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日本代表 11年前

ラトビア戦メンバー選考から見えるザック・ジャパンの未来像

text by 河治良幸 photo by Kenzaburo Matsuoka

 こうした流れから、現在は戦力を膨らませ、刺激を与えることよりも、先ずはいち早く最終予選を突破するために、固定的なメンバーで一時的に作り込んで、精度を上げることに集中するべきだとザッケローニ監督は考えている様子だ。

 ただ、今回はJリーグが開幕前という事情も重なっており、常連選手で固める中でも海外組が大津を含め15人と過去最多レベルになった。中村や駒野を選ばなかったことに関してザッケローニ監督は「インシーズンの選手、つまり海外組の選手を多く呼びたかった」と強調したが、逆にそれでも選出されているJリーグ組の選手は当然ながら、それなりの理由があると言うことだ。

ザックがJリーグ組に望んでいること

 Jリーグから招集された選手は8人。その内の2人はGKで、川島の他に海外組の代表候補がいないポジションだ。今野泰幸と遠藤保仁はザッケローニ監督が戦術的な柱に置く選手たちであり、“戦術理解度を確認”するために欠かせないということ。

 FWの前田遼一もケガの影響で外れた時期もあったが、基本的にはザック・ジャパンの背骨を担う1人であり、少なくともヨルダン戦までそのポジションは揺るがないと見ていい。

 伊野波に関してはセンターバック、サイドバック、ボランチを高いアベレージでこなす“マルチロール枠”として確立されており、その点で同タイプの槙野智章や森脇良太より現在の序列が上であり、加えて早くシーズンオフに入っていたことも考慮されてのものと考えられる。

 残る高橋秀人と水本裕貴はこれまで十分に出場チャンスを得ているわけではないが、同ポジションに海外組の有力候補がいない理由があるとはいえ、ザッケローニ監督の信頼の高さを表している。

 2人とも戦術理解度が高く、主力にアクシデントがった場合も代わりが務まりうる存在だと、ザッケローニ監督は評価しているわけだ。もちろん、ヨルダン戦で予選突破が決まれば、その後はザッケローニ監督も名前をあげたボランチの扇原貴宏と山口蛍(ともにセレッソ大阪)、柴崎岳、センターバックの鈴木大輔(柏レイソル)らJリーグの若手選手も強力なライバルになってくるが、ヨルダン戦の勝利を当面の目標とした3試合でさらに信頼を高めたいところだ。

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