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【岩政大樹が語る(1)】現実を突きつけられたブラジル戦。日本代表は何を目指していたのか。「町野修斗を選んだ時点で…」

シリーズ:コラム text by 竹中愛美 photo by Shinya Tanaka,Getty Images
北中米W杯 ブラジル×日本 試合後がっくりする日本代表

決勝トーナメント1回戦でブラジル代表に敗れ、肩を落とす日本代表【写真:田中伸弥】



 サッカー日本代表は日本時間6月30日、FIFAワールドカップ2026(北中米W杯)決勝トーナメント1回戦でブラジル代表に1-2で逆転負けを喫し、ベスト32で大会を終えた。試合後、元日本代表で2010年南アフリカW杯メンバーの岩政大樹氏に話を聞くと、「想定した試合が想定したように進んでいった」と振り返った。その言葉の裏には、敗戦を嘆くのではなく、この90分から日本サッカーが何を学ぶべきかという視点があった。(取材・文:竹中愛美)[1/2ページ]

【単独インタビュー/取材日:6月30日】 

優勝経験国との対戦が教えてくれたもの

北中米W杯 ブラジル×日本 先制ゴール 佐野海舟

日本は29分、佐野海舟のゴールで先制に成功する【写真:田中伸弥】


ーー善戦した中、最後の最後で失点し、ブラジルに敗れました。1対2という結果をどのように見られましたか?

「初めて優勝経験国と決勝トーナメントで当たる試合を見ることができて、いろんな人に示唆を、僕たちに与えてくれた試合だったかなと」

ーー本当にそうですね。入りは非常に前からプレスに行って、試合へのメッセージを感じ取りました。29分の佐野海舟選手の見事なインターセプトからの先制点、そして、我慢強く守備を続けて、機を見てカウンターを狙うという形で良かったと思いますが、前半はどうでしたか?

「結果的にはすべて論理的な結果だったかなという感じがします。サッカーって、論理的な結果じゃないときもあるから、きょうみたいな展開で日本が勝てることもあるのがサッカーなので、きょうの展開に持ち込んだと思いますけど。最終的な結果もそうですし、前半の元気な時間帯に日本がある程度ブロックを作りながら、ブラジルもある程度カウンターを警戒しながら、少し外回しで動かしていく。

 あまり勝負のボールを入れてこないような前半の中でトランジションが2、3回と、前半であんまり起きなかった。トランジションが起きた瞬間、ブラジルが攻めるかなというところで、(先制点は)海舟の特徴が出た場面でしたけど、彼の能力によって得点が生まれたというか。サッカーにおいて論理的というか、トランジションが起きている状況の中で、日本は決め切ったというだけの話で、全体的には想定した試合が想定したように進んでいったという感じですかね」

ーー岩政さんの中では想定内だった、ということでしょうか?

「そうですね。あのぐらい(日本が)全員で、献身的に11人が戻って守備をすれば、そんなに簡単じゃないです。特に前半の間はトランジションが起きづらいので、トランジションが起きない場面において、5-4-1で守っているチームを簡単に前半から崩せるチームって、今の時代はほとんどないので。

 後半に関しては、少しずつオープンになっていくのもこれも当たり前に起こったことなので、真新しいものが何かあったわけでもなく、もう起こるべくしていろんなことが起こった。よく見る試合でしたね」

「当たり前のことが当たり前に起こった」ブラジルの反撃

サッカー日本代表 堂安律

ヴィニシウス・ジュニオールと対峙する堂安律【写真:Getty Images】


ーー後半、ブラジルはエンドリッキ選手が出てきてから、ヴィニシウス・ジュニオール選手が左のウイングに入り、幅を使った攻撃をしてきた中、早い段階で同点にされてしまいましたが、その辺りの配置の問題など、うまくはまっていなかった部分はあったんでしょうか?

