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バルサを苦しめたビルバオのサッカーはいかにして生み出されたのか(後編)

昨季のリーガ・エスパニョーラでベストゲームにもあげられたアスレティック・ビルバオ対バルセロナ。バルサに正面から立ち向かい、互角に渡り合ったサッカーはいかにして生み出されたのか。鬼才マルセロ・ビエルサのトレーニングを取材した2人のジャーナリストが対談した『欧州サッカー批評07』より一部加筆して掲載する。構成:澤山大輔 進行:植田路生

text by 編集部 photo by Kazuhito Yamada

【前編はこちらから】

ジョレンテは干されたわけではない?

――ビルバオという土地柄、あるいはそういう選手たちだからあのサッカーがこなせるっていうのはあるんですか

西部 そういう面もあるでしょう。バスク人って真面目だから。このチームはご存知の通りバスクの人しかいないので、すごく団結力も高い。バスクの人にとって、ビルバオはバスク代表チームっぽい感じもあるわけです。レアル・ソシエダもあるけど、あっちは少しゆるいですよね。

清水 昔はソシエダもバスク人だけでやっていたんですけど、ボスマン判決の後くらいで縛りが緩くなった。外国人を入れるようになって一時期全盛期を迎えたんですけど、そこからだんだん落ちた。選手を買って強化するのはハイリスクハイリターン。ビルバオは変わらずにやってきたと。

――たしかに、2部に落ちたことがないですよね

清水 ないですね。ただ、06年あたりは危なかったし、ソシエダが落ちたからビルバオのやり方が正しいというわけではないと思うけど。結果的にはビルバオが残った。

西部 メディアの注目度も高くて、本当にバスク代表チームという雰囲気がありますね。

清水 ありますよね。ジョレンテなんかも一時期干されてて、本当ならもっと腐ってもおかしくないんですけど、練習見ていると結構真面目にやっているんです。いつも隅っこで、中に入れなかったりしていて、干されている感ありありなのにメニューはちゃんとやっている。実際に見に行ってみると、報道されている雰囲気とジョレンテの実際の姿で結構ギャップがあるかもしれません。

西部 あんまりビエルサに干されているっていうイメージはないんだよね。ビエルサは普通に喋ってるから、ジョレンテと。会長が駄目なんじゃない?

清水 まあ、契約も更新していないですからね。

――移籍するような選手は……っていう感じですかね

清水 7月からユベントスに決まったって話が出ましたね。それでも、真面目にやるという気質はバスク人特有かなと。現地で聞いた話ですけど、バスク人はファイター系というか、そういう気質を持った選手が生まれやすいらしいですよ。ムニアインにしても、ジョレンテにしても、シャビみたいな選手ではないですよね。どっちかっていうと戦うというか、前に前に行こうとする激しさが生まれやすい。

 バイエルンに行ったハビ・マルティネスもそうですけど、カタルーニャのシャビみたいなタイプは生まれないっていうのは定説で言われているらしいんです。そういうのをうまく受け継いだサッカーになっているのかなと。

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