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日本代表 11年前

ラトビア戦メンバー選考から見えるザック・ジャパンの未来像

2月6日に行われるラトビア戦の日本代表メンバーが発表された。親善試合であったにも関わらず、これまで主力を担ってきた海外組の多くが招集され、逆に昨季Jリーグで活躍した豊田陽平などは落選となった。このメンバー選考に隠された意図とは何か?

text by 河治良幸 photo by Kenzaburo Matsuoka

ザックが最優先するW杯への切符

「W杯予選突破をできるだけ早く決めたいと思っているので、その目標を達成するために、戦術理解度を確認したいし、技術面に関しても確認していきたい」(ザッケローニ監督)

 2月6日に行われる親善試合のラトビア戦に向けたメンバーが発表されたが、今回の選考に関しては、この言葉にほとんどの理由が集約されている様に思われる。年明けの年間スケジュール発表において「今は最終予選を突破することに集中したい」と語ったザッケローニ監督としても、早く14年のブラジルW杯を視野に入れた強化にシフトしたいはずだが、そのためにもヨルダン戦で勝ち点3を取り、本番の切符を手に入れてしまうことが最優先されるのだ。

 代表監督がクラブチームに比べ、選手を自分のもとに置ける時間や機会が限られることは就任前から認識していたはずだが、いざ現場に立ってみてそれを実感していることは間違いない。10年夏の就任からしばらく、「代表の扉は常に開かれている」という言葉はイタリア人指揮官の常套句になってきた。

 優勝を飾ったアジアカップでは平均年齢24.7歳という非常に若いメンバーを招集し、その後も宇佐美貴士(バイエルン→ホッフェンハイム)、柴崎岳(鹿島アントラーズ)、久保裕也(京都サンガ)といった当時10代の選手たちを事実上の“育成枠”として選出する一方で、中村憲剛(川崎フロンターレ)や駒野友一(ジュビロ磐田)など南アW杯メンバーのベテラン選手を組み込むことで、Jリーグなどでしっかりアピールしている選手には、年齢に関係なくチャンスを与えることも印象付けた。

“かわり映えのしない”メンバー構成


初招集された大津祐樹【写真:松岡健三郎】

 しかし、最終予選に入ると準備期間も限られる中で結果が求められる様になり、また現メンバーへの信頼も高まったことで、テスト的や育成的な意味合いの選出は減少。ここのところは良くも悪くも“かわり映えのしない”メンバー構成が続いている。

 そうした状況ながら、今回は最終予選のヨルダン戦から2カ月近く開いており、直前の22日にはカタールのドーハでカナダとの親善試合も組まれていることから、ある程度フレッシュな選手も入ることが期待されていた。

 しかし、蓋を開けてみれば初招集は大津祐樹のみで、久々の選手も昨年2月のアイスランド戦から約1年ぶりに呼ばれたGKの林卓人(ベガルタ仙台)ぐらい。

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