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Jリーグ 11年前

【2013・Jリーグを占う】三浦俊也氏に聞く、今季のJリーグ順位予想(前編)

text by 編集部 photo by Kazuhito Yamada, Kenzaburo Matsuoka

ACLに注力できない状況

――聞くところによると、広島はリーグ戦に集中するような話もあります。

「なぜACLにそこまで注力できないか、というのは、今ACLのインセンティブが低すぎるんですよ。もちろん、選手と監督はアジアチャンピオンを目指せるのでやりがいはあります。でも、フロント側から見たらやるだけ赤字なんです。で、リーグ戦の順位も下がる」

――それは良くない循環ですね。

「それもあって、今年からACL組にはJリーグは補助を増やしたじゃないですか。欧州のチャンピオンズリーグのように莫大なインセンティブがあるのであれば、ACLにも集中しやすいんですけども。欧州でも、チャンピオンズリーグとヨーロッパリーグでは力の入れ具合はまったく違いますので。最近、ACLで勝てないことを問題視する向きもありますが、仕方ない部分もあるのです。ACLを獲るために選手を大量に補強しても赤字で終わって、しかも勝てないとなると目も当てられないので」

――やるだけ赤字ですか。

「浦和だけはホームで30000人入るので黒字化できますが、他はかなり苦しいですよ。クラブに利益をもたらすためにはクラブワールドカップまでいかないといけない。でも、そこに出られるのはたった1チーム。トーナメントで確実に優勝なんて無理な話ですよ」

――ヨーロッパみたいになれば状況は変わるんでしょうけども。

「そう。ずっとJでやってきた人間としては、ACLのインセンティブがもっと増えて、しかも観客もたくさん入ってもっと盛り上がってほしい」

――リーグ戦への影響はどれくらいあるんでしょう?

「水曜日にアウェイに遠征して次の試合が土曜日、それが日曜日になったとしてもかなりコンディションはきついですよ。実際、私も監督時代、ACL組と対戦したときに、水曜日に試合をしたチームには勝った経験がありますから。かなり動けていませんでした。ヨーロッパのように飛行機でも1時間、というなら調整はしやすいんでしょうけども」

――ということは柏が大型補強をしたのはACLを考慮してということも。

「それは当然ありますよ。去年も序盤戦での低迷を繰り返したくないんでしょう」

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