
試合後に天を指差すロナウド。腕にはジョタの名前も刻まれたリストバンドが【写真:Getty Images】
FIFAワールドカップ2026(北中米W杯)ラウンド32、ポルトガル代表vsクロアチア代表が現地時間3日に行われ、2-1でポルトガルが勝利を収めた。前半は何度も決定機を作りながらゴールを奪えず、後半には先制点を献上。それでもロベルト・マルティネス監督の大胆な交代策が流れを変え、劇的な逆転勝利を収めた。この一戦は、ある特別な意味を持つ試合でもあった。(文:安洋一郎)[1/2ページ]
ディオゴ・ジョタの死去から1年
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2025年7月3日に亡くなったディオゴ・ジョタと弟のアンドレ・シウバ【写真:Getty Images】
2025年7月3日。その日付は、ポルトガルサッカー界にとって決して忘れることのできない一日となった。
ポルトガル代表FWディオゴ・ジョタと弟アンドレ・シウバが交通事故で命を落とし、世界中が深い悲しみに包まれた。
事故のわずか10日ほど前には、長く連れ添ったパートナーと結婚式を挙げたばかり。人生の節目を迎えた直後に襲った悲劇だった。
あの日から1年。
2026年7月3日、ジョタの一周忌にポルトガル代表は北中米ワールドカップ(W杯)ラウンド32でクロアチア代表と対戦した。
ジョタにとってW杯出場は夢だった。2022年のカタールW杯は開幕約1か月前に負ったふくらはぎの負傷によって欠場を余儀なくされ、今大会こそその夢を叶えたいという想いは人一倍強かった。
彼が叶えられなかった夢、そして代表に残した志を胸に、ポルトガル代表の選手たちは今大会を戦っている。
ディオゴ・ジョタとともに戦うポルトガル代表
ルベン・ネベスの足に彫られたディオゴ・ジョタとのタトゥー【写真:Getty Images】
5月19日に行われたメンバー発表で、ロベルト・マルティネス監督は「27人+1人」という異例の形で代表メンバーを公表した。
「+1」とした理由について指揮官は、次のように語っている。
「ディオゴを失ったことは、忘れられない非常に辛い出来事だった。しかしその翌日から、ディオゴの夢と、彼が代表チームで常に示してくれた模範のために戦うことが、私たち全員の責任となった。ディオゴの精神、強さ、そして模範は常に私たちにとってプラス1であり、これからもずっとプラス1であり続けるだろう」
選手たちは、それぞれがジョタへの想いを胸に戦っている。
試合前に流れる代表チームの映像や国歌斉唱の際には、スタジアムの大型ビジョンに必ずジョタの姿が映し出される。
また、ポルトガルのルイス・モンテネグロ首相から選手一人ひとりに贈られたリストバンドには、今大会のメンバーとジョタの名前が刻まれており、多くの選手が試合でも着用している。
ジョタと親友のルベン・ネベスは、長らく代表で背番号18を着用していた。しかし、ネベスは亡き親友の背番号21を受け継ぎ、今大会はその番号を背負ってプレー。左足にはジョタと抱擁を交わすタトゥーも刻まれている。
それぞれが特別な想いを抱いて臨んだクロアチア戦は、ジョタへの想いが一つになったかのような劇的な試合となった。
交代策が実った逆転勝利

ポルトガル代表【写真:Getty Images】
グループリーグでは1勝2分に終わり、パフォーマンスには批判の声も上がっていた。しかし、この日は左WGで初先発となったラファエル・レオンが躍動した。
開始4分にはDFヌーノ・メンデスのスルーパスに抜け出し、ブルーノ・フェルナンデスへ完璧なラストパスを供給。これまで物足りなかった左サイドの背後へのアクションを活性化させた。
多くの決定機を作りながらも前半に得点を奪えず、後半は勢いを取り戻したクロアチアに先制点を許す苦しい展開となる。
それでも64分、ロベルト・マルティネス監督は昨年のUEFAネーションズリーグ優勝時にも見せた大胆な交代策で、再び流れを引き寄せた。
プレス強度の高いゴンサロ・ラモスらを投入し、前線からの圧力を高めたことで相手のミスを誘いCKを獲得すると、レナト・ヴェイガが倒されてPKを獲得。
これを68分に主将クリスティアーノ・ロナウドがPKを決めて同点に追いつくと、90+4分にはレオンのクロスをゴンサロ・ラモスが頭で合わせて逆転に成功した。
90+13分にはクロアチアに同点ゴールを許したかに思われたが、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)の判定で取り消し。劇的な形で難敵クロアチアを退け、ラウンド16進出を決めた。