清武、乾、宇佐美は香川を超えられるか?(後編)【フットボールサミット第9回】

『ドイツで輝く“香川2世”の個人戦術とプレースタイルを徹底解析』
清武弘嗣、乾貴士、宇佐美貴史。今シーズン、3人の日本人選手がブンデスリーガで輝きを放っている。“香川2世”とも賞される彼らの特長を分析し、個人戦術を読み解く。

2012年12月16日(Sun)9時56分配信

text by 清水英斗 photo ryota harada
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【前編から続く】

メッシに共通点を見いだせる乾のドリブルスタイル【写真:原田亮太】

メッシに共通点を見出せる乾のドリブルスタイル

 清武をコンビネーションタイプとすると、乾や宇佐美はもう少し独力で突破する選手、すなわちドリブラータイプと言える。どちらも細かいボールタッチと、自分の得意な場所にボールを置けば自由にコントロールできるという確かな技術に自信を持っている。

 しかし同じドリブラーでも、この2人の動きには相違点もある。乾のドリブルスタイルの本質は、バルセロナのメッシに似ている。ドリブルでボールを突くたびに、背筋をピンと立たせて重心が安定した状態、すなわち“ゼロ・ポジション”となる体勢をキープして常に360度どこへでも動けるようにする。そこから相手ディフェンスの寄せ方により、出された相手の足をかわしながら、最も効果的なプレーの選択肢を即興で使っていく。

 象徴的なのはブンデスリーガ第5節ドルトムント戦の後半49分に仕掛けたカウンターの場面だ。シュヴェクラーからのパスを受けた乾はドリブルで中央を進み、左方向への切り返し、右方向への切り返し、あるいはパスも含めて、あらゆる選択肢を可能とするゼロ・ポジションをキープしながらボールを運んでいく。そして最後は右側から走り込んだアイグナーにラストパスをお膳立てした。

重心が安定しているため、フィジカルコンタクトに強い

 フィジカルコンタクトに強いのもメッシと似ている。乾は細かくタッチするたびに常に体勢をゼロ・ポジションに戻しているため、重心が安定し、相手に当たられても簡単にバランスを崩すことがない。例えば第6節フライブルク戦の前半15分、左サイドのスペースへ走り抜けてパスを受けた場面、乾は相手DFに強いチャージを受けたもののバランスを崩さずにきちんとこらえた。

 その後、前へ出ようとする瞬間にもう一度押されるような形で倒され、ファウルの判定でFKを獲得したが、乾はこのような球際で耐える強さを持っているため、サイドで起用されたときなど、例えばスペースが広い1対1のように孤立した場面に追い込まれたとしても、そこで競り合うこともできる。これは香川や清武にはない、乾ならではの特徴だ。フライブルク戦は日本代表のザッケローニ監督も視察に訪れていたが、彼の目にはどのように映っただろうか。

 乾とメッシには似た点が多いが相違点もある。乾はボールを利き足の内側に置き、足のつま先を少し外側に開いて反復横跳びをするような姿勢から鋭いサイドステップを使って相手を揺さぶるドリブルが特徴的だ。一方、メッシは利き足の外側にボールを置き、そのまま前方へ歩く体勢でボールに触ってドリブルをしている。このような細部の違いはあるが、ゼロ・ポジションを特徴とするドリブルの基本スタイルについては乾とメッシは同じタイプに分類できると見ている。

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