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Jリーグ 11年前

“FW遠藤”を成功に導いた宇佐美の巧みな動き。ガンバで見せる天才の進化に迫る

富山戦に勝利し、連敗から脱出したG大阪。この日はFWに遠藤保仁を起用する変則的とも言える布陣だったが、その遠藤を活かす動きを見せたのが宇佐美貴史だ。そこには自らの課題を克服し、柔軟さを身に付けた進化する天才の姿があった。

text by 下薗昌記 photo by Asuka Kudo / Football Channel

価値ある富山戦の3点目

 今季初の連敗から抜け出した富山戦。残留争いの渦中にあるだけに、1点差では気持ちを切らさなかったアウェイチームにとどめを刺したのが65分の宇佐美貴史のゴールだった。

“FW遠藤”を成功に導いた宇佐美の巧みな動き。ガンバで見せる天才の進化に迫る
アウェイチームにとどめを刺したのが65分の宇佐美貴史のゴールだった【写真:工藤明日香 / フットボールチャンネル】

 今季初の連敗から抜け出した富山戦。残留争いの渦中にあるだけに、1点差では気持ちを切らさなかったアウェイチームにとどめを刺したのが65分の宇佐美貴史のゴールだった。

「後半前に監督から3点目を取ってこいと言われていた。指示通り、突き放す3点目を取れて良かった」

 こう笑顔を見せた背番号39の今季11得点目はGKのニア頭上をぶち抜くファインゴール。「ファーでもニアでもどちらも行けたけど、ニアに蹴った」という技術力の高さもさることながら、宇佐美が確かな進歩を遂げていることを物語る一撃だった。

 7月にG大阪に復帰後、順調にゴールを積み重ね、そのいずれもが好シュートだったが、ボールを持てば秀逸な存在であることは十代当時からJ1勢にも披露していた。

 J2で得点を量産するのは、その天賦の才を考えればある意味で当たり前――。ドイツでの不遇の時期に改めてクローズアップされたオフザボールの質を向上させることこそが、宇佐美に求められているものだったが、目に見えた意識改革はなかなか見えてこなかった。

 それだけに、価値を持つのが富山戦の3点目だった。内田達也が中央でボールを持つと、斜めへのフリーランで自らボールを呼び込み、相手マーカーを振り切っての一撃は、課題だった動きの質の高さで奪ったゴール。「オフ(ザボール)で勝負して、それで点まで行けているので続けたい」と宇佐美も手応えを口にする。

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