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バルサを苦しめたビルバオのサッカーはいかにして生み出されたのか(後編)

text by 編集部 photo by Kazuhito Yamada

ビルバオは日本で言えば清水?

――ビエルサは、攻撃に対しては割とパスを繋いでいくという話だったんですけど、今のビルバオの選手たちの話を聞くと、どーんと蹴るみたいなサッカーをやります。それで、どうしてポゼッション的なことができていたりするんですかね

西部 練習しているから。

清水 正解があるわけなので、すごくわかりやすいんですよね。それこそ、サッカーの試合の要素を削らず、複合的に鍛えるグローバルトレーニングとは全く逆の考え方。場面場面の正解を切り取っているので、その動きをみんな一生懸命に覚えようとしている。

西部 ビルバオという地域は、日本で言えば清水みたいなサッカーどころなんです。昔から名選手を輩出するところ。テクニカルな選手ではなくフィジカルの強い選手なんだけど、サッカーどころなんですよ。そういう意味では、人材は限られてはいるけれども、ユースも強いんです。気質的にテクニカルなサッカーはやらないけど、別に下手ではないんですよね。

清水 クラブの存在がバスク人のアイデンティティなので、あの地方で育った最高の選手は、必ずアスレティック・クラブに行く。これはもう、決まりというか、みんなの中では常識で、それを疑う者がほとんどいない。100人いたら変わり者が1人いるくらいで。

西部 だから、ナショナルチームなんですよ。

――じゃあ超エリートが集まっているっていうことでいいんですか?

清水 普通はそこまで徹底できないかもしれない。だけど、アスレティック・ビルバオはそれができる。地元のクラブで有力な選手がいたら、必ず持ってこれる。そういう関係を築いている。

西部 でもバスク人だけと言っても、選手のクオリティは高いですね。確かに戦術的な面がなかったので大雑把なサッカーをやっていたんだけど、ビエルサが来て四六時中練習をしていれば、それはうまくなるのかなと。

【了】

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