育成年代の頂点・インカレ決勝に見る大学サッカーの存在意義とは?(前編)

2013年01月10日(Thu)10時49分配信

text by 後藤勝 photo Masaru Goto
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観客の多さにも落ち着いていた早稲田のメンタルの強さ

 早稲田大学は先発メンバーの平均身長が175.4センチと福岡大学より3.4センチ低く、最長身はゴールキーパー松澤香揮の182センチ。

 つまり高さはない。しかしそのほかの点では福岡大学との共通点がたくさんある。技巧よりも前線からの激しい守備を基調としたスタイル。闘争心、粘り強さ、落ち着きといったメンタル面の長所。チームワークのよさ。それぞれに背景があり、優勝を渇望していること。ついでに言えば大学のスクールカラーも同じエンジだ。

 言い換えると、同じ傾向だけに、高さのある福岡大学のほうが有利に思える。では、なぜ早稲田大学が上回ったのだろうか。

 福岡大学の乾監督は次のように言っている。
「(明治大学と阪南大学は)一度負けている相手だったので、リベンジするという気持ちを前向きに出せた。集中力とファイティングスピリットのバランスが準々決勝、準決勝とよかったのですが、年末年始に時間をかけたぶん、(決勝では)今度こそという気持ちがちょっと強くなりすぎたのかな、と。

国立に来て緊張しない選手はいないんですが、力が入りすぎていた。前向きな、高い位置からの守備が準決勝まではできていたのですが、硬さのせいか(ラインが)下がってしまい、1点めを獲られるまでの立ち上がりの時間帯、相手に食い込まれました。結果を意識したことで、勢いというより受けにまわってしまった」

 福岡大学はここまで精神力を支えに勝ち抜いてきた。その彼らよりも、決勝では早稲田大学のほうが心理面で優勢に立っていた。

 全日本大学選抜のキャプテンも務めた藤嶋栄介がゴールを守る福岡大学に対し、早稲田大学は二年生の松澤香揮がゴールキーパーを務めていたが、その松澤の、試合後の取材も含めて終始淡々とした落ち着きが、早稲田大学のメンタルタフネスを象徴しているかもしれない。

 松澤は2012年、特別指定制度でジェフユナイテッド千葉の練習を経験している。「すべての面に於いてジェフのキーパーはレベルが高かった」と言う。それが成長を促した面もあるのだろうか。松澤は言う。

「早慶定期戦やリーグの最終戦、準決勝、観客の多いなかでも落ち着いてプレーできるようになり、今日の決勝につながったと思います。大舞台を経験したことでお客さんの多い国立でも緊張することはありませんでした」

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