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【岩政大樹が語る】「チーム作りの肝だと思うんですけど…」。日本代表が「放置したまま」にしていること

シリーズ:コラム text by 竹中愛美 photo by Shinya Tanaka,Getty Images
北中米W杯 日本対スウェーデンの試合後、1-1で引き分けた選手たちに声をかける日本代表の森保一監督

スウェーデン戦後にミーティングを行った森保ジャパン。8年間で積み上げてきたものをブラジル戦でぶつけることができるのか【写真:Getty Images】



 日本代表は日本時間6月30日、FIFAワールドカップ2026(北中米W杯)決勝トーナメント1回戦でブラジル代表と対戦する。グループステージを無敗で突破した日本に待つのは、世界王者候補との大一番だ。元日本代表で2010年南アフリカW杯メンバーの岩政大樹氏は、「勝ち切れるかどうかよりも戦い方」と語る。森保ジャパンが積み上げてきたものは、本当に世界相手にも通用するのか。ブラジル戦で試されるポイントを聞いた。(取材・文:竹中愛美)[1/2ページ]

【単独インタビュー/取材日:6月26日】 

ブラジル戦で問われる「積み上げ」の正体

北中米W杯 日本対スウェーデン アンソニー・エランガに同点ゴールを決められる日本

日本はアンソニー・エランガに同点ゴールを決められ、スウェーデンと引き分けた【写真:Getty Images】


ーー決勝トーナメント1回戦はブラジルが相手です。タレント揃いのチームに対して、警戒すべきことも含めて、どんな戦いをしていくべきなのか、教えていただけますでしょうか?

「今大会で本当に真価が問われると思うんですよ。真価が問われるというのは勝ち切れるかどうかよりも戦い方ですね。森保さんもスタッフもコーチも選手たちもみんなが口々に『これまでの自分たちの積み上げで』という話を出している。

 僕からすると3試合を終えてみて、積み上げでと言っていたものが、勝負がかかったギリギリの勝負のときに、さらに相手にカウンターがあるようなチームに対して、どこでリスクを負って、どこで自分たちの強みを出しながら、相手の強みであるカウンターや攻撃、プレスなどが効いてくる状況にも挑みに行くようなところを、どういうバランスで臨むのかみたいなところが、結局、オランダ戦とスウェーデン戦、全回避で入っているように見えるんですよね。全回避が積み上げたものだったんですか?という命題が僕の中に残っている」

ーーなるほど。

「それを積み上げてなかったように僕は見える。放置したまま。それをどこに基準を設けるか、結局チーム作りの肝だと思うんですけど、森保さんは今回基本、コーチ陣に任せていたりする。じゃあ、コーチ陣がどういう仕組みや考え方で攻撃を考えているのか、バランスをどう考えているのかが、この3戦では、『チュニジア戦はリスクを冒してもいけるよ』、『オランダ戦、スウェーデン戦はリスクを回避しましょう』、という全振り全振りだった。

 ここから勝負がかかったときに、どこにバランスを持つの?、その基準ってどこに置いているの?というのがないと、危険というか。前半はそんなに問題ないと思うんですけど、前半の途中ぐらいから、その基準が明確になってくる気がします」

リスクを負う勇気が、日本の可能性を広げる

日本代表の上田綺世

今大会チームトップの2得点をマークしている上田綺世【写真:田中伸弥】


ーー本当に試されますね。選手たちも話していましたが、決勝トーナメントからが本当のW杯と言いますか。そこでどういう戦いを見せるのかという。

「そうですね。とはいえ、得点が取れているので、毎試合得点が取れて、3試合で7点。得点の自信はあると思うんですよね。特に今回の得点シーンのように、上田の絡みは、(ヴィクトル・)ギョケレシュというエースストライカーがいましたけど、ゴール前の迫力や怖さみたいなものは、ギョケレシュは感じさせましたけど、広範囲にしっかり動いて、攻守に貢献しながら、得点に絡んだときのポストプレーの柔軟さみたいなところは上田の方が上回っているなというのは見せました。