「はまっていなかったというか、全部論理的な現象が起きているだけです。それは、当たり前のことが当たり前に起こっているだけであって、5-4-1のブロックを組めば、疲労でゴール前に人数が足りなくなることはないので、体は張りやすくなります。

 ただ、マイボールになったものをカウンタープレスで受けたときには、前線に危険がないし、後ろに下がっているので、押し込まれた状況が続きます。相手のバックパスに対しても1トップの状態なので、バックパスにプレスもかけることができない。

 基本的に押し込まれた状態に1度入ってしまうと、続きやすいシステムであるということも、当たり前に誰もがたぶん、戦術的にわかっていれば知っていることであって、それを日本は受け入れて試合をしていました」

ーーそうですね。

「3バックへの攻め方も世界中で誰もが知っていて、4バックと違って、3枚のセンターバックに2人のウイングバックなので、ウイングバックとインサイドバックの間に斜めのクロス(を入れるの)は、ウイングバックが対応しづらい角度になる。

 4バックであればそこにサイドバックが対応できますけど、3枚になると、角度的にそこの斜めのクロスに対しては、ウイングバックをひとり間に置かなければいけないシチュエーションになるので、そこは狙ってきますということも当たり前にブラジルがやってきて、そんなことはもう日本もたぶん、前回大会のクロアチアにも結構やられていると思うんですけど。

 ウイングバックのところの高さがないことは当然わかっていて、そこはワールドカップ(W杯)で狙われることは想定した中で、4年間アプローチしてきたわけだから。それはもう受け入れて準備をしていたもので、そこを突かれただけの話だから、別に、虚を突かれたなとか、やられたなということでもなく、当たり前のことが当たり前に起こったって感じです」

森保ジャパンは最後まで哲学を貫いた

北中米W杯 ブラジル×日本 町野修斗

ブラジル戦でW杯初出場となった町野修斗【写真:田中伸弥】


ーーなるほど。そうした中で流れをどうにかして引き寄せようと、森保一監督が交代カードを切ったとは思います。両ウイングに守備の負担が掛かり、堂安律選手と中村敬斗選手がそれぞれ菅原由勢選手と鈴木淳之介選手に交代。さらに78分には伊東純也選手から町野修斗選手、鎌田大地選手から田中碧選手に交代しましたが、その辺りの采配についてどのように見ていらっしゃいましたか?

「でも、結局大会通してですけど、森保さんがやりたいことから考えると、そうしたかったんだろうなっていう。人選のところからそうですし、こういう戦いを睨んで準備をしてきて、そういう戦いを最後までやり切った。森保さんらしいチームとして、最後まで戦ったという印象でしかないです。

 それは当然、議論の余地はあるけど、監督はいろんな選択肢の中で、いろんな哲学をもとに最後判断していくので、森保さんのこのやり方、考え方で予選も突破したわけだし。この延長の中でこの試合の負けがあったということをどう捉えるか、話は別なので。良し悪しは別として、これでやってきた、そういう考えでチームを作ってきたということですね」

ーー後半は本当にずっとハーフコートマッチみたいな形でした。試合終盤、アディショナルタイムの95分にガブリエウ・マルティネッリ選手に失点を許しましたが、あの場面はどのように振り返りますか?

「上回られているので仕方がないんですよ。支配率もゴール期待値も。データで語るわけじゃないですけど、明確にブラジルの方がチャンスを作り出して、押し込んでフットボールをしているので。その中でも勝てる方法を探して、あの形でなんとか守り切りながら、ワンチャンス、もしくはPKを睨みながら、あとは、少し相手が同点のまま延長に入ったりすると焦りが出てきて、スペースが出てきたところでカウンターで打てればというのが狙いだったと思うんですけど、それが狙い通りにいかなかったというだけの話なので。

 これは前回の話でしましたが、これが世界に勝つ形なのかと。1つの集大成として、これをやり切ったというふうには見ましたけど。とにかく、5-4-1で守って、両ウイングバックを守備的な選手にして、シャドーが2人とも間で受ける選手じゃなくて、カウンタータイプの守備ができて走れる選手を置いたという時点で、もうあの展開になるのは仕方がないです」

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