
サッカー日本代表GK川口能活&鈴木彩艶【写真:Getty Images】
サッカー日本代表は日本時間30日、決勝トーナメント1回戦でブラジル代表と対戦する。W杯では2006年のドイツW杯以来、2回目となる。ベスト16入りを懸けた一戦の前に、前回対戦の“ある記憶”がよみがえる。
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ブラジル戦の記憶に刻まれた“炎の守護神”
ブラジル戦と聞いて、多くの日本人が思い起こす記憶が2つある。一つは、1996年アトランタ五輪、いわゆる“マイアミの奇跡”。もう一つは、2006年のドイツW杯で1-4と敗れたブラジル戦だ。
その両方の試合で、日本のゴールマウスを守っていたのが、“炎の守護神”川口能活だった。
あの横っ飛び、あの咆哮、あの集中力。一度スイッチが入れば、鬼神のごとくセーブを連発する。日本人の記憶の中には、ブラジルの猛攻を止め続けた守護神の姿が刻まれている。
マイアミの奇跡で、ブラジルに浴びせられたシュートは28本。ドイツW杯でも結果的に4失点したものの、20本以上のシュートを浴びながら、ロナウド、ロナウジーニョ、カカ、ロビーニョらを擁する怪物軍団を相手に見せた川口のパフォーマンスは、決して色あせない。
むしろ、あれだけの圧力を受け続けながら、最後まで立ちはだかった姿が強烈な印象として残っているほどだ。
そして今、日本代表は再びブラジルと向き合う。ゴールマウスを守るのは鈴木彩艶だ。
鈴木はすでにパルマでプレーし、欧州の厳しい環境で経験を積んでいるGKである。日本代表の守護神としての評価も高まり、プレミアリーグの強豪マンチェスター・ユナイテッドへの移籍が取り沙汰されるなど、ワールドクラスに近づきつつある存在と言っていい。
ただ、川口のような“神がかり的な活躍”を求めるのは酷かもしれない。
酷、というよりも、今や日本はGK一人に“奇跡”を背負わせる時代ではないのだ。
ほとんどの選手が欧州でプレーし、個々の能力を鑑みても、かつての日本代表とは比べ物にならない。
それに加えて、チームの一体感や8大会目となるW杯での経験も大きい。
一方のブラジルも、かつてのようなスーパータレント軍団ではない。もちろん、個の力は今も世界屈指だ。
だが、ロナウド、ロナウジーニョ、リバウド、ロベルト・カルロス、らが並んでいた時代とは性質が異なる。名前だけで相手を飲み込むような圧倒的な威圧感は、あの時代ほどではない。
鈴木に求められるのは、川口の再現ではない。重要な場面でのセーブはもちろんだが、ビルドアップへの関与、パントキックによる陣地回復、チームが攻撃に出た際の背後のスペース管理など、現代のGKには多面的な役割が求められる。
かつて川口が見せたような「最後の一線を絶対に割らせない」という気迫は、今も守護神に欠かせない要素だ。ただし、ブラジル戦で必要なのは“奇跡”ではない。
日本サッカーの歴史を大きく動かす鍵となるのは、最後尾に立つ鈴木彩艶が、守護神として普段通りのプレーを“当たり前に”こなすことにある。
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