
【写真:Getty Images】
FIFAワールドカップ2026(北中米W杯)決勝、スペイン代表vsアルゼンチン代表が現地時間20日に行われ、1-0でスペイン代表が勝利を収めた。しかし、その内容は決して互角ではなかった。90分間でシュートを1本も打たせず、試合を完全に支配。なぜ、ここまでのワンサイドゲームになったのだろうか。(文:安洋一郎)[1/2ページ]
スペイン代表が4大会ぶり2度目のW杯制覇

スペイン代表FWフェラン・トーレス【写真:Getty Images】
史上最多となる48チームが参加したFIFAワールドカップ2026(北中米W杯)は、スペイン代表の優勝で幕を閉じた。
アルゼンチン代表との決勝は、延長戦の末に1-0という僅差での勝利となった。しかし、内容面ではスペイン代表が圧倒していたと言えるだろう。
守備では、今大会最多の19ゴールを記録していたアルゼンチン代表の攻撃を完全に封じ込めた。90分間では一度もシュートを打たせず、最初のシュートを浴びたのは先制後の110分。試合を通しても被シュートはわずか2本だった。
一方、攻撃では自分たちでボールを握って試合をコントロールしながら20本のシュートを記録。フェラン・トーレスの決勝点が生まれたのは106分だったが、それまでにも何度もアルゼンチンの弱点であるサイドからの攻撃で決定機を作っており、いつ先制点が決まっても不思議ではない展開が続いていた。
なぜ、ここまでワンサイドゲームとなったのだろうか。
決勝までの両国の歩み

スペイン代表MFペドリ【写真:Getty Images】
両国は対照的な戦い方で決勝へと駒を進めてきた。
今大会のスペイン代表は、大会を通して一度もリードを許さなかった。
準決勝までの7試合で記録した被ゴール期待値(xGA)は大会最少の2.15。相手にほとんど決定機を作らせず、失点もベルギー戦で喫した1点のみだった。
これを可能にしたのが、チーム全体の試合をコントロールする能力の高さだ。1試合平均63.9%のボール保持率を記録し、仮にボールを失っても素早い切り替えと前線からのプレスで、相手に攻撃する時間をほとんど与えなかった。
多くの時間を相手陣内で過ごし、相手を窒息させるような隙のない戦いぶりで勝ち進んできた。
一方のアルゼンチン代表は、スペイン代表とは対照的に、決勝ラウンドでは合計98分間もリードを許す苦しい試合展開が続いた。
それでも、大会を通して80分以降に10ゴールを奪う圧倒的な勝負強さを武器に、2大会連続の決勝進出を果たした。
相手に隙を与えず盤石に勝ち上がってきたスペイン代表と、何度もリードを許しながらも勝負強さで決勝までたどり着いたアルゼンチン代表。
一発勝負では何が起こるか分からない。しかし、結果としては、決勝までの歩みでも明らかだった完成度の差が、そのまま表れたと言えるだろう。
スペイン代表がアルゼンチン代表を苦しめた方法

アルゼンチン代表【写真:Getty Images】
アルゼンチン代表は、試合を通してスペイン代表のハイプレスに苦しめられた。
象徴的だったのが43分の場面。GKから短くつなぐと、DFリサンドロ・マルティネスからパスを受けたMFアレクシス・マクアリステルが、瞬く間に4人に囲まれてパスコースを消され、ボールを失っている。
スペイン代表は、中盤の底に入るロドリを中心に切り替えが非常に速く、アルゼンチン代表にボール保持の余裕をほとんど与えなかった。
ただ、全くチャンスがなかったわけではない。
5分にはスペイン代表のビルドアップのミスから、リオネル・メッシが背後へ抜け出して決定機を迎えかけた。
しかし、この場面では、スペイン代表の強気なハイラインの背後に広がるスペースを、GKウナイ・シモンが完璧な飛び出しでカバー。驚異的な守備範囲の広さで相手に仕事をさせなかった。