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コラム 6時間前

なぜイタリア代表の監督人事は迷走したのか。ペップとピルロは白紙、マルディーニ退任…。「アッズーリを捨てた」男が復帰するまでの全貌【コラム】

イタリア代表のロベルト・マンチーニ
イタリア代表の新監督に就任したロベルト・マンチーニ【写真:Getty Images】



 FIFAワールドカップ出場を3大会連続で逃したイタリア代表は、大きな転換期を迎えた。しかし、その再建への第一歩となるはずだった新体制づくりは混迷を極める。会長交代、パオロ・マルディーニの招聘、ジョゼップ・グアルディオラへの接触、アンドレア・ピルロ就任目前での破談、そしてマルディーニの電撃退任――。混乱の末、1081日ぶりにロベルト・マンチーニがアッズーリの指揮官へ復帰した。イタリア代表の監督人事は、なぜここまで迷走したのか。その舞台裏を時系列で振り返る。(文:佐藤徳和)[2/2ページ]

ついにイタリア代表の新監督が決定

イタリア代表
W杯出場を3大会連続で逃したイタリア代表【写真:Getty Images】



 大混乱の末、ついにイタリア代表の新監督が決まった。

 ロベルト・マンチーニ。1081日ぶりに、アッズーリの監督の座に復帰した。就任が秒読みと見られていたアンドレア・ピルロは、ロシアのスポーツベッティング企業との関係が明るみになり、最終局面を迎えていた交渉が頓挫。イタリア・サッカー連盟(FIGC)のテクニカルディレクター兼クラブ・イタリア会長のパオロ・マルディーニとそのアドバイザーであるレオナルドも退任していた。

 混迷を極めたイタリア代表監督人事を時系列で振り返りたい。

 2026年3月31日、イタリア代表はFIFAワールドカップ2026(北中米W杯)欧州予選プレーオフ決勝、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ代表との決戦にPK戦の末に敗れ、本大会出場を逃した。2018年、2022年大会に続き、3大会連続の予選敗退である。

 4月2日、FIGCのガブリエーレ・グラヴィーナ会長が辞任を表明。「率直なところ、非常に大きな悔しさと、大きな心の落ち着きがある。今日もなお、FIGCのスタッフから多大な支援、信頼、愛情、そして温かい励ましをいただき、さらに続投を強く望む声まで寄せられた。心から感謝している。しかし、この決断は十分に熟慮を重ねた末に下したものであり、揺らぐことはない」と言葉を残した。

 グラヴィーナは2022年大会に続きW杯出場を逃した責任を取る形で退任。FIGC内部には慰留の声もあったと言うが、もはや辞任以外に選択肢は残されていなかった。代表団団長のジャンルイージ・ブッフォンもその職を辞した。

 4月3日にはジェンナーロ・イヴァン・ガットゥーゾ監督が辞任した。

「心の痛みと共に、掲げた目標を達成できなかった責任を取り、私の代表監督としての経験はこれで幕を閉じると判断した。アッズーリのユニフォームは、サッカー界に存在する最も貴重な財産だ。だからこそ、今後の技術的な評価を直ちに円滑に進められるようにするのが正しい道だと考えた」

 ルチャーノ・スパッレッティの後任として、2025年6月15日からイタリア代表を指揮したが、3大会ぶりとなるW杯本大会に導くことはできなかった。

ペップやアンチェロッティも新監督候補に

アンドレア・ピルロ
イタリア代表監督の候補にピルロが急浮上【写真:Getty Images】



 6月22日、イタリア・オリンピック委員会(CONI)前会長で、ミラノ・コルティナ五輪・パラリンピックの組織委員会会長を務めたジョヴァンニ・マラゴーが新会長に選出される。

 FIGC総会で、マラゴーは68.5%の票を獲得し、2014年まで7年間にわたりFIGCの会長を務めた対立候補のジャンカルロ・アベーテを破って新会長に正式に選出された。当選が決まると、「私一人では何もできない。しかし、みなさんと一緒なら、すべてを成し遂げることができる」と述べた。

 7月11日、FIGCのテクニカルディレクターおよびクラブ・イタリア会長にパオロ・マルディーニが選出される。クラブ・イタリアとは、サッカーだけでなく、フットサルとビーチサッカーの男女年代別代表を一元的に管理し、代表強化の方針を決める役割を担うすべてのイタリア代表を統括する組織である。

