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欧州王者に完勝したサウサンプトン。吉田が語るチェルシー撃破の要因

text by 斎藤史隆 photo by Kazuhito Yamada

吉田の脳裏をよぎったヨルダン戦の失点

 もっとも、危ない場面がなかったわけではない。25分、トーレスへのパスをカットしようとして失敗。危うくGKと1対1の危機を招くこところだったが、幸いにもトーレスがボールコントロールする時にハンドの反則を犯したため、事なきを得た。

 吉田も「助かりました。あれも行くかどうか迷った」。「あれも」という言葉が出てきたのには当然ながら伏線がある。26日に行われたワールドカップ予選のヨルダン戦で、1対1の場面での対応を誤り、2点目を許したことである。

 24歳のDFは「滑ろうか迷った。一瞬の迷いがあのような失点につながるポジション。意識してやらないと」と振り返ったが、同時に前向きな姿勢を崩さなかった。

「ハイレベルになればなるほど、一瞬の躊躇がピンチを招く。センターバックはミスして成長していくポジションだと思う。このレベルのチームとこのリーグでやるのが一番のレベルアップにつながる」

 とりあえず、チームは勝ち点を34に伸ばし、12位に順位を上げた。とはいえ、降格圏との差はわずか。決して油断できる状況ではないが、チームは確実に改善されている。吉田も言う。

「4月いっぱいに残留を決めるような戦いをしたい」

 この日のようなサッカーができれば、目標の達成は可能ということを十分に予感させる一戦であった。

【了】

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