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松田直樹という生き方 ~第1回 トリコロール以外のユニフォームは着ないでくれ~

text by 宇都宮徹壱 photo by Tetsuichi Utsunomiya

自分が築き上げてきた仲間は自分に自信を持っていい


――戦力外通告を受けてから、間もなく1カ月になろうとしています。今の率直な心境はいかがでしょう?

松田 複雑です。というか、よく分からない。初めての経験なんでね。正直、経験したことのない心の持ちようなので。

――いろんな人とお話をされたと思いますが、そこで気付かされたことって、どんなことですか?

松田 やっぱり、自分がこれまで築き上げてきた仲間や友だちというのは、自分に自信を持っていいと思いましたね。自分が代表だったときには、嫌でも人は寄ってきます。でも、クビになったときは無職になるわけで、そういうときに、仲間が傍にいてくれた。もともとサッカーやっている仲間もいれば、サッカーとは関係ない仲間もいて、そこが一番、気付かされたことですかね。

――つまり、仲間の大切さを感じられたということですね。安永聡太郎さん(現JFAこころのプロジェクトスタッフ)も、さぞかし心配していたと思いますが?

松田 その日に来てくれましたね。ただ、今でも何を言ったかは覚えていないです。文句とか「ふざけるな」とか言ったと思う。それでも、いてくれるだけでね。

――現在、代理人の田邊さん(伸明=㈱ジェブエンターテイメント)と次の就職先を探しているわけですが、これまでそうした人を付けなかった、何か特別な理由はあったんでしょうか?

松田 自分は、そんなに海外志向も強くなかったし、会社(横浜マリノス株式会社)の人とは直接、話をしたかったんですよ。毎年(のシーズンオフに)会社の人と話をして、自分が思っていることを伝えたいし、直接向こうの言い分も聞きたいじゃないですか。第三者が入ると分からなくなることもあるし。だから付ける気もなかったんです。今年も契約のことは(延長と)言われていたし。切られるということになってからは、なかなか他のチームの情報が入って来ないので、もう付けようと。

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