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2013補強診断 11年前

2013シーズンのJリーグを占う。各クラブの戦力補強診断 ~セレッソ大阪編~

text by 小田尚史 photo by Kenzaburo Matsuoka

ボランチ、センターバックは無風地帯

 SBと2列目を重点的に補強した一方で、DFから中盤のセンターラインは無風地帯だ。GKは今季もキム・ジンヒョンが健在で、CBは昨季のレギュラーである茂庭照幸と藤本康太に加え、成長著しい山下達也がスタメンの座を争う。ボランチも、シンプリシオ、山口螢、扇原、横山知伸と揃い、質・量ともに申し分ない陣容だ。

 その中で唯一の懸念はFW陣の層の薄さか。昨季終盤はケンペスとの契約を途中で打ち切り、杉本健勇を1トップに据えるも、杉本は周囲が納得する結果を残せなかった。今季も“和製大砲”に懸かる期待は大きいが、成長を悠長に待つ余裕もない。7日に、昨季はメキシコでプレーしていた新ブラジル人選手・エジノとの契約が正式に発表されたが、彼がフィットするか否かで最終的な今季の戦力値は大きく変わってくる。


レヴィー・クルピ監督【写真:松岡健三郎】

 また、そのプレースタイル如何では、クルピ監督の代名詞とも言える1トップ3シャドーではなく、前線を2トップにした[4-4-2]の可能性も考えられる。その際は、先ほど2列目として名前を挙げた柿谷や南野が2トップの一角として起用されることもあり得るだろう。タイトル獲得を狙う上で、“誰が得点を取るのか”という部分は早急に解決しておきたい課題だ。

 今季のチームを総合的に見れば、クルピ監督がこれまでに作り上げてきたチームと同様、高さや速さ、強さといったフィジカル的な要素ではなく、足元の技術やドリブル、パスワークといったテクニックの要素が色濃く、スタイルは変わらない。運動量豊富にプレスをかけてくるチームとの相性の悪さは懸念されるところだが、あくまで強みを存分に生かした、見ていて面白いサッカーで観客を魅了する構えだ。

 また、ここ数年、毎年直面してきた夏の移籍市場による中心選手の海外流出だが、「今季は止める」(梶野強化部長)方針であり、1シーズンを通してチームを熟成させることに力を注ぐ。今季はサッカーの質と結果。“2兎”を追い求める一年となる。

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