 ああいう日本人の良さみたいなところは随所に見られたわけで、それをどのぐらい出していくか、リスクを冒すという部分。当然今回はマルキーニョスとガブリエウ(・マガリャンイス)になるので、より強さが出てきます。そういうところに入れていくと、カゼミーロが挟んでくるみたいになったときに、試合に入ってからの選手たちの肌感覚でやっていくんだと思うんです。うまく最適なバランス感覚を見つけて、試合ができるかみたいなところは本当に問われていくと思います。

 リスク回避の状況だけだと、スウェーデンだったらいいですけど、ブラジルだったら、リスク回避でボールを入れていって、相手にどんどんボールを渡していると、ひたすら相手に攻められると思うので。自分たちが保持で挑んでいく形は作らなきゃいけないかなというふうには思います。逆に言えば、それがブラジルの心地よさを失わせることになれば、可能性が出てくると思うので」

ーーそうですよね。

「1発勝負になったときに、チームとしての本当の勝負がここから始まるって感じですね」

鍵を握るライン間。ブラジル戦の先発はどうなるのか

日本代表

ブラジル戦で日本はどのような布陣で挑むのか【写真:田中伸弥】


ーー岩政さんの中で日本の勝機やブラジルに隙があるとすれば、どんなところだと思いますか。選手にはどういったところを期待されますか?

「おそらくですけど、選手たちが一番よくわかっていて、スウェーデン戦とオランダ戦はかなりリスク回避して入りましょうと。それはW杯の初戦ということと、今回は突破というものがあったから。ここからはトーナメントで、負けたら終わりの中でも、『自分たちの良さみたいなところももっと出していこうよ』は、みんなの共通認識であると思うんですよね。

 そうすると、これまでの3戦で見られなかったような、さっき言ったようなバランスを見つけるようなフェーズは絶対入ってくるはずで。マイボールのところで、チュニジア戦はトライをどんどんやりましたけども、ブラジル戦でも、相手の合間合間を縫って、ボールを入れていったり、差し込んでいったり、そこでコンビネーションを使ったりみたいなところは必要ですし、鍵になりますね。

 そこの質と、当然そこにはリスクがあります。今、そこの人材がどんどん怪我で抜けてしまっている状況で、ライン間で受ける選手があまり多くないという現状の中で、どうするかはあるんですけど、そこに挑みに行くメンバーを多少置かないと難しいんだろうなと思います。ブラジルに対しては」

ーーそうなるとメンバー起用の方は悩ましいですね。

「どうなんすかね。アクシデントがあるのか、わからないですけど、冨安・佐野をベンチに置いたのは、次にヴィニシウス(・ジュニオール)の周りに、あの2人は絶対必要だということがあった気がします。田中碧、鎌田を両方使いたいんじゃないかなと思うし、ライン間のことを考えて、中盤の数的優位、ボール回しで使うためにも、2人を使って、シャドーは1枚鎌田じゃないかなと思いますし」

ーーチュニジア戦のときのような形ですね。

「そうすると、もう1枚のシャドーをどうするか。考え方としては前田にプレスをかけさせるのもあると思うんですけど、そこのメッセージが何かによって変わる、基本に見えてくるかなと思いますけど、そのぐらいじゃないですか。そこは伊東純也なのか。でも、冨安、佐野を休ませているので、右は堂安、左は中村で行くと思いますけどね。そうするともうそんなに、ほぼ決まっていますよね。あと、右シャドーだけです」

ーーそうですね。久保選手の状態が難しいかもしれませんので、右が誰になるのか、ですね。

「今回でも、選手はどちらが序列が上か下かというよりも、そのタイプによって使い分けているので、そういう面では、この3戦目で、前線のシャドー、例えば、鈴木唯人とか、あの辺も全然、使えなかったのか、使わなかったのか。ライン間で違いを見せるとしたら、彼で、それを期待されている選手だと思うんですけど」

ーー鈴木唯人選手はチュニジア戦の途中出場のみですね。

「ちょっと限定的だなあと。もう少し予選で試合時間を与えながら、下手したらトーナメントのときにはスタートもあるのかなと思ったんですけど、それよりも、田中とか鎌田の状態が良いので、そちらがベースになるのかなという気はしますかね。伊東純也を後半にとっておきたいとなれば、前田なのか、大体限られちゃいますけどね」

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