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注目のビッグマッチ、バイエルン対ユベントス。勝負のカギはサイドの攻防にあり ~CLベスト8の見所~

text by 植田路生 photo by Ryota Harada , Kazhito Yamada

重要なのはサイドバック対策

ピルロ
ピルロの老獪なプレーは健在【写真:山田一仁】

 バイエルンは4-2-3-1、ユベントスは3-5-2。フォーメーションで考えると噛み合わない。バイエルンの1トップ、マンジュキッチに対し、ユベントスは3人のセンターバック。中央のボヌッチはいいとして、左右の2人が余ってしまう。

 対処法としては、左右のバルザーリ、キエッリーニのどちらかが絞り、マンジュキッチを2人で見ることだ。人数の薄くなったサイドにはウイングバックが下がり、スライドして守りたい。つまり一時的に4バックになるのだ。そうすれば、リベリーとミュラーのどちらかが侵入してきたときも対応することができる。

 ウイングバックのリヒトシュタイナーとクアドゥー・アサモアには激しい運動量が求められるが、それはこのポジションの宿命というもの。慣れている彼らにそこは問題ないだろう。むしろ重要になってくるのは相手のサイドバックへのケアだ。

 2列目、そしてシュバインシュタイガーらの飛び出しでウイングバックとセンターバックは手一杯だ。そこにラームとアラバがオーバーラップを仕掛けてきたときが一番危険になる。ホームのバイエルンが押し込み、この2人が自由に攻め込んでくることは容易に想像できる。

 そこでカギとなるのがマルキージオとビダル(もしくはポグバ)。ピルロが守備意識を高めるというのもなくはないが、この天才レジスタは攻撃の局面で力を発揮した方がチームのためにはなる。MFの2人がオーバーラップするサイドバックに気を配り、スライドしながら時には深い位置まで下がることも必要だろう。

 それが徹底されれば、ピルロの体力もある程度温存でき、自由にボールを持てる場面が増える。バイエルンのセンターバック、ファン・ブイテンとダンテは一対一には強いがスピードはあまりない。ボールを奪った後にピルロが正確なボールを前線に蹴り込めば、ヴチニッチとジョビンコでかき回すことが可能だ。

 サイドの攻防をスライドしながらしっかりと制し、押し込まれながらも粘り強く守る。そして、素早い展開で得点機をうかがう。90分間集中力を乱さないことが条件だが、これが徹底できれば、ユベントスの勝機が見えてくる。

【了】

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