 また、元ブラジル代表MFレオナルドのアドバイザー就任も同時に発表された。これまでに一切報じられなかったサプライズ就任となった。

 13日、新監督候補の一人として驚きの名前が浮上する。UAE(アラブ首長国連邦)のユナイテッドFCを率いるアンドレア・ピルロだ。

 前マンチェスター・シティ監督のペップ・グアルディオラ招へいが実現しなかった場合の第一候補になる可能性があると報じられた。これまで候補に挙がっていたのは、かつてイタリア代表を率いた経験を持つアントニオ・コンテとロベルト・マンチーニの2人だったが、ここに来てピルロが有力候補へと躍り出た。

 23日、マルディーニTDとレオナルド・アドバイザーが就任後、初めて公式の場に姿を現す。ミラノで行われたセリエAリーグ会議に出席。マルディーニTDは、グアルディオラとの交渉を認めた上で、ミラン時代の恩師で現ブラジル代表監督のカルロ・アンチェロッティとも接触していたことを明かした。

 さらに、「非常に大きなプレッシャーを感じている。会長からの説得に応じるのに、少し時間を要したが、このプロジェクトは非常に野心的だ。これは一種の“招集”のようなものだ。イタリアが必要としている時に、断るのは難しい。我々は、FIGCの改革プロジェクトがどれほど困難で、長い道のりになるかを十分理解している」と語った。

ピルロ就任は時間の問題と思われたが…

ユヴェントスの監督時代のアンドレア・ピルロ
ピルロの就任が白紙になった理由は?【写真:Getty Images】



 また、盟友レオナルドの参画については、「レオを説得するために、自分の力をすべて注いだ。我々の間には、理念、価値観、目標について完全な共有がある。それに加えて、個人的な尊敬や友情もある。我々が行ったセリエAのクラブとの会合では、リーグ側も我々のスポーツ面での計画を受け入れる全面的な姿勢を示してくれた」と説明。

 この時点で、わずか4日後に衝撃的な展開が待ち受けていることを誰も知る由はなかった。

 24日、グアルディオラがイタリア代表監督要請を拒否。「感謝し、光栄に思う。しかし、今この時点ではイタリア代表監督を引き受ける気持ちにはなれない」とし、一部では、年俸2000万ユーロ(約37億円)にも上る巨額の報酬を要求したとも報じられていた。

 しかし、実際には家族と過ごす時間を優先したいという思いから、代表監督就任を断ったとの見方が強い。マルディーニとレオナルドはバルセロナまで赴き、熱心に交渉を重ねたが、その思いは届かなかった。

 25日、グアルディオラの拒否により、イタリアの各メディアは、ピルロの代表監督就任が決定的となったと報じた。契約期間は2030年までで、年俸は150万ユーロ(約2.8億円)。正式発表は時間の問題と見られた。

 26日、ピルロのイタリア代表監督就任が暗礁に乗り上げる。ピルロがロシアのスポーツベッティング会社『Fonbet』と結んでいるスポンサー契約を複数の政治家が問題視した。

 批判の対象となっているのは、ピルロがギャンブル関連企業の広告塔を務めていること、そして何より、その企業がロシアの企業であることだった。

 民主党(PD)の幹事局でスポーツ部門を担当するマウロ・ベッルートは、ピルロが代表監督に就任するのであれば、この「問題を解決するため」に契約を放棄することを望むと述べた。

 また、中道派政党「アツィオーネ」の党首カルロ・カレンダは、「ロシアによるウクライナ侵攻の2022年以降、ロシアの宣伝活動に関わった、あるいは関わっている人物は、国家的な役職に就くべきではないだろう」との見解を述べた。

『Fonbet』のスポンサー名が胸にプリントされた赤と黒の縦縞のユニフォームを身にまとい、笑みを浮かべるピルロの姿が、かつては『Fonbet』社の公式サイトに掲載されていた。しかし、現在その画像を見ることはできない。

 また、ピルロが指揮するユナイテッドFCはアラブ首長国連邦のクラブであるが、ロシア人実業家セルゲイ・ロマキンが所有するクラブであることも記しておかなければならない。

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