「日本人らしいサッカー」とは何か?(その1)

2013年03月29日(Fri)7時31分配信

text by 西部謙司 photo Kenzaburo Matsuoka
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バルサらしさはカタルーニャ人の気質とほとんど関係ない

「6番はワンタッチでプレーする」

 6番はバケーロの背番号で、トップ下のポジションだ。彼は相手選手を背負った状態でパスのターゲットとなり、足下に入ってきたパスを1タッチ、2タッチで離して、サポートした味方に前を向いた状態でプレーさせる。

「9番は引いてきてセンターバックを釣り出す」

 9番はセンターフォワード。現役時代のクライフがそうだったように、バルセロナの9番は少し引いてきてプレーする。もし、センターバックがマークして前に出てくると、中央にはもう1人のセンターバックだけになって、その周囲にスペースができる。

 スピードのあるウイングプレーヤーやMFがそのスペースに入ってきて、1人しかいないセンターバックを攻略する。もし、引いてきたセンターフォワードにセンターバックがついてこなければ、「前を向いて好きにやればいい」

バルセロナ
【図1】

 ここまでのクライフの説明だけでも、バルセロナらしいサッカーをかなりイメージできるはずだ。まず、4番を軸にビルドアップを安定させる。セットアップができたら6番に当てて、前を向いてプレーできる選手を作る。9番は引いて中央にスペースを空け、ウイングやDFも連動しながら攻撃を続ける。

 付け加えれば、相手ゴール近くまでボールを運んでしまえばカウンターを食らう危険も少ない。バルセロナがボールを持っている以上、相手はバルセロナの選手に合わせて守っている。つまり、攻守が入れ替わったときにバルセロナの選手は相手を探して追いかけなくても、すぐ近くに相手がいる。

 素早くプレッシャーをかければ、自陣からつなぐ自信のない相手はボールを蹴り出して放棄するだろうから、バルセロナのポゼッションは続くし、守備をしなくていい。【図1】

 バルセロナらしさは計画して作られたもので、カタルーニャ人の気質とはほとんど関係がない。サッカーのスタイル、哲学が明確にあって、論理的に組み立てられたものだ。

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