
明治安田J2・J3百年構想リーグ優勝を果たしたベガルタ仙台【写真:Getty Images】
6月6日、明治安田J2・J3百年構想リーグプレーオフラウンド第2戦。ベガルタ仙台はカターレ富山とのPK戦を制し、2009年のJ2優勝以来、17年ぶりのタイトルを獲得した。若手の活躍が注目を集めた今大会だが、成長したのは彼らだけではない。中堅からベテランまで、誰一人として進化を止めないあくなき向上心がチームをより強固な集団へと仕立て上げた。(取材・文:郷内和軌)[2/2ページ]
明治安田J2・J3百年構想リーグ・プレーオフラウンド第2戦 1-2位決定戦
ベガルタ仙台 1-1(PK4-2) カターレ富山
ユアテックスタジアム仙台
出番が増えた選手や失いかけた選手も…それぞれが成長を追い求めて
ベガルタ仙台加入3年目のマテウス・モラエス【写真:Getty Images】
4バックで戦っていた過去2シーズンは、センターバックのバックアッパー、あるいはリード時のクローザーとして出場することが多かったが、百年構想リーグでは3バックの一角としてレギュラーに定着。
持ち前の身体能力を活かした対人守備で、何度も相手の攻撃の芽を摘んだほか、左足から繰り出す高精度のロングフィードでもチャンスを演出した。
「3バックになったことで、自分の特長を良い形で見せることができていると思っています。足の速さや空中戦、スペースができることで守備範囲も広く求められるので、自分にとって良い要素がたくさん揃っていて、マッチしています」
完封勝利に貢献した第12節の山形戦後、晴れやかな表情でこう語ったモラエス。それでも現状に満足せず、成長へ意欲を覗かせていたのが印象的だった。
「ロングボールだけじゃなく、ビルドアップで周りをうまく活かしながら、相手のラインをどう突破するかの工夫も重要。オプションを増やしながら、自分の左足を使って、もっともっと自分たちの良さを出していきたいです」
その一方で、システム変更により出番を失いかけていた選手がいたのも事実。だが、そうした選手たちもまた、ひたむきにアピールを続け、ピッチ上で自らの存在価値を証明している。
サイドのスペシャリストだった相良竜之介は、シャドーのポジションで新境地を開拓。荒木駿太はピッチを縦横無尽に走り回り、常にボールを引き出しながらリンクマンとしての役割を担った。
さらに、シーズン序盤はベンチ外が続いた梅木翼も第10節のSC相模原戦で約1年ぶりにゴール。前線のターゲットとなるだけでなく、献身的なフォアチェックを続け、ベンチの信頼を勝ち取った。
昇降格のないハーフシーズンの中でも、若手、中堅、ベテランまで、多くの選手たちが成長を追い求め、輝きを放った仙台の百年構想リーグだった。
「何歳になっても成長できるというのは…」
カターレ富山とのプレーオフラウンドを制し、勝利を喜ぶベガルタ仙台の森山佳郎監督【写真:Getty Images】
ピッチに立てば、年齢もキャリアも関係ない。横一線にボーダーラインを設定し、一人一人に向上心を植え付ける。そして、それをクリアしたものだけにチャンスを与える。若手の成長がクローズアップされがちだが、これもまた、森山監督がなせる「育成」の手腕と言ってもいいだろう。
副キャプテンとしてもチームを統率した奥山は、百年構想リーグをこのように総括した。
「チームとして良い結果で終われましたが、それ以上にたくさんの人が試合に出て、公式戦のレベルを肌で感じられたことが大きかったのかなと。そこから大きく伸びる選手もいるでしょうし、若い選手たちがチームを担っていくのがベガルタの未来にとっては大事なことだと思うので」
約2カ月の中断を挟み、いよいよ8月からはJ1昇格を懸けた2026/27シーズンが始まる。今大会では菅田真啓が歓喜のシャーレアップをしたが、奥山はFC町田ゼルビア時代、キャプテンとして「J2優勝」のシャーレを掲げている。
「忘れられない光景。1年後、同じ風景を見せてあげられるようにしたいです」
年長者としての決意を語りながらも、一人のフットボーラーとしても、貪欲に明日を見据える。
「何歳になっても成長できるというのは、うちの大ベテランのアキさん(林彰洋)が証明しています。これまで一緒にプレーしてきた先輩方もそうですが、いろんな選手が年を重ねてからも成長する姿を見てきました。これからも現状に満足することなく、自分を信じて、サッカーを続けていきたいです」
森山監督の下、選手一人一人に対して平等に与えられた伸びしろ。「天井知らずの向上心」がある限り、ベガルタ仙台はもっともっと強くなる。
(取材・文:郷内和軌)
【著者プロフィール:郷内和軌】
1992年10月14日生まれ、岩手県一関市出身。岩手県立一関第一高等学校卒業後、仙台大学体育学部スポーツ情報マスメディア学科に進学。2015年4月から4年間、岩手県盛岡市の制作会社に勤務し、19年4月からフリーランスに。大学時代を含め、地域スポーツ誌「Standard(岩手/宮城)」の取材・執筆・編集を約10年間担当(現在も継続)。小学1年時から趣味はJリーグ観戦。サポーター目線を忘れない「サポライター」を目指す。Xアカウント:@kazukigonai
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