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スペシャルインタビュー・宮間あや(岡山湯郷ベル)【サッカー批評 issue57】

text by 西部謙司 photo by Kenzaburo Matsuoka

サイドで走る苦しさが楽しかったりします

――中盤の左かボランチでプレーしていますが、どちらがやりやすいですか?

宮間 私はどちらでも……はい。

――ボランチはマラソンランナー、サイドはスプリントが要求される。

宮間 そうですね。サイドで走るのは苦しいですけど、その苦しさがまた楽しかったりします。

――楽しいんだ。

宮間 サイドだと鮫島選手と組むことが多いんですけど、苦しい、しんどいというより、互いの良さを生かそうと考える時間が長い気がします。例えば、サメちゃんが上がったら、私が彼女のポジションに下がりますけど、サメちゃんのためなら、戻るのも苦しくないんですよ。

――へえ、そうなんですか。

宮間 センターバックに迷惑かけちゃいけないと思って、走って戻るのも楽しい。

宮間のサッカー視力は高いレベルにある

 サメちゃんのために戻るのは苦しくない、むしろ楽しいという宮間の感性は、なでしこジャパンや女子サッカーらしいと思った。

 自分のためだけじゃない。むしろ、チームメートのためと思えば、もっと頑張れる。それが楽しいという感覚は、男子にはあまりないような気がする。

 ちなみに、宮間に男子サッカーについて聞くと、
「一度、何もしないでピッチの中に立ってみたい。全然違う景色が見えるんだろーな。どんなんだろう」
と、無邪気に答えていたが、彼女の眼力なら、男子のスピード感にもすぐに慣れてしまいそうだ。宮間のサッカー視力は、男子を合わせても高いレベルにあると思う。

――すごく見えてますよね。

宮間 そんなことないっす。

――例えば、永里選手に縦パスを入れるとき、当然背後のDFは見えていますけど、パスをカットされるとしたら、中間にいる他の敵になる……。

宮間 なので、視線を外してパスすることが多いですね。

――やっぱりよく見えてる(笑)。

宮間 永里選手にパスするときは、だいたい私と彼女の間に2人いることが多いんです。2人が門になっていなければパスは通らないので、そういうときは少し横にずらして、走ってもらいます。永里選手の動きはだいたいわかっているので、どちらかといえば敵のほうを見ていますね。

――敵味方3、4人は見ている。そういうのはいつから出来るようになったんですか。

宮間 いえ、まだ出来てないです。周囲を見るように意識したのは、サッカーを始めたときからですけど。父のチームで始めたので、父から教わりました。あと、小学校5年ぐらいから中学生のときは、中田英寿選手をよくテレビで見てましたね。勉強になったのを覚えています。

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