モリエンテスが説くリーガの勢力図【欧州サッカー批評 5】

『スペインサッカー界の潮流を読む』
バルセロナとレアル・マドリーという二強が不動とも言える地位を確立しているリーガ・エスパニョーラ。スペインのサッカー全体を俯瞰して、見えてくる現状はどのようなものか? また課題とは何か?現役引退後に解説者となり、リーガをウォッチするフェルナンド・モリエンテスに話を聞いた。(翻訳:小澤一郎)

2012年12月12日(Wed)1時42分配信

text by ウーゴ・バジェステル photo Kazuhito Yamada
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独走するバルセロナを止めるのは【写真:山田一仁】

スペイン二強の構造が生まれたわけ

――現在、リーガ・エスパニョーラはバルセロナとレアル・マドリードの二強化が完全に定着しました。この状況についてどのような感想を持っていますか?

「おっしゃる通り、現状は『二強のリーグ』と呼んで過言ないでしょう。二強以外の18チームは別のリーグを戦っているようなものです。率直に言って、良い状況だとは思いません。私が現役時代、デポルティーボ・ラ・コルーニャやバレンシアが最後まで二強と激しい優勝争いを繰り広げていたような競争力の高いリーグを望みます。あの当時から状況は悪化したと言っていいでしょう。もちろん、二強が着実にレベルアップしていることは肯定的に捉えるべきでしょうし、今やバルサ、レアル・マドリードは『欧州の二強』と表現できます。

 この二強化を推し進めた最大の要員は、経済的な問題であり、スペインに根深く横たわる不況でしょう。現在、リーガ1部の多くのクラブが経営難に苦しんでいますし、二強以外のクラブは以前のようなハイレベルの選手を集め難くなっています。加えて、スペインでは不況によって1部クラブでも給料の遅配、未払いが起こっていて、それによって選手が契約通りきっちりと支払いが行われる他国リーグでのプレーを希望する傾向も出てきています。その点については、リーガ・エスパニョーラとして何かしらの対策を打つべきです」

――バルセロナのサッカーをどのように分析していますか?

「バルサのサッカーの鍵というのは、やはり主力選手たちがカンテラで育ち、長年同じサッカーを共有していることにあると考えています。私はサッカーというものは、ロッカールームから生まれると考えています。つまりは、団結力です。その前提を支えているのは、何十年と不変のクラブ哲学であり、育成哲学です。監督の人選についても、バルサにはバルサの選び方があります」

バルサのサッカーの賞味期限

――バルサが今見せているサッカーに賞味期限はあるのでしょうか?

「私はサイクルというものはあると考えていますし、バルサのサッカーについてもサイクルはあります。今我々が目撃しているバルサのサイクルは間違いなくサッカー史に残るものですし、今後も彼らは全てを勝ち取るでしょう。しかし、必ずやバルサの上に立つクラブというものは出てきますし、レアル・マドリー、マンチェスター・シティ、マンチェスター・ユナイテッドといった欧州トップクラブはその戦いに挑んでいます。バルサの栄華が終焉を迎える日もそう遠くはないと考えています。

 ここ最近のエル・クラシコでレアル・マドリーがその実現に近づいていることを感じさせてくれました。ただし、バルセロナも慢心せずにより高いレベルを目指したチャレンジを続けています。今後もこのサッカーを維持し、カンテラから今いる選手たちのレベルと同じようなレベルの選手を輩出するようであれば、他クラブが付け入る隙はそう簡単にはないでしょう。ただし、今のレベル、タイトル獲得のペースを8年、10年と維持することはほぼ不可能なことです。サイクルというのは、一般的に4年から6年が最大周期です」

――グアルディオラを監督としてどのように評価していますか?

「今現在、元選手、それから現役選手の誰もが目指す理想の監督でしょう。ペップとロッカールームを共にしたことがある人間であれば、彼のパーソナリティ、カリスマ性からして今の監督像というのは多少イメージできることです。私にとっても彼はいいお手本です。スペイン代表で一緒にプレーしたこともありますが、人間としても10点満点を付けることができます。ペップ、スビサレッタ、それからフェルナンド・イエロの3人は私が現役時代に最も影響を受けた選手であり、人間です」

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