのような陣形を取れるのは、このシステムの強みなのかなと。4バックのときにはサイドバックが片方のサイドに寄せられてしまうことで、反対サイドのスペースにボコーンと大きくボールを展開されてしまうことが多かった。

 ですが、今は局面で相手にはがされないようにしながらも、同時に逆サイドもケアできる状況を作れている。これまでネガティブに思っていた部分を解消できています」

 3バックについて「最初はうまみも分からなかった」と言うが、そこは百戦錬磨の大ベテラン。最後尾からのコーチングだけでなく、ビルドアップの部分でも長短を織り交ぜたキックで、攻撃の起点となる働きを見せた。

「4バックより柔軟性があるシステムなので、『こうしたら、こう相手を外せるよね』、『こうすれば、ここが空くよね』というサイクルを、みんなで感じながらプレーできました。

 相手が10人でプレッシャーをかけてくる中で、僕にプレッシャーが来れば当然、味方が1人は空く。そうしたポイントを4バックのときよりも顕著に作ることができたと思います」

 フィールドプレーヤーでは韓浩康と並んで最年長となる32歳の奥山政幸もまた、新たなシステムで進化を見せた一人だ。

ベテラン奥山政幸も刺激を受けた後輩の存在

カターレ富山とのプレーオフラウンドを制し、記念撮影に応じるベガルタ仙台の選手たち

カターレ富山とのプレーオフラウンドを制し、記念撮影に応じる奥山政幸(写真左手)【写真:Getty Images】


 カターレ富山とのプレーオフラウンドでは第1戦、第2戦ともに先発出場。いずれも安定感のあるプレーで勝利に貢献したが、第2戦では攻撃のスイッチを入れる鋭い縦パスを供給したり、隙を見てはドリブルで前線まで持ち上がったり、長い距離のフリーランで敵陣に侵入したり、「守備職人」のイメージを覆すような、大胆な攻撃参加を随所に見せた。

「僕が前に出て行っても後ろに4枚はいますし、カバーの選手もしっかりいてくれる。最初は慣れ親しんでいないフォーメーションだったので、少し考えすぎてしまった部分もありましたが、今はやることもクリアになって、思い切ったチャレンジができています」

 その奥山も、プロキャリアにおいて3バックの経験はほぼ初めて。プレーぶりの変化には、あるチームメートの存在も大きかったという。

「もともと、右のセンターバックは髙田椋汰がやっていましたが、彼の思い切りの良さ、大胆な攻撃参加はチームにとって強みになっていました。僕自身も彼のプレーを見ながら刺激を受けて、トライしていこうという思いでプレーしました」

 普段は先頭に立つベテランでさえも、後輩たちから吸収し、学びを得る。それこそが、今の仙台の強さを表すエピソードといえるだろう。奥山はこう続ける。

「彼(髙田)ほどのプラスアルファはまだもたらせていないかもしれませんが、本当にいろんな仲間に刺激をもらっています。僕自身も成長していかなければいけない。そう思いながら、日々練習を頑張っています」

 そして、これまでチームになかなか貢献できず、もがき苦しんだ中堅選手たちも百年構想リーグの中でチャンスをつかみ、成長の足跡を残した。

 その筆頭格が、加入3年目のマテウス・モラエスだ。

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