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育成年代の頂点・インカレ決勝に見る大学サッカーの存在意義とは?(前編)

1月6日、国立競技場で大学サッカー選手権大会の決勝が行われた。大学サッカーは育成年代の頂点に位置する。そのカテゴリーでの日本一を決める大会から見えてくる、大学サッカーの存在意義とは?

text by 後藤勝 photo by Masaru Goto

福岡大が示したパスサッカーへのアンチテーゼ


5年ぶりの優勝を果たした早稲田(写真は富山)【写真:後藤勝】

【後編はこちらから】

 平成24年度第61回全日本大学サッカー選手権大会決勝が1月6日に国立競技場で行われ、早稲田大学が福岡大学を3-1で下して五年ぶり12度目の優勝を果たした。

 今大会を盛り上げたのは福岡大学だった。大学サッカー界の地域格差で言えば、Jクラブユース出身者も多数集まる関東や関西が突出していて、そこに中京大学を擁する東海が続く傾向がある。

 そのなかにあって、九州地区第1代表の福岡大学は永井謙佑(名古屋グランパス)がいた2009年度以来三年ぶりのインカレ決勝進出。前回のファイナルは永井が日本代表に招集されて欠場したが、今回はメンバーが欠けていない。夏の総理大臣杯は2009年度に制した。インカレ初制覇に向けて福岡大学は燃えていた。

 ロリー・デラップやマーク・ミリガン級の高速長距離砲とはいかずとも、35メートル以上投げられるスローワーが四人はいるという選手層を活かしたロングスローに大会の観衆は沸いた。フリーキック、コーナーキックを含めた空中戦は大きな武器だった。

 福岡大学の乾真寛監督は大会前日会見から毎試合終了後に到るまで、「バルサのようなポゼッションサッカーを追求するチームが多くなっているなかで、自分たちのように高さと強さを活かしたサッカーがあってもいい」という主張を繰り返した。痛快とも言える結果がその主張を後押しした。

 名古屋グランパスよりも長身の選手が揃ったというほどの大型選手たちが躍動し、パスサッカー一辺倒へのアンチテーゼとして機能した福岡大学の活躍には、大学ならではという独自性が確かにあった。